第2部

狂星出現

第3話

 

 未知のロボットの出現、そして敗北。

加えてロイスの誘拐・・・

スーパーマンの周りで不可思議な事件が続いていた。

 どこからともなく発せられた犯人からのテレパシーに従い、

ロイスを拉致したという場所へと急行するスーパーマン。

 目の前には最愛の人がスーパーマンの苦手とするあの悪魔の光に包まれて

ギロチン台に拘束されていた。

 そして、傍らにいるピエロから驚愕の言葉を聞くことになったのだった。

 

マッドスター:それでは、あなたを洗脳します

 

スーパーマン:洗脳・・だと?

 

マッドスター:あなたを殺すよりも手先にしたいんです・・生産的でしょう?

 

スーパーマン:ふっ・・うまくいくといいな

 

マッドスター:映像と音声を使った特製の洗脳装置です、楽しんでください

 

ヘッドギアを大切に大切に獲物の頭に被せた。

超人の鼻から上を覆い隠し、ヘッドギアの内側にあるスピーカーは

耳を覆う仕組みになっていた。

 

マッドスター:忘れていました・・まぶたを閉じ続けてもロイスさんは・・・

 

スーパーマン:なるほどな、用意周到というわけか・・・・・

       さっさと始めたらどうだ!

 

ロイス:駄目よ!スーパーマン

 

スーパーマン:大丈夫だ・・ロイス・・・・

 

マッドスター:楽しみですね・・数分後にここにいるのは悪の手先か無敵の超人か・・

 

スーパーマン:(こんなもの・・・私には通用しない・・・・)

 

 音声と映像による洗脳、方法が事前にわかっていることは

今のスーパーマンにはとても大きな情報だった。

まぶたは開いていても映像を視神経に伝えず、耳に向け集中して放たれる音声を

鼓膜で受け止めない・・・

そのくらいの芸当は彼には朝飯前だった。

 

マッドスター:洗脳、スタート!

 

ロイス:・・・・スーパーマン・・・・

 

 洗脳開始を高らかに宣言し手元のリモコンのスイッチを押した・・・

洗脳装置とは別のスイッチを・・・。

 拘束されても能力を封じられてはいない超人にとって

この洗脳装置は恐れるものではなかった。

 スーパーマンが自分のせいで洗脳されるかもしれない・・・

そんな不安で彼を見つめ続けるロイス・・・。

そんな彼女には永遠にも感じられただろう・・・

どのくらいの時間が経っただろうか、マッドスターは洗脳装置を止めヘッドギアを外した。

 

マッドスター:失敗ですね・・・

       どうやらここに座っているのは正義のヒーローらしい・・・

 

スーパーマン:洗脳されたフリをしようと思ったが、それもお見通しとは

 

ロイス:よ、よかった・・・・

 

マッドスター:えぇ、あなたの考えることなど手に取るようにわかる

 

スーパーマン:随分と自信があるんだな・・・

 

マッドスター:では、ロイスさんの隣であなたもギロチン台にかかって下さい

 

スーパーマン:洗脳出来ないなら処刑か・・・何とも

 

マッドスター:いえ、あなたに刃物が通用しないのは知ってますから

 

 あれだけ破壊しようとも破壊不可能だった拘束具を手馴れた手つきで扱い外していく。

睨み付ける超人を見つめ、顎でギロチン台を指し示す。

 言われた通りにギロチン台に進みうつ伏せに台にかかろうとするスーパーマンを

制止するピエロ。

 

マッドスター:いえ、あなたは仰向けでお願いします。

 

スーパーマン:仰向け?!

 

マッドスター:えぇ・・・仰向けです

 

 不思議な指示に首を傾げ、言われた通りに仰向けに首をギロチンの下に置くスーパーマン。

両手首を首と並べ拘束されてしまった。

そして、胴体と両足の脛、足首も拘束され再び自由を奪われてしまった。

 

マッドスター:お約束ですが、拘束具を外すとロイスさんが死んでしまいます

 

スーパーマン:わかっている・・・さっさとしたらどうなんだ!

 

ロイス:ほ、本当にごめんなさい・・・・

 

スーパーマン:大丈夫だ、こいつらに負ける私ではない!

 

マッドスター:ではお言葉に甘えて・・・

 

スーパーマン:な、何を・・・

 

マッドスター:何をって・・・何かおかしいですか?

 

スーパーマン:処刑するんじゃ・・・ないのか?

 

マッドスター:処刑が目的ならとっくに処刑しています・・・

 

 仰向けで固定されたスーパーマンの顔を特殊なマスクで覆ってしまった。

ゴムの様な伸縮性のあるそのマスクはスーパーマンの顔の起伏をそのまま残して

顔を封印してしまった。

黒いマスクで顔を覆われギロチン台に乗せられている・・・

しかし、処刑はしないというピエロ・・・何とも不思議な光景だった。