第4部

悪夢再来

第4話

 

 体も意識も敵の思うがままに掌握され、逃げることも勝利することも出来ない状態に

追い詰められた正義の超人。

 前回はなんとか防ぎきった洗脳も今回は洗脳されたことさえも理解できず、

脳内に寄生した悪魔の囁く声に意識を誘導されていった・・・。

 
スーパーマン:(奴隷にだけはなれ)


パラサイト:(盾!盾になるのは嘘なのか?)


スーパーマン:(う、嘘ではない・・・しかし、奴隷には・・・)


パラサイト:(完全な奴隷になる必要などないさ・・・)


スーパーマン:(どういうことだ?)


パラサイト:(人質を救出するチャンスを得るまでの時間稼ぎ・・・)


スーパーマン:(時間稼ぎ?・・・・チャンス?・・・・)


パラサイト:(それにラリルの目的は・・・・)


スーパーマン:(・・・?!俺自身・・・!!)


パラサイト:(そう!もしかしたら奴隷になると宣言すれば人質は解放されるかも)


スーパーマン:(確かに・・・その可能性はある・・・)


パラサイト:(脱出不可能なカプセル、暴れられない環境・・・

      ここはチャンスを待つんだ!)


スーパーマン:(・・・し、しかし・・・奴隷というのは・・・)


パラサイト:(お前の言う正義はそんなものか・・人質よりも自分のプライドか・・)


スーパーマン:(そ、そんなことはない!・・・そんなことは・・)


パラサイト:(なら、手遅れになる前にラリルに宣言するんだ!)


スーパーマン:(手遅れ・・・そ、そうだな・・・・)


(パラサイト:ラリル様・・・意識の固定、完了しました。

 奴隷になる意識を植え付けることに成功しました。)



(ラリル:ご苦労・・・よくやりました)
 

 短時間の間に自分で悩み、決断したことだと誤認し

パラサイトに言われるがままに意識の方向を定められてしまった。

 人質を助けるための手段は奴隷になる宣言のみ、奴隷として時間を稼いで

一発逆転を狙うことを最善策だと考えるにいたった。
 

スーパーマン:わ、私が・・・・奴隷になる・・・

 
ラリル:はい?何を言っているんです?

 
スーパーマン:お願いだ・・奴隷になる・・・だから人質を解放してくれ・・・

 
ラリル:そうですねぇ・・・・?!・・よいことを思いつきました・・

 
スーパーマン:???よい・・・こと?

 
ラリル:人質のためなら何でもする?その決意はありますか?

 
スーパーマン:も、もちろんだ・・・人質が助かるなら・・・

 
ラリル:じゃあ、人質の皆さんに奴隷になることを報告しないといけませんね

 
スーパーマン:ほ、報告?

 
ラリル:私の提案を拒むとどうなるかわからないわけじゃないですよね?

 
スーパーマン:わ、わかった・・・や、やる・・・

 
ガシャン・・・ガシャン・・・
 
スーパーマン:こ、これは?

 
ラリル:あなたが装着するものに決まっているじゃないですか?

 
スーパーマン:・・・・・

 
 カプセルの天井から首輪、手枷そして足枷が落ちてきた。

 そう・・・奴隷の拘束具が一式落ちてきたのだ・・・。

 準備が良すぎることを疑問に思うところではあるが、

パラサイトにより疑問視する考えが封印されているため、

拘束具を見ても驚くことが出来ないスーパーマン。

 そんな彼にもわかったことが1つだけある・・・

ラリルの仕組んだ今までの事件において、どの拘束具も壊すことが出来なかった・・・

この枷も自力では破壊出来ない・・・

それだけは彼の頭でも理解が出来た。