第5部

黒く終わる刻

第10話

 

 顎を掴まれ、横にあるディスプレイに目を向けさせられたスーパーマン。

そこに映っていたのは幾人もの人質達である。

 全員がギロチン台に首を並べて拘束されたまま、動かないのだ・・・。

 彼の記憶の中で転送を許さなかったものの1つ・・・人質の存在・・・

その人質を処刑するというのだ・・・。

 
スーパーマン:や、やめてください・・わ、私が代わりに何でも受けます・・・

       鞭打ちでも何でも・・だから・・・だから・・彼らだけは・・・・


ラリル:いいや、だめだ!彼らの命を救うためには君がジャスティスリーグの

    メンバーの弱点を私に教えるしかないんだ!


スーパーマン:そ、そんなぁ・・・・

パラサイト:(言うべきだ!)

スーパーマン:(い、いや、しかし・・・・)

パラサイト:(彼らは君と違って超能力の持ち主や人間離れした能力の持ち主達だ・・・

       弱点くらいばれても問題などないさ!)

スーパーマン:(ほ、本当に・・・そうだろうか?

        私のせいで・・・彼らまで捕まったら・・・・)

パラサイト:(君は仲間なんだろう?信用しないでどうするのさ?)

スーパーマン:(し、信用・・・する?)

パラサイト:(あぁ・・・彼らは君も人質も助けてくれる・・・

       ラリルもルーサーも倒してさ・・・・なぁ?そうだろう?)

スーパーマン:(・・・・・あ、あぁ・・・・)

パラサイト:(それに、君がラリルの要求を飲まないと人質、死ぬんだぜ?)

スーパーマン:(そ、そうだ・・・彼らは普通の人間・・・

        ギロチンなんか落ちたら死んでしまう・・・・)

ラリル:・・・そうか・・・残念だよ、スーパーマン

スーパーマン:ま、待ってください!

ラリル:どうしたんだ?

スーパーマン:い、言います・・・彼らの弱点を・・・・・

       だ、だから、彼らは助けてあげてください・・・・お、お願い・・・します

 
 パラサイトに誘導され、ついに仲間を裏切ることを決意したスーパーマン。

そして、人質を助けて欲しいと頭を床にこすり付けて土下座をしてラリルに願い出た。
 

ラリル:そうか・・・いいだろう・・・・では、条件がある

スーパーマン:じょ、条件・・・ですか?

ラリル:あぁ、そうだ。なぁに簡単さ、あのカメラに向かって言われたことを言い、

    弱点を吐けばいいのさ・・・


スーパーマン:わ、わかりました・・・・

ラリル:失敗は許さない・・・わかったな?

スーパーマン:は、はい・・・わかりました・・・・

ラリル:カメラの上方部分にセリフが出る・・・あとはわかるな?

スーパーマン:は、はい・・・

 
 自分を、そして人質を助けてくれる希望の光をこれからまさに裏切ろうとする行為に

罪悪感で頭がいっぱいだった。

 この時ばかりは、体に加えられる責めも奴隷を喘がせることは出来なかった。
 

スーパーマン:わ、わたしは・・・自分の快楽のために・・・?!・・・

       (こ、これを言うのか・・)

       ジャスティスリーグを・・・う、裏切りました。彼らの弱点は・・・

 
 そこからは個別にジャスティスリーグの面々の持つ弱点をことこまかに

カメラに向かって述べていった。

 その姿を満足そうに見るラリル。カメラに述べられた弱点は

すぐさま実行部隊に告げられ、ヒーロー狩りが行われていた。
 

スーパーマン:・・・私はラリル・・様の奴隷・・・スーパーマン・・・・・・

ラリル:よく言った・・約束どおりに人質の処刑はやめてあげようじゃないか

スーパーマン:あ、ありがとう・・ございます・・・・

ラリル:・・・・ん?・・・・おぉ・・・・・スーパーマン・・・見せたいものがあるんだ・・・

     こっちに来るんだ・・・

スーパーマン:み、見せたいもの・・・・?


ラリル:さぁ・・・来るんだ・・・・

スーパーマン:は、はい・・・わかりました・・・・

 
 何かを受信し、邪悪な笑みを浮かべているラリルを見たスーパーマンの脳裏には

1つ気にかかることがあった。

それは、自分のリークした情報で仲間が捕まるのではないかという不安だったのである。

いくらヒーローといえども弱点を完全に掌握された状態で

ここまで強大な敵に勝つのは難しい・・しかも、こちらには人質がいるのだから・・・

自分の感じたこの予想が外れることだけを祈りラリルに付き従い歩く。
 

スーパーマン:(な、なんだ?何か騒がしいな・・・・)

ラリル:盛り上がっているな・・・さぁ、入りたまえ・・・

スーパーマン:は、はい・・・?!・・・・こ、これは・・・・・
 
 廊下にまで響く大きな声の正体はホールに集められた人質達のものだった。

それも全体で何か怒りのメッセージを投げかけているのである。