せえるすどらいばあ(1)

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
狂った魔の手から開放されたケンジはフラフラになりながら自分のトラックに戻ってきた。
やっとの事でドアを開け、運転席に座ると、シートにぐったりと身を置く。
それはまるで悪魔にことごとくやられたヒーローが惨めな姿で秘密基地に戻るように・・・。

人通りがなく、ケンジは誰にも見られることなくトラックに戻る事ができた。
制服はびりびりに破かれ、その残骸が布と化し、汗で肉体にくっ付いている、
一方、下半身には何一つ守る物が無く、
その宝物が白い物をだらだらと垂らしながらその宝の"価値"を見せ付けていた。

「なんで・・・俺がこんな目に・・・・」ケンジは混乱していた。
突然拘束され、複数の男達に・・・・・。
もう、ケンジは思い出したくなかった。この思いを胸の中に閉じ込めるつもりだった。

悪い夢を振り払うかのように、ケンジはストックしてあった替えの制服を取り出した。
本当はシャワーでも浴びたかったが、次の客先に行かなければならない。
自分の"使命"を改めて思いながら、制服に身を包む。

赤と白の横しまのシャツが鍛え上げられた肉体に張り付き、こちらも思った以上にピッタ
リと下半身に張り付くズボンは"宝の在り処"を表していた。

「もう・・・わすれよう・・・。行くぞ」
心の中でそう思いながら、彼は再び、トラックのエンジンを掛ける。
全ての悪い物を振る払うかのようにトラックにいつもの音が響く。

「!!」その瞬間、ケンジの肉体を何かが突っ走る。
「な、なんだ、これ・・・・。」
体の奥のほうから言い様のないウズキ。トラックの振動や音に連動するようにビクンビク
ンとウズキが襲い、そのウズキが徐々に大きくなる。そしてその刺激は外部からも伝わる。
誰もいないはずなのに耳、首筋、乳首、腹筋、ケンジのありとあらゆる性感帯に攻撃を加
える見えない快感。さっきまでの使命に燃えている表情とは打って変わって、苦しみとも
快感とも言えない戸惑いの表情を露にしながら。

下半身に張り付いたズボンの股間は、明らかに形を変え、下着を穿いていないため、徐々
に大きく、濡れていくのが手にとるように判る。

「うぁ、うう、ああ・・」運転席で悶え続けるケンジ。
着替えたばかりなのに全身から再び玉のような汗を噴出し始め、あっという間にピチピチ
のシャツを透けさせ、日に焼けた美しい肉体を露にした。

「ア、イヤ、アァア、フングゥオ・・・・」
言葉にならない"快感"という名の苦しみが全身を縛りつづける。
ケンジは何を思ったか、制服を脱ぎ始めた。
「これだけは・・・・汚したくない・・・汚し・・・たくない・・・。」
快楽に占領された肉体から、唯一自分の誇れる物を守るため、彼は制服を脱ぎ始める。
そうしているうちに、"白い物"が込み上げてくる間隔が襲い始めた。
最後の力を振り絞り"自分の誇り"を脱ぎ、助手席に投げつける。

・・・ケンジはなぜか、子供のときに見たヒーロー番組を思い出してた。
爆弾から子供達を守るため、子供達を遠ざけ、
自分は爆弾を抱え、そのまま犠牲になる・・・。
今のケンジは正にそれなのかもしれない。

助手席の窓に投げつけられた制服は汗のため、ガラスにぶつかるとビチャッという音を立
てた。
それを見たケンジは、快感に顔をゆがめながら、一瞬安堵の表情を浮べた。
そして、気を緩めた瞬間、白い物が一気に駆け巡り、
「あああぅあぐぉおー」目をぎゅっと瞑り、屈辱と悲しみの叫びを上げながら
自分の白いマグマを吹き上げた。
まるで全身のエネルギーを吸い取られるかのように・・・。

吹き上げた"白い溶岩"は運転席のあちこちに飛び、
彼の鍛え上げられた身体にも大量に降り注ぎ、彼の全てを汚していった。

唯一、溶岩の洗礼を逃れた制服。
「よかった・・・」
それは自分の身を呈して、大切な物を守りきった「ヒーロー」の言葉だった。