甦った悪魔(1)

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 一輝を内部に入れるやいなや、完全に隔離状態を作り出し、獲物を捕まえたルルイエ。

気がつかずに内部の探索を始める一輝。

探索、そして黒幕を倒すために現れた一輝だったが、現実には捕食者の手の内をノコノコ歩いている状態だった。

一輝:な、なんだ・・これは・・・・・

 一輝が見たものは、神殿の内部にある無数の石造だった。ギリシャ神話の英雄などを象った石像は別に何も珍しくはなかった。

そんな力強い石像とは違い、一輝の目の前にあるものどれも、顔が苦しみに歪み、助けを請う様なポーズの石像なのである。

中には、何かに磔にあったまま固められた様なポーズの石像まであった。

一輝:なんだと言うのだ・・・・

謎の声:それは私の食べ残しさ・・・まぁコレクションではあるのだがね

一輝:だ、誰だっ・・(俺に気配を悟らせないなんて・・・)

謎の声:そうだなぁ・・ガタノゾーアとでも名乗っておこうか、ひとまず

一輝:ガタノゾーア?貴様、何者だ!

ガタノゾーア:悪魔とでも言っておけばよいかな・・・時期に君も僕の正体がわかるだろう・・

一輝:へっ・・・口だけ達者な変質者だってことがなっ!


 内部探索をしていた一輝の目の前に現れたガタノゾーアと名乗る怪しい人物、彼こそがこの遺跡の主にして、

はるか昔から幾人もの英雄達を貪り食って来た悪魔だった。その悪魔が永き眠りから覚めたのだった。

アテナの言う「嫌な感じ」とはまさしくガタノゾーアのことだったのだ。

 薄汚れたコートを身にまとい、フードを被っているために姿は何も確認できなかった。

一輝:さぁ、楽しませてくれよ、悪魔さんよ

ガタノゾーア:期待通りの血の気の多い獲物のようだ・・・くっくっくっ・・・・・

 コートの中で顔すら見せずに笑うガタノゾーア。その怪しげな敵に絶対の自信を持って攻撃を加える一輝。

一輝:鳳凰幻魔拳っ!!!!

 得意の攻撃を間合いも完璧、敵もよけない・・・そんな好条件で放った得意の一撃だった。

しかし、そんな一輝の攻撃をかわすでもなく、防ぐでもなく・・・・無傷のガタノゾーアが立っていた。

 拳に纏ったエネルギーが全て辺りの黒煙に削がれ、ガタノゾーアまで届いていないのだ。

ただの拳となった一輝の必殺技も、その拳さえコートに阻まれ、体に届いていないのだ。

一輝:なっ・・なんだとっ!

ガタノゾーア:僕は嫌いじゃないですよ・・・自信に満ち溢れ、ちょっと焼けどするくらいの方がね

一輝:ば、馬鹿にするな!!

 意味不明なガタノゾーアの言葉に立て続けに鳳凰幻魔拳を放つ一輝。

しかし、今度は意志を持ったように黒煙がその拳をガードして、ついにはコートにすら触れることが出来なかった。

一方で、二発連続で必殺の拳を繰り出した一輝は、その攻撃の反動で動くことが出来なかった。

一輝:(し、しまった・・・動けねぇ・・・・)

ガタノゾーア:そう、こうやって血の気が多い獲物が火傷するのがね、好きなんですよ・・・・

        後悔の念を心にしまい、一生を終えるその時がね・・・

 フードの中から怪しく光る瞳、その光が一瞬強くなったかと思うと、一輝の体を満遍なく照らし出した。

カメラのフラッシュの様に・・・。

一輝:なっ・・・何をした!

ガタノゾーア:いえいえ、料理でするでしょう?下ごしらえ・・・それですよ・・・・

一輝:下ごしらえだと!!ふざけるな・・・

 体を襲った光によるダメージはなく、一瞬くらんだ目もすでに治っていた。

 この怪光線の効果を思い知るのは、まもなくのことであった。