第5部
黒く終わる刻
第4話
まんまと敵の計画通りに超人が超人であるために不可欠な体をめぐる血液を全て差し出し、
自ら超人であることをやめてしまったスーパーマン。
少しずつ少しずつ意識を支配され、着実に奴隷になる道を進んでいくことを
強いられていく哀れなヒーロー・・・。
パラサイト:(よくやったじゃないか・・・人質達も助かった)
スーパーマン:(あ、あぁ・・・そうだな・・・)
パラサイト:(このまま頑張れば、人質を助けられる!頑張るんだ)
スーパーマン:(助け・・られる・・・そ、そうだな!・・・)
全身を余すところなく汚されながらもパラサイトにそそのかされ
誤った希望の光に立ち直るスーパーマン。
興奮に支配されつつある不自由な体で飼い主に付き従い次の部屋に到着した。
そこで彼は再び驚愕の光景を目にした。
スーパーマン:あ、あれは・・・・・・
ラリル:反抗的な人質をお仕置きしているんですよ
スーパーマン:そ、そんな・・・た、頼む・・・助けてくれ・・・
ラリル:・・・・・・
パラサイト:(君は正義のヒーローではないんだ・・奴隷なら奴隷らしく・・)
スーパーマン:(それは・・・)
パラサイト:(対等じゃないんだ、言葉を選ばないと・・・)
スーパーマン:(・・・・仕方ない・・・人質のため・・・か・・)
ラリル:・・・・何か言ったか?
スーパーマン:お、お願いします・・彼らを助けて上げてください
ラリル:立場がようやくわかったようだな・・・いいだろう・・・
スーパーマン:あ、ありがとう・・・ございます
ラリル:方法を教える・・・自分で助けるんだな・・・・・
砂の敷き詰められたガラスケースの中に人質が数名閉じ込められていた。
その空間はただのお仕置き部屋ではなかった。
高温に維持されてある上に限りなく湿度がゼロに近く設定されていた。
当然、中に閉じ込められている人質は乾きに苦しめられていた。
ラリルが明かした救出方法はシンプルなものだった。
ドアを開けるためには2つのことを同時にしないといけない。
1つは乾燥部屋の中にあるボタンを押す。
もう1つは外側にしかついていないドアノブを回す。
その方法を聞いたスーパーマンは短い歩幅でガラスケースに近づき人質に話しかけた。
スーパーマン:い、今助ける・・・そのボタンを押してくれ
人質:わ・・・わか・・った・・・・・
人質:た、助かる・・・のか・・・・・・
意識が朦朧としている人質が残った力を振り絞りボタンを押す。
それに応えてスーパーマンも力の限りドアノブを回し、ドアを開いていく。
スーパーマン:・・んくそっ・・・重・・たい・・・・・・
人質:あ、開いた・・・
人質:た、助かった・・・・
人質:ス・・−パーマン・・・・どう・・し・よう・・・・・
スーパーマン:?!・・そ、そうか・・・ここを、頼む
人質:わ・・わかりました・・・(軽いっ?!・・・どういうことだ?)
中のボタンを押していないといけないという条件があるためにボタンを
押している人質を助けるためには誰かが中でボタンを押さなければならなかった。
そのことに気が付いたスーパーマンは先に出てきた人質にドアを支えるように頼み
可能な限り歩幅を広く取りボタンの元に急いだ。
ドアを託された人質はドアが開く瞬間、拘束具に体を支配されてはいても
スーパーマンがあれだけ大変そうに開けたドアなのだからたいそう重たいものだと想像していた。
しかし、託された瞬間、特に何の変哲もない薄いドアであることに驚きを覚えた。
一般市民の自分でさえも簡単に開けられるドアをどうして超人であるスーパーマンが
苦戦しているのか、全く理解できなかった。
スーパーマン:私が代わろう・・・
人質:あ・・りがとう・・・・・
ようやくたどり着いたスーパーマンにボタンを押す役割を交代し足早に乾燥部屋を出て行く人質。
キィィィィバタン・・・
最後の人質が部屋を出た瞬間、スーパーマンの予想していなかった事態が目の前で起きた。
閉じ込められたのだ。
部屋の外を見たが、そこには助けたはずの人質はすでになく、
ラリルだけがこちらを見ていた・・・邪悪な笑みと共に。
スーパーマン:・・・わ、罠・・・か・・・・
口を覆うフェイスハガーがここにきて今までにない動きを見せた。
体内の水分を吸収し体外へと排出していくのだ。
ただでさえ乾燥部屋に閉じ込められて苦しんでいるのに、
さらに水分を奪い追い討ちをかけ始めたのだ。
スーパーマン:(お、俺も・・・ここまで・・・か・・・・)
パラサイト:(水分を補給しないとまずい・・・死んでしまうぞ・・・)
スーパーマン:(水はないし・・・補給は出来ない・・・・)
パラサイト:(あるじゃないか・・・飲むものが・・・・)
スーパーマン:(飲むもの?・・・そんなもの・・どこに?)
パラサイト:(思い出せ・・・飼い主が言った言葉を・・・)
スーパーマン:(?!・・・そ、それだけは・・・・出来ない・・・)
パラサイトが言う飲み物・・・レッドクリプトナイトの存在を思い出すスーパーマン。
しかし、臭いを嗅いだだけでもあれだけ性を支配される液体を飲むなんてこと、
想像も出来ない事態だった。
体液を交換されて改造された今のスーパーマンがレッドクリプトナイトを飲む、
それはつまり体液を欲する奴隷に成り下がることを意味していた。
パラサイト:(飲まなければ干からびて死んでしまう・・・人質は誰が助けるんだ?)
スーパーマン:(・・・・そ、それは・・・)
パラサイト:(お前が死んだら用済みになった人質は・・・殺される・・・)
スーパーマン:(そ、それは・・それだけは・・・阻止しないと)
パラサイト:(ラリル様にお願いしてレッドクリプトナイトをもらおう・・)
パラサイトの誘いに負けラリルの狙い通りにことが運んでいく・・・。
もしかしたら、パラサイトがいなくてもラリルの計画通りに進んだのかもしれないと
思えるほどにスーパーマンの動きは予想の範囲内だった。