第5部
黒く終わる刻
第2話
両手足には枷を、首には首輪を・・
そして、顔にはフェイスハガーが張り付いた状態でラリルに連行されるスーパーマン。
悪魔の囁きとは知らずに、奴隷として時間を稼ぎ人質を助けようと必死に耐えていた。
また一つ、敵のしかけた罠とは知らずに、居もしない人質を助けようと
進んで罠に入っていくのだった・・・。
ガシャン ガシャン
ウィィィィィィン ガシャン
座った瞬間、椅子から出現した金属製のベルトにより股関節を包み込む形で
太ももをロックされてしまった。
両足を椅子に縛り付ける形で足枷を吸着してしまった。
そして、さらに着席したことで起こる装置の作動は続き、
足枷の間を繋ぐ鎖と椅子の間から金属の太い棒が伸び、
驚きに動きを止めた奴隷の手枷に融合して両腕を前に突き出す様な形で
固定してしまった。
忘れていたと言わんばかりに首もワンステップ遅れてロックが施され、
自由を完全に奪われてしまった。
スーパーマン:んぐ・・早・・く・・・水を・・止め・・・
ラリル:止めたいですか?
スーパーマン:約束が・・違う・・・ぞ・・・
謎の声:お前の血液を提供するならば止めてやろう
スーパーマン:お、お前・・・は・・・・?!
ルーサー:どうするんだ?水は止まらないぞ?
スーパーマン:・・・・・・
ルーサー:お前の血液から最強の生物兵器を作るのだ
スーパーマン:・・・なっ・・・・なんてことを・・・血液は渡さない・・・
ルーサー:そうか・・・じゃあ、人質が死ぬのを見るんだな・・・
スーパーマン:・・・?!・・・・くっ・・・・
パラサイト:(生物兵器は失敗するかもしれないが、目の前の人質は確実に死ぬ)
スーパーマン:(しかし、成功したら・・・)
パラサイト:(成功するまでに脱出すればいいじゃないか!!)
スーパーマン:(そ、そうだな・・・まずは人質を・・・)
ルーサー:どうするんだ?寝覚めが悪いぞ・・・くくくく・・・
スーパーマン:わ、わかった・・・・渡そう・・・・
ラリル:では、モニターに宣言しなさい・・・
スーパーマン:・・・宣言?
ラリル:もう、話すのには慣れてきたでしょう?言える筈です
ルーサー:生物兵器作製のために血液を捧げます、奴隷である私の血液を、とな
スーパーマン:・・・・くっ・・・どこまでも私を侮辱するつもりか・・・・
ルーサー:いいのだよ?君が人質を見殺しにすればいいのだから・・・
ラリル:では、彼らが死ぬまで拘束されたままで、死んだら次の部屋に
ラリルが話をしている最中、意を決してようやく喋ることになれてきた
フェイスハガーを顔に装着した奴隷は宣言を開始した。
パラサイトの合図で宣言を誘導されている部分は流されず、
宣言の冒頭から会話を人質のいる部屋へと流し始めた。
スーパーマン:せ、生物兵器作製のために・・私は・・・血液を提供します・・・
ラリル:だそうですよ・・人質の皆さん・・・
人質:そ、そんな・・・どうして・・・
スーパーマン:(くっ・・・チャンスが・・来ない・・・)
パラサイト:(何を言うんだ・・・君が奴隷として相応しい振る舞いをしたから)
スーパーマン:(奴隷として相応しい・・・・・)
パラサイト:(人質は死なずに済むんだ・・・君は正しい・・・)
スーパーマン:(そ、そうか・・・そうかもしれない・・・)
人質から言われた「どうして」の言葉に自分の人助けに疑問を感じたスーパーマン。
しかし、その生じた隙間もパラサイトの言葉に心を揺さぶられ、
奴隷として相応しい態度をとることへの抵抗がなくなり、思考の回復の余地は与えなかった。
一見無駄にもとれる人質(悪党)のセリフも、スーパーマンの思考を完全に
破壊するためには必要なものだった。
ラリル:では早速・・・
ルーサー:感謝するよ、君が協力してくれるから兵器開発が順調に進む
スーパーマン:・・・・・・?!・・そ、それはなんだ!
ラリル:血液を抜くだけではあなたが死んでしまうので、代わりの液体をね
スーパーマン:ま、まさか・・・それを私に・・・
ルーサー:あぁそうさ、お礼の代わりだと思ってくれ
スーパーマン:や、やめろ・・・・
ラリル:ちょっと五月蝿いですねぇ・・・
スーパーマン:?!・・んぐっ・・・んんがぁ・・・
ルーサー:愉快愉快・・・後の事は頼んだぞ、ラリル
ラリル:おまかせを・・