第4部

悪夢再来

第2話

 

 体に忍び込んだ敵の仕業とは知らず、意識を支配されながら敵の罠に自ら歩を進めるスーパーマン。
 
 一歩・・また一歩・・・
 
確実に敵のしかけた戻ることの出来ない罠に踏み込んでいく・・・
 
そうとは知らずに・・・。
 
ギィィィィィィ・・・
 
タンタンタンタン・・・・
 
ガタン・・・カシャンカシャンカシャン
 
人質を助けるため、地下室への入り口を持ち上げ中に進むスーパーマン。
 
急な階段を降り始めて間もなく地下室への蓋が下り、閉まった後、ロックされてしまった。
 
スーパーマン:あ、開かない・・・閉じ込められたわけか・・・・
 

 自分の力を持ってしてもビクともしないドアに不安を覚えつつも階段を再び降り始める。
 
暗闇に包まれ灯りが一つもない階段を・・・。
 

スーパーマン:どこまで続くんだ、この階段・・・・・・・・・・・
 


 透視能力のある自分の目を持ってしても先が見えない闇に疑問を感じかけた瞬間、
 
またもや思考を操作され人質に考えを集中させられた。
 
 いつものスーパーマンであれば、鉛以外を全て見通す視力が作用しないことに疑問を持ち、
 
罠を警戒するはずだった・・・・。
 
 しかし、その思考の自由はすでに彼にはなかったのである。
 
彼の思考は彼のものではすでになかった。
 

スーパーマン:それにしてもまだ体は完治していないのだろうか?体が重い・・

 
 単なる階段を降りるだけにも関わらず、その足取りは重く、
 
壁に手をつかないと降りるのさえも容易には出来ない状態であった。
 
 すでに自分が罠の中にいるという自覚がない・・・
 
これが彼の運命を狂わせた最大の原因かもしれない・・・。
 
 いや、この段階で彼が罠の中にいることを自覚することは絶対に出来なかったであろう・・・。
 
 思いがいたった瞬間に意識を操作され、自由な思考はすでに許されていなかったのだから。

 
スーパーマン:・・・?!・・・この先・・・か・・・?

 
 階段を降りきり、広い空間に出たのがわかった。
 
壁についていた手の感覚で広さはわからないまでも狭い廊下とは違うことは
 
見えなくてもわかった。
 
 フラフラと酔っ払いの様にどこともわからない人質の元へと歩みを進めていた・・・
 
迫る魔の手にも気が付かずに・・・。
 
 
スゥゥゥゥゥゥ・・・・ガシャン・・・・
 
・・・・ゴンッ!!

 
スーパーマン:・・?!・・壁?・・・?!・し、しまった・・・
 

聞き覚えのある声:ようこそ!正義のヒーロー様!
 

スーパーマン:その声は・・マッドスターか!
 

マッドスター:あぁ、そうでした、見えていないんでしたねぇ・・・
 


シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・

 
マッドスター:そうそう、自己紹介をしないと・・・

 
スーパーマン:じ、自己紹介?・・何を言っている?

 
マッドスター:私はラリル・・・あなたを研究している博士です

 
スーパーマン:ラリル・・・?!・・・お前は・・ルーサーの!

 
ラリル:はい、軍事兵器開発部門の特殊兵器開発担当の責任者です。
 
    記者会見でお会いしましたね・・・クラーク?

 
スーパーマン:くそっ・・・ルーサーが黒幕か・・・・

 
ラリル:安心してください、二度と地上の光を見ることはないのですから・・

 
スーパーマン:・・・な、何を・・言って・・・る・・・・

 
ラリル:おやおや、この温度でも体に影響が出るんですか?

 
スーパーマン:す・・涼しい・・・じゃないか・・・・

 
ラリル:そんな強がりを言うと・・・

 
 ラリルは手元にあるデバイスのボリュームを一気に回し、降り注ぐ冷凍ガスを強化していった。
 
シュゥゥゥゥゥウウウウウウウウウ・・・・
 
 カプセルの天井から降り注ぐ冷気が急激に強くなった。
 
普通の人間ならば一瞬で凍死するほどの冷気が注がれ始めた。

 
スーパーマン:・・・人・・・質・・・のみん・・・・すま・・・ない・・・

 
ラリル:・・・・ふっ・・・・・

 
 とどめを指すために!と言わんばかりに冷気のボリュームを最大まで引き上げた。
 
 カプセルの中は一時的に白いガスで満たされ中が全く見えない状態になってしまった。