せえるすどらいばあ(2)

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・ウウッ!」

屈辱の放出を終え、気を落ち着かせようとした瞬間、また、あの「ウズキ」が襲ってきた。

「そんな・・・つい・・いま・・・あぁっ!!」

ケンジの有り余るエネルギーはケンジ自身に残忍な仕打ちを与えることになった。

トラックの音が止まらない限り、彼は"白いマグマ"とともにエネルギーを放出し続けるのだった。

「そんな・・・これじゃあ・・・仕・・・できない・・・。」

顔を真っ赤にしながら身を捩るケンジ。何時もは快楽を与えるための刺激は

いつのまにかケンジを地獄に突き落とすための刺激に成り下がってしまった。

「あああ、あぅうぐ、あふぁああ!!!」

トラック中に響き渡るケンジの絶叫。ケンジは必死に車のキーに手を伸ばそうとしている。

しかし、あまりの刺激に体が動かない。その刺激が全身に及び始めていたのだ。

その苦しみの表情は・・・・芸術品だった。

全身に降り注いだ彼自身の白いエネルギーは再び噴出した汗と混ざり合い、異常な匂い

を発し、きりっとしたその表情は崩れ、屈辱に涙が流れ、快感で口のしまりが無い。

分厚く、中央に陰ができるほど盛り上った胸板の先につくココア色の乳首は遮る物無く

硬く天に向け大きくなり、区画整理された腹筋は激しい息遣いと共に激しく上下する。

そして、乳首と共に天に向け硬く、容積を増す"頂き"は、再噴火に備え、どす黒く、

熱く煮え滾らせ、常人離れの物へと変化していく。

日に焼けた健康的な肉体は"全身性感帯"になってしまった。

ケンジの意思とは関係なく、暴走し始める肉体。

一体・・・あいつら・・・俺の身体に・・・・。見えない敵に仕掛けられた罠により

淫欲を止めることの出来ない体に、身を任せる事しか出来ないケンジ。

 

「一体どうしたっていうんだ・・・。」

ケンジが己の肉体のため苦しんでいる時、ケンジを探し回る一台の軽トラがあった。

運転していたのは同じ運送会社の営業所の先輩、イトウヒデアキだった。

後輩のケンジをかわいがっていたヒデアキは、ケンジが荷物も届けず連絡が取れない

という連絡を聞き、心配になって探していたのだ。携帯が入る。

「あっ、すいません。マンブです」その声はケンジとヒデアキの後輩のオシオマナブだった。

「ああ、俺だけど。そっちはどう?」

「いいえ、何にも・・・」

「そうか・・・。」

「しかし、ケンジさんどこいったんですかね。何時もは絶対にそんな事無いのに。」

ヒデアキの運転する軽トラは町の喧騒からは程遠い路地裏に入っていった。

そこはケンジの担当地域だったが、なぜか気味の悪い雰囲気にイヤになる、とケンジ本人

から聞いた事のある地域だった。

「気味悪い・・・ん? あれは・・・間違いない!」

それは間違いなくケンジのトラックだった。

ヒデアキはトラックの後ろに軽トラを止めると、急いで運転席へ駆け寄った。

「ケンジ! ん! え・・・!?」

しかし、そこでヒデアキが見た物は想像を絶する光景だった。

トラックのドアは白いカーテンがしてあるかのように熱気で曇っている。

ヒデアキは訳がわからないままトラックのドアを開けた。

ムッとする表現の仕様の無い複数の匂いが鼻を刺激する。

その匂いと共に水蒸気がヒデアキの身体に降りかかる。

「うっ・・なんだこれ・・・。アッ!」

やっとの事で霧が晴れた瞬間、ヒデアキの瞳に飛び込んできた物はケンジの無残な姿だった。

長身のケンジはシートに横たわり、その人並みはずれた"頂き"からは噴火を続けている。

出しすぎて勢いの無くなった白い溶岩の飛び方はドロッと出てはどす黒い頂きの血管を伝い、

縮れた"森"の方へ溜まる。

ドビュッ、ガクッ、ドビュッ、ガクッ・・・。

1滴出る度に全身ががくっ、がくっとビクつく。

見事な肉体は全身から玉のような汗を流し、その顔は既に敗北を認めたのか、

いつものキリッとした表情は無く、口から涎を垂らし、力のある瞳は焦点が合わず、

天井の方を見つめている。

「ケンジ・・・おまえ・・・どうして」ヒデアキは、一瞬あ然としたが、すぐに気を取り戻し、

ケンジを抱き起こそうとした。

強烈な匂いを諸ともせず、ケンジを抱き起こすヒデアキ。

「ケンジ! どうした! しっかりしろ!!」

依然として流れ出る汗と白濁。ケンジは何か言おうとしていた。

「・・・・エンジン・・・・止めて・・・・え・・ん」最後の力を振り絞り、

うわ言のように言いながら、エンジンキーの方へ手を伸ばそうとする。

そう、彼は少し残ったエネルギーを使ってエンジンを止めようとしていたのだ。

「エ? エンジン? 止めるのか?」ヒデアキはケンジの言っている事が理解できたのか、

差し込んだままのエンジンキーを回し、やっとの事で"淫欲という名の地獄"は終わった。

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・」ようやく"開放"されたケンジは、ヒデアキの腕の中で

安堵の表情を浮べていた。我に戻ったケンジは今までに味わった事の無い暖かい、凄く安心

出来る用な気がした。

「・・・・ヒデアキさん?。」気が付くとケンジはヒデアキの腕に抱き抱えられていた。

ヒデアキはやっと意識を取り戻したケンジを見て、安心したのか大きなため息をついた。

「ケンジ・・・一体どうしたんだ?」

「判らないんです。荷物を渡して、男達にコーヒーを勧められて、急に服を破かれ、体が動かなくなって」

その後は、なぜかケンジは口ごもってしまう。

ヒデアキは聞く事を諦めた。とにかく今はこの状況を何とかしなきゃいけない。

「ピピーッ」

後ろからクラクションの音が響く。トラックが止まり、中からマナブが降りてきた。

「ヒデアキさん。ケンジさん・・ケンジさん!?」

裸で横たわるケンジをみてマナブは混乱した。混乱しているマナブにヒデアキは

「なぁ、あとお前が配達してくれないか? 俺こいつ連れてくから。」

ヒデアキはそういうと、自分の乗ってきた軽トラにケンジを乗せ、作業用の上着を身体の上に掛けると

ケンジのトラックに戻り、マナブと一緒にケンジのトラックから荷物を運び出し、マナブのトラック

へ移し変えた。

「じゃ、後頼むな!」「OKです!」マナブは何かを理解したかのように走り去っていった。

トラックに戻ったヒデアキは、軽トラのエンジンを掛けようとして"ハッ"となった。

ケンジはトラックの音がおさまった瞬間に正気を取り戻した。すると、エンジンをかけたら・・・。

ヒデアキは一抹の不安を感じながらケンジを見る。

「疲れてるのか良く眠ってる・・・。」今なら・・・。

恐る恐るエンジンを掛ける。起きない・・・。よし今のうちに。

ヒデアキはアクセルを全快にすると急いで軽トラを走らせ始めた。

「起きるな・・・・起きるな・・・・」

ヒデアキは何度も心の中で何度も念じながらトラックを走らせる。

薄暗い路地を全速力で走り抜けていく軽トラ。