愛しいエース  

 

2・1・2 情

第3話

 

 自らが招いた危機的な状況を打開するべく、ヤプールの発明した品々をあさるサトシ。

 ウルトラマンの持つカラータイマーと酷似したアイテムを見つけ、

ウルトラ兄弟を呼ぼうと考えたサトシはまんまとヤプールの罠に落ちたのだった。

 身動きがまるで出来ないエースの前に立っていたのは優しい地球人サトシ・・・

ではなく、その体をのっとった宿敵ヤプールだった。

 屈辱に震えながら敗北を宣言するためにヤプールに奉仕するエース。

 しかし、エースがこの屈辱的な申し出をしたのには理由があった。

(安心なさい・・・私は憑依しただけ・・・このタイマーが外れたら憑依も解けますよ・・・)

 ヤプールのこの言葉を胸に秘め、チャンスを待っていたのだ・・・タイマーを外す・・。

 口以外に何も自由にならないエースにとって、タイマーを外すとなると口を使うしかない・・

そのチャンスを作るには・・・・。苦肉の策であったのだ。

 しかし、長く続いた敗北宣言も苦労の甲斐があり、タイマーを引き剥がすことに成功したのだ・・・・

それが罠だとも知らずに・・・・。

バタンッ・・・

シュゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・スルッ・・・・

エース:・・・?!・・・・げほっ・・・げほっ・・・

サトシ(ヤプール):もうお前は助からない・・・・

          永久にエネルギーの減らないタイマーを体内に埋め込んでやったからなぁ・・

          ふはははははは・・・・


エース:・・・・そ、そんなこと・・・・・・くそっ・・・・・

サトシ:・・・・・・・・・・・・・・・

エース:・・・・・サ、サトシ・・・・・・・・・

サトシ:・・・?!・・・・エ、エース・・・ぼ、僕・・・

エース:よ、よかった・・・無事・・・で・・・・

ピコン・・・・ピコン・・・・ピコン・・・・ピ・・コン・・・・ピ・・・・コン

エース:わ、私は・・・もう・・・だ・・・

サトシ:・・・?!・・・・な、何とかしなくちゃ・・・・・

エース:・・・・・・・・・・・・・

 ようやく元に戻ったサトシの目の前ではウルトラ兄弟を一網打尽にした

あの忌まわしい液体によりエネルギーを搾り取られぐったりしたエースがいた。

 太陽光を浴びることも出来ずに限界が近づくなか、

ダメージを負いながらもヤプールからサトシを奪い返したくれたのだ。

 命の危険を知らせるカラータイマーは徐々に音をなくし、

点滅もゆっくりとしたものに変わっていく・・・。

 サトシにはすぐにエースが危険な状態だとわかった。

しかし、宇宙ロープで体を縛られてからというもの、

エースの体が重くなり動かすことも出来ないのだ。

 救出する手立てを探す間、再びエースの苦しみを取り除くべく、

エネルギー制御装置を「seal」に変更し、少しの間でもエースを楽にすることにしたのだ。

サトシ:・・・ど、どうしよう・・・・・・・?!・・・・・こ、これは・・・・・

 サトシは再びヤプールの道具をあさり始めた。

今さっき、ヤプールに意識をのっとられ、エースもサトシも危険な目にあったばかりだが、

普通の地球人であるサトシにはどんなに危険でも、

どんだけ妖しくてもヤプールの作った道具に頼るしかエースを助ける手段は残っていなかった。

 そこでサトシが見つけたのはセブンやタロウの肩にあるようなプロテクターだった。

他に袋に残っているものはとうてい救出に使えるものとは思えないものばかりであり、

賭けるならこのアイテムしかない・・・そう直感した・・・。

 しかし、エースが自らやったこととはいえ、「bondage」の時の様にエースをこれ以上

苦しめることになれば本当にエースが死んでしまう・・・。

 それがサトシには怖かった・・・・。