デカレッド陵辱(5)

  第二のゲーム

地下に監禁されて、何日経ったのだろうか・・・。デカレッドは磔にされたまま、自

分の精液で汚した床を見つめながら、どうやって逃げ出そうか考えていた。

 ふざけたゲームを仕掛けてきたジュノーにやられた、ホージーのことも気になる。

生きているのか死んでいるのか冴え分からない。相棒と呼び慕っていた相手の状況が

分からないことほど、バンを焦らせる事はなかった。

 ドアを開けて、ドロイドが三体部屋に入ってきた。

 ドロイド達は鞭とナノマシーンが入った瓶を机の上に置き、部屋を出ていく。まだ

何かやるつもりなんだな・・・。

 これから先に始まる苦痛を想像して、バンは深くため息をついた。

 すると再びドアが開き、大麻をくわえたジュノーが部屋に入ってきた。SPライセ

ンスを持って誰かと話をしている。

「だからよ、要求通りにしてくれりゃ返すって」

「貴様、ただじゃすまんぞ」

 SPライセンスから聞こえてきたのは、聞き覚えのあるドギーの声だった。少しだ

けバンの気持ちが明るくなる。絶対に生きて戻ってみせます・・・。バンは心の中で

そう誓った。

「いいか、これ以上罪を重ねるとどうなるか自分でもよく分かっているだろう。今なら

まだ間に合う。自首するんだ」

「おいおいふざけるなよ。兄貴の時だってお前はそう言ったよな? それで兄貴はど

うなった? 遠い流刑地に飛ばされて毎日臭い飯を食うハメになったんだぜ? お前が

兄貴をパクッたせいでな」

「自主を勧めただけだ」

「ドギー。お前の手は見えてるんだ。お前んとこの青い奴、生きてるか?」

「・・・ああ。瀕死の状態だがな。とにかく今なら間に合うんだ。自首してくれ」

「断る・・・。今、俺の目の前にいる赤い奴でもうちょっと遊びたいんだよ。いいか? 

要求通りにしないと奴の体に潜り込ませたナノマシーンが奴の内蔵を全部溶かし

ちまうぜ? 可愛い部下を助けたかったら要求を呑むんだ。言っておくが主導権は

こっちにあるんだ。大人しく言うことを聞いた方が利口だぜ」

 そう言ってSPライセンスを閉じると、それを机の上に置いた。そして瓶を取り蓋を開け、

「さて、こいつをどうしようかな?」

 そう言って瓶を手にデカレッドに歩み寄り、足の傷口に液体を流し込んだ。

「ぐッ・・・」

「ちょっと染みるだけだ。我慢しろよ」

「ボスの言うとおり、自首した方が身のためだぞ・・・」

「ありがたい忠告感謝するよ」

 液体を流し終えると、瓶をそのまま床に放り投げ、腕につけた機械を操作し始めた。

「これでナノマシーンはお前の全身に行き渡る。お前の内蔵全てが俺の指一つで溶け

るんだぜ? ・・・お前、死ぬのが怖いか?」

「・・・ああ」

「だろうな。命なんか惜しくないって言う奴の方がよっぽどイカレてる。誰だってそ

うだろうな。俺も同じだ」

「殺す気か?」

「気分次第だな」

「相棒はどうなったんだ?」

「あいつか? あいつは偶然助けられてなんとか生きてるらしいぜ。あの時の悲鳴を

聞かせてやりたかったぜ。俺がちょっと本気を出して五、六発殴っただけでもう命乞

いをしやがったんだ。腕をねじ曲げて骨を叩き折った時の声は絶品だったぞ。左のあ

ばら骨を全部砕いて肺を潰してやった時の声もよかった。見せてやりたかったよ」

 自慢げに話すジュノーを睨み付けているうちに、デカレッドは胸の奥で怒りが沸々

とこみ上げてきた。

「俺様自慢の技をかけてやった時・・・」

 と話を続けるジュノーを、

「黙れ!」

 とデカレッドが強く遮った。

「もう・・・もうこれ以上好きにはさせない! 俺の手で全部終わりにしてやる!」

「何!?」

 デカレッドが体中の力を振り絞って、腕や足を拘束している鎖をまるで紙を切るか

のように引きちぎったのである。

 そして地面に降り立ったデカレッドはゆっくりとジュノーに近付き、混信のパンチ

を顔面に食らわせたのだ。

 ジュノーの体が吹っ飛び、壁にぶち当たって体がめり込む。ジュノーはガックリと

頭を垂れて動かなくなった。

「出口・・・」

 ジュノー達が出入りしていたドアを開けようとするのだが、外側から鍵がかかって

いて開かない。

 壁も分厚くて破れない。

「出口はどこなんだ!」

 痛む足を引きずりながら必死になってで愚痴を探しているデカレッドは、背後に

立っているジュノーに気付くのが少し遅れた。

 それに気付いて振り返った頃には、激しい殺気をおびた目でデカレッドを見下ろす

ジュノーの拳が、顔面に迫っていたのである。

「ごはぁッ!」

 まともにパンチを食らい、デカレッドの体が壁にめり込み、マスクの全体にヒビが

入り、粉々に砕け散った。

「一発で俺が倒せると思ったのか?」

 ジュノーはバンの顔を見つめてそう言った。頭や口から血を流して、顔中血まみれ

のバンの顔を見つめながら、

「お前もあの青い奴と同じ運命をたどることになりそうだな」

 そう言って、腕の機械を操作した。その直後である。

「ぐわあああああああッ! あがあああああッ!」

 バンが壮絶な悲鳴を上げて、腹を抱えて地面にうずくまったのである。

「人間は腎臓が二つあるんだよな? 今そのうちの一つが壊れたぜ」

「ぐあッあッがああッ!」

「立て!」

 髪の毛を引っ張り無理矢理立たせると、ジュノーは机の上の鞭をとって、足の傷口

を引っぱたいた。

「ぎゃああッ!」

 今度は足を押さえて、地面に座り込む。

 ジュノーは容赦なく鞭を振るい、バンの顔を叩いた。バシンという音と共に皮膚が

切れ、血が流れ出す。

「さて次はどこがいい? 鞭で叩かれるか? それとももう一個内臓を壊してやろうか?」

 そう言ってジュノーがバンの腹を蹴り上げると、

「ぐはあぁッ」

 とバンが呻いて、口から鮮血を吐き出す。床に倒れたバンが起きあがろうとする

と、バンの頭をジュノーが踏みつけ、

「一番弱いところをいじめてやろうか?」

 と言って、あらわになっているバンのペニスめがけて鞭を振り下ろしたのである。

「ぎひゃあああ!」

「いい声で鳴くじゃねぇか。もっと聞かせろよ」

 そう言って何度も何度も鞭を振り下ろしていると、バンのペニスが徐々に硬くなり

始めた。

「とうとう一線を越えちまったみたいだな? 痛みが快楽に変わる瞬間って奴だな」

「ち、違う・・・」

「じゃあなんで勃ってんだ?」

「これは・・・」

「説明できないだろ?」

 そのあともジュノーは鞭を降り続けた。そしてバンのペニスが真っ赤に腫れ上がっ

た時である。

 バンはその場で失禁してしまったのだ。ジャーッという音を立てて、黄色い液体が

大量に溢れ出す。

「汚ねぇ野郎だな! 汚したのは自分で始末しろよ」

 そう言うとジュノーはバンの体を持ち上げ、まるで雑巾のように、バンが漏らした

小便を、バンのスーツに含ませながら拭き取り始めたのである。

 やがて床の小便溜まりが消えた頃、

「こんなもんか?」

 とバンを立たせた。スーツが小便と床の埃にまみれてグショグショになっている。

「何度も漏らす奴はお仕置きしないとな」

 そう言うとジュノーはバンを引きずって、磔部屋をあとにした。

 

 バンが連れてこられた部屋は殺気の部屋と同じような空間だった。ただ違うのは、

一つの椅子と、その正面には鎖で吊された巨大な丸太がぶら下がっていることだった。

鎖の先には滑車があり、レールが椅子のところまで延びている。

 ジュノーはバンを椅子に座らせると、

「骨を砕いてやる」

 と呟いて、丸太を動かした。勢いをつけて手を離すと、丸太が勢いよくバンの胸に

ぶつかる。

「がはああああッ!」

 スーツから火花が散り、バンが口から血を吐き出す。

「そら、もう一回だ」

 同じように丸太がバンの胸を打つ。

「うがああああああああッ!」

 鞭打ちと同じように、丸太での攻撃も、幾度となくバンにくわえられた。

 それが三十回を越えようとした時である。丸太がぶつかった瞬間、あばら骨が粉々

に砕け散る音が部屋に響いたのだ。

「ぐわああああああああああああああああああああああああああッ!」

「いい様だぜ。これから交渉に行ってくる。しばらくそこで反省してな。ちゃんと生

きてろよ?」

 そう言うとバンを部屋に残し、ジュノーはそこをあとにした。