Robin in an exam room  

(3)

部室

 

 学生達の仕組んだ虚偽に嵌められ、犯罪研究会なる団体に捕まったロビン。

 怪しげな薬品のせいで力も入らず、抵抗も出来ないまま敵の情報だけを知り、

また意識を失ってしまった。

 

ネル ・・て!・・・・お・・・・て!・・・おきて!ロビン!

 

ロビン ・・・ん?・・・・・・・はっ・・・・・俺は・・・・・・

 

ジョージ やぁ、おはよう!ロビン

 

クリス 気分はどうだい?

 

ジョージ さっきと違って動けるだろう?

 

ロビン (ほ、本当だ・・・指も動く・・・・・)

 

クリス 少し鬼ごっこをしようか!

 

ロビン なっ・・・・何?!

 

ネル これで僕らを捕まえられたら警察に突き出せば全て解決だね

 

ロビン お前ら、後悔しても知らないぞ!

 

 薬品の臭いがないため、次第に口のまわりもよくなり、目の前の3人を捕まえればそれで終わる!

そう思い気分が高揚するロビン。

 

クリス でもユーティリティーベルトはないから気をつけてね

 

ロビン ベルトがなくてもお前らなんてすぐに・・・なんだ!これは

 

ネル あっそうそう!服は着替えさせてもらったからね

 

 バットマンと同じラバースーツでハイスクールに来たはずが、

サーカス時代に着ていた赤と緑色の薄いコスチュームに着替えさせられていた。

 しかも、素肌の出ている部分以外は何か湿り気があり、直に着ているロビンにはとても不快だった。

 

ロビン お前ら、覚悟しろ!

 

ジョージ こわいこわい、逃げないと・・・・

 

 ジョージの言葉を合図に部室の中を逃げ回る3人。

 犯罪研究会という文化系を臭わす名前とは裏腹にとても素早く逃げ回る3人。

さすがに体の麻痺が完全に抜けていないロビンでは捕まえるのはかなり難しいものだった。

 ジョーカーに捕まった高校生を助けに来たはずだったロビンにとっては、

バットマンやロビンと同じかそれ以上の身のこなしを見せる3人に対してイライラが募るばかりだった。

 

ロビン くそっ・・・・どこに行ったんだ・・・・・

 

 異様に乾燥している部屋に焦りも手伝ってさらに苛立つロビン。

 その苛立ちから自分が着せられているコスチュームの異変には気がつかなかった。

 それが自分の汗なのか、それとも3人に何かの薬を塗られているのかを判断するほど

心に余裕はなかった。

3人を捕まえさえすれば自分が今見ている悪夢は終わる、

その思いだけで3人を必死に探した。

 

 苛立ちながら部屋の中を探していると、ネルが隣の部屋に移動するところを目撃した。

 

ロビン 隣の部屋か・・・・ようし!まずはあいつからだ!

 

 小走りのネルを全速力で追いかけ隣の部屋に飛び込んだロビン。

 しかし、そこは普通の部屋ではなかった。床が抜けており、

小さいガラス玉の様なものが敷き詰められた異様な部屋だった。

 そして、隣の部屋に逃げたはずのネルは扉の内側にへばりつき隠れていた。

 

ネル 残念でしたぁ

 

ロビン うわぁ・・・・・

 

 ロビンは勢いよく敷き詰められたガラス玉の中に飛び込んでしまい、

そのガラス様の砂利に埋もれてしまった。

 その特殊な砂利はとても小さく、飛び込んだロビンを流砂に引きずり込むように沈めていった。

 

ロビン な、なんだこれ・・・・・くそっ・・・・・・

 

ネル 作戦成功!

 

クリス うまいぞ、ネル

 

ジョージ 本当に君は台本通りに動いてくれる、トラップをしかけるのが楽で助かるよ

 

 まんまと仕掛けた罠にはまったコマドリを見て喜ぶ3人。

 対称的に流砂から逃れようともがき、上半身のみをだし暴れるロビン。

 体全身でシリカゲルから逃れようとして初めて自分の身に起こる異変に気がついた。

この部屋に入る前からコスチュームに生じていたであろう異変には全く気がつかなかったが、

ここにきて加速して起こった異変には嫌でも気がつかされた。

 

ロビン ?!ど、どうしたんだ・・・・あ、足が・・・・動かない・・・・

 

クリス あれ?まだ気がついてなかったんだ

 

ネル 嘘?!知らないでそこに飛び込んだんだ

 

ジョージ まぁそんなに乾燥してないからな、前の部屋

 

ロビン き、貴様ら、今度は何をした!

 

クリス 君のスーツ、何かおかしくなかった?

 

ネル 例えば、湿ってたとかさ

 

ジョージ どうして、何も疑わないんだ、君は

 

ロビン ?!何をした!

 

クリス それ、乾燥すると石のように固くなる特殊なゲルなんだ

 

ジョージ だから、前の部屋も乾燥してたし、そのガラス玉みたいなの、特別なシリカゲルだよ

 

ネル だから、嵌った途端にカチンコチンってわけ

 

ロビン くっ・・・・・くそ!

 

 あまりの悔しさに両腕でシリカゲルの砂を殴るロビン。

 高校生3人を捕まえれば終わり、そう安易に考えていた結果が今の状態。

こっちが優位に動いているどころか、相手の手のひらで踊っていただけだった。