第2部
狂星出現
第2話
先日のロボットへの敗北をひきずったまま、会社にいつも通りに出社したクラーク。
ジミーと共に凶悪な兵器の開発の記者会見を取材し、
会社に戻るもロイスが戻らないという知らせを受け、素早くスーパーマンに変身し
空高く舞い上がった。
最愛の人を探す正義の超人の焦りを見透かした様にどこからともなく
テレパシーが届く・・・・。
スーパーマン:ロイス・・・・どこにいるんだ?
謎の声:(スーパーマン・・・・聞こえるか?スーパーマン)
スーパーマン:(テレパシー?!・・・お前か、ロイスを誘拐したのは!!)
謎の声:(あぁそうさ、君を誘い出すのに最高の餌だからねぇ)
スーパーマン:(どこにいる!ロイスは無事なんだろうな?)
謎の声:(えぇ・・今のところは、監禁場所にご招待しますので一人で来てください)
スーパーマン:(すぐに行く!覚悟しろっ!)
ロイスを探そうとした矢先、何の前触れもなく届いたテレパシー。
その情報の信憑性は不確かだったが、今の彼にそれを確かめる時間はなかった。
言われるがままに指定された場所へと急行するスーパーマン。
彼が可能な限り最速で駆けつけてくる!という行動は予想通りと言えるものだった。
自分でも気が付かない弱点を敵が利用していることを彼は自覚していなかった。
彼の弱点がクリプトナイトだけではなく、人質・・・
それもロイス・レーンが有効であることは周知の事実であった。
スーパーマン:ロイスっ!無事かっ?
ロイス:ぶ、無事よ・・・
スーパーマン:・・・?!・・・なんてことを・・・
謎の声:ようこそ、スーパーマン。
ピエロの格好をした怪しげな男はギロチン台にかけられたロイスの側で
スーパーマンに会釈した。
首を鋭利なギロチンの下に、そして両手、両足をロープで拘束され罪人が
首を差し出す様な格好を強いられていた。
幸いなことに怪我はしていない様子だった。
そして、ロイスの周囲には緑色の光で照らされていた、見慣れたあの緑色の光で・・・
謎の声:わかっていると思いますが、妙な気を起こすと・・・ね?
スーパーマン:卑怯な・・・(クリプトナイトか・・力押しは無理か・・くそっ・・・・)
ロイス:・・・・・
謎の声:では自己紹介しますかね・・・
スーパーマン:(鉛入りの衣装か・・・透視が出来ない・・・・)
謎の声:私はマッドスター・・・透視は出来ませんよ・・・ふふふっ
スーパーマン:お見通しか・・・
マッドスター:わかっていると思いますが、命令を聞かないと・・・
スーパーマン:ギロチンが落ちるんだろう?
マッドスター:さすが、理解が早い・・・では、最初の命令です、こちらへ
スーパーマン:座れと言うのか・・くっ・・わかった・・・・
マットスターの差し伸べた手の先にある椅子に言われた通りに腰掛けるスーパーマン。
人質がいるとはいえ、敵の指図通りにするのはやはり抵抗があった。
金属で出来たその椅子の目的は明白だった・・・拘束。
罠だとわかっていても抗うことも出来ない、
罠だとしても拒否することが出来ない・・・
しかし無理に罠に嵌められるのではない、
自分から罠にかからなければならない状況に悔しさすらも感じていた。
マッドスター:物分りがよくて助かります・・・
スーパーマン:覚えておけっ!
マッドスター:そうですねぇ・・・覚えておくとしましょうか・・・
無様なヒーロー スーパーマンとね・・・くくくくっ
ロイス:ご、ごめんなさい・・・スーパーマン・・・・
スーパーマン:安心しろ、必ず助ける!
ロイスを人質に捕った新たな敵は邪悪な笑みを浮かべながら椅子に座った獲物を
淡々と拘束していった。
脛、二の腕、手首、首そして臍周りを椅子から現れた柔軟な金属のベルトで拘束してしまった。
その拘束の動作がいかに緩慢であろうとも今の彼にそれを邪魔することも阻止することも、
そして逃げ出すことさえも許されていなかった。
マッドスター:そうそう、無理でしょうけど、もしも破壊すると・・・
スーパーマン:(?!なんだ・・このベルト・・・・)
マッドスター:ロイスさんの体に電流が流れますから気をつけてください
スーパーマン:どこまでも卑怯な奴・・・・
筋肉に力を入れてみるが体の自由を奪う金属のベルトは一向に外れる気配がない・・・
破れる気配はまるでなく、逆に力んで膨らんだ超人の腕や足の方が
ダメージを負う結果になってしまった。
いつもなら拘束を破り、ギロチンが下りるよりも先に
ギロチン台を破壊するもしくはロイスを救出出来るのだが、
今回はそれが出来ない・・・。
まず、自分を捕獲するこの拘束具の破壊が出来ない。
そして破壊出来たとしてもロイスの周辺を照らすあの悪魔の光が邪魔して救出は出来ない・・・
例え拘束されていなかったとしても。