第4部
悪夢再来
第1話
正体不明のロボットの出現、ピエロの格好の怪人による事件、エイリアンの強襲・・・。
ここ数日、現実とは思えない事件が立て続けに起こっていた。
被害者こそ出ていないものの、確実にスーパーマンの体、
そして心にはダメージが蓄積されていた。
しかし、あのエイリアン戦で受けた外傷を博士の研究所で治療した後から
おかしな感覚に支配されていたのだ。
ロボットとの戦闘での敗北、マッドスターと名乗る狂者に体をいいように遊ばれた屈辱で
精神的に追い詰められていたはずだったが、研究所から戻ると心に抱えた闇が
なくなっているのだ・・・。
解決したというよりはその感覚自体が消えてなくなってしまったのだ。
(謎の声:セイシン クツウ ハイジョ シタ)
それが体に共生している物によるとは想像していなかった、
いや、もうこの時点では想像すること、考えることも不自由になりつつあった。
もちろん、自分の意識が操作されつつあることを考えることなど出来るわけはなかった・・・。
聞き覚えのある声:(・・ーパーマン・・・スーパーマン・・・・)
クラーク:?!(こ、この声は・・・・・マッドスター!!)
マッドスター:(覚えていてくれて光栄ですよ・・・
あんな素敵な一日を共にしたのですから当然ですかね・・・・・)
クラーク:くっ・・(獄中から何の用なんだ?)
マッドスター:(初めてお会いした工場にお越し願いたいと思いまして)
クラーク:(なっ!なんだって!お前は捕まったはずじゃ・・・)
マッドスター:(私は健在ですよ・・
今もあなたと遊ぶために一般人を数人拉致したところです)
クラーク:ぐっ・・(くそっ・・・わ、わかった・・・あの工場だな・・・)
マッドスター:(お待ちしていますよ・・・スーパーマン・・・・)
ジミー:・・−ク・・クラークってば!
クラーク:・・・はっ!・・なんだい?ジミー
ジミー:大丈夫?さっきから凄く怖い顔してるけど・・・それに汗も・・・
クラーク:あ、あぁ・・大丈夫だ・・・・ちょっと外出してくる・・・・
ジミー:う、うん・・・・気をつけてね・・・
クラーク:・・・(あいつはまだ捕まっていなかった・・・)
拳を握り締め悔しさに力が入る・・・自分に屈辱を与えた犯人がまだ健在だった・・・。
スーパーマン:(し、しかし・・・もしまた負・・・?!)
(謎の声:ダイジョウブ・・・ツギ・・・カテル・・・・)
スーパーマン:(・・・・次こそは!勝つっ!!)
自分の意思に外部からの操作がある、
巧妙に操作され方向付けられた意思に彼は気が付いていなかった、
いや、気が付くのは既に不可能だった。
(謎の声:ホカクバショ ユウドウ セイコウ)
警察に知らせることは出来なかった・・・。
前回、ロイスを人質に捕り戦うことなく自分を捕らえた相手・・・
警察に知らせたことがバレでもしたら人質は皆殺しになってしまう恐れがある・・・。
そう考え誰にも見られないように独りで例の廃工場へと向かった。
誰にも見られることなく戻ることの出来ない地獄への入り口に進んでいった。
(謎の声:エモノ ガ ワナ ニ カカッタ)
マッドスター:意外に遅かったですねぇ・・・では階段へ案内しなさい・・
(謎の声:ワカッタ)
マッドスター:いよいよですか・・・待ち遠しかった、この時が・・・
何も気が付かず、何も知ることが出来ないまま、全て自分が計画した通りに
罠に迷い込んだ獲物を見て微笑まずにいられないマッドスター。
その頃、迷い込んだ獲物は必死に人質の監禁された場所を探し
工場内を徘徊していた・・・脳に地獄の道先案内人を伴って。
スーパーマン:見つからない・・・どこにいるんだ?
(謎の声:右奥・・・右奥・・・)
スーパーマン:右奥?・・・?!・・・なんだこれは?
脳内に響く謎の声に言われた先を見ると埃に切れ目があるのを見つけた。
地下室への入り口を見つけたのだ。
前回はおそらく機械が置かれていてわからなかったのだろう・・・。
それに前にここに来た時にそのような余裕はまるでなかった。
スーパーマン:それにしても今、右奥って・・・一体誰
(謎の声:早く人質の元に行かなければ)
スーパーマン:そうだ!人質の元へ!
(謎の声:記憶操作、順調)
一体どうして自分が地下室の入り口に気が付いたのか、
その部分に考えが及ぼうとした瞬間、再び意識が一瞬の空白に晒され途絶えてしまった。
意識を操作され、罠の奥深く奥深くへと誘導されてしまった。