第5部

黒く終わる刻

第11話

 

人質:・・?!・・おいっ、見ろっ!入ってきたぞ・・スーパーマンだっ!

人質:この裏切り者めっ!

人質:お前のせいでこの世は終わりだっ!

人質:この疫病神!


 
 口々にスーパーマンに対する怒りのメッセージを叫んでいるのである。

 人質のために・・・ラリルとその共犯者の手を持ってしても

消し去ることの出来なかった記憶の1つである、守るべき対象の人質から

予想もしない言われように理解などとうてい出来るわけもなかった。

 
スーパーマン:か、彼らは・・・一体・・・な、何を・・・・

ラリル:そこを見るんだ!

スーパーマン:・・・?!・・・バ、バットマン!!・・・・ど、どうして・・・・

バットマン:どうして???君がもらした弱点のせいじゃないか!

スーパーマン:そ、そんな・・・・

バットマン:君が人質を盾に強要されたのだと信じていた・・・し、しかし・・・・・
 
(スーパーマンの声:わ、私は・・・はぁ・・・はぁ・・・

          自分の・・はぁはぁ・・・快楽のために・・・・)

スーパーマン:・・?!・・・・・・


バットマン:見損なったぞ・・・・

ラリル:はっはっはっはっ・・・仲間割れとは・・・

    いいや、違うか、仲間ではない・・・

    スーパーマンは正義のヒーローではないからなぁ
 

バットマン:貴様、スーパーマンに一体、何をしたんだ!
 
ラリル:何を?いいえぇ、彼は望んでここにいて、望んで奴隷になっているんですよ?

    ねぇ・・・スーパーマン?


スーパーマン:そ、そうです・・・ラリル・・様。

       ほ、本当なんだ・・私はルーサー・・様に敗北宣言をし・・・

       ラリル・・様に・・・飼っていただいている・・・

バットマン:・・・・う、嘘だろ・・・・じゃあ、あの裏切りは・・・・・

スーパーマン:じ、自分の・・・意思だ・・・・・

バットマン:・・・・・・・
 

 ラリルの計画通り、仲間を裏切り、仲間から絶望されることで彼の中で

不可侵だった仲間への思いは音を立てて崩れ去り、

これで1つまた完全な奴隷へと歩を進めたスーパーマン。

 しかし、ラリルの計画はここで終わるものではなかった。
 

ラリル:スーパーマン・・・・さぁ、バットマンに相応しい処刑を施しなさい・・・

スーパーマン:・・・・・わ、私が?・・・・

ラリル:拒めば・・・・わかりますね?

スーパーマン:わ、わかり・・・ました・・・・

 
 耳元で囁くラリル。

そして、無言でボタンのもとへと動き・・・・・目をつむりボタンを押すラリルの操り人形。

シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・

 
バットマン:・・な、なんだこれは?!・・・・・ス、スーパーマン・・・・・

      た、助け・・・・・・・・・・・・


スーパーマン:バ、バットマン・・・・・・くそっ・・・・・・

ラリル:さぁ、人質の皆さん、見てください・・・・

    スーパーマンの裏切りによりバットマンがどうなったのかを・・・

人質:・・?!・・・そ、そんな・・・・・

人質:・・・・ひ、酷い・・・・

人質:裏切っただけでなく・・・・処刑までするなんて・・・

スーパーマン:わ、私が・・バットマンを・・・・・処刑・・・した・・・・

ラリル:そうですよ・・あなたがバットマンを、そして仲間を私達に売ったのです・・・・

    自分のためにね・・・


スーパーマン:・・・・・・・・・

 
 ラリルが仕組んだ罠によりスーパーマンに残された不可侵領域は2つとも音もなく崩れ去り、

何一つとしてラリルの魔の手から守れるものはそこにはなかった。

 どこまでも無力化された自分とそこにいるはずの人質を助けてくれる希望の光も

ラリルの罠によりスーパーマン自らの手で完全に閉ざされつつあったのだ。

 彼に残された希望は、裏切りに失望し自分はおそらく助けてくれないだろう、

だがこの窮地を打開し、人質だけでも助けてくれるヒーローが1人はいるはず・・・・。

 そう思わずには居られなかった。