愛しいエース  

 

2・1・2 情

第1話

 

 ヤプールに一度は破れ、エースを欲する人間・サトシの元へと転送されたエース。

 体を弄ばれることに混乱し、おかしな感覚に囚われつつも何とかサトシを説得・・・

拘束された状態から解放され、ヤプールへとリベンジを果たしたのだった。

 ヤプールに再戦出来たのも、瀕死の重傷で戻ったエースを介抱したのもサトシ・・・

その2度の恩義に応えるべく自分の体を差し出すエースだったが、

そんなエースを欲しいままに出来ずにいるサトシ。

 どうしても恩返しがしたい・・・

そう心に誓ったエースは自らヤプールの拘束具を身にまとい、

薬を飲み、体を汚していった・・・・。

 しかし、彼に予想外な事態が訪れた・・・

宇宙ロープによる拘束という事態だったのだ。

それも、結び目などがなく、拷問器具に融合し誰にも解除が出来ない、

脱出不可能な状態に陥ってしまったのだ。

 それでも「自分を好きにしていいんだよ」とサトシに囁きかけるが、

ことの重大さを理解していたサトシはエースを解放する手段を

必死に探し始めたのだった。

サトシ:ない・・・ない・・・・

     どれも、拷問器具ばっかり・・・・・

     ?!・・

     こ、これなら・・・・


 サトシが苛立ちながら袋の中の物を取り出し、ようやく見つけた希望の光・・・・。

 それは今は封じられているエースのカラータイマーそっくりなものだった。

サトシ:も、もしかしたら・・これでウルトラサインを出せば・・・

     エースは助かるかもしれない・・・・・・

 ヤプールがどうしてそれを作ったのか・・・

そんなことは考えもしなかった。

 サトシの頭の中は一刻も早くエースを救出することしかなかったのだ。

サトシ:・・・んんんっ・・・・?!・・・・

     あ、頭が・・・・・・エース・・・エ・・・・・・

 カラータイマーを胸に装着した直後、サトシに異変が生じた。

 ウルトラサインを出そうと精神を集中させたところ、

急速に意識が遠のき、何も考えられなくなったのである。

サトシ(ヤプール):・・・・ふぅ・・・ようやくこれを付けたのか・・・・

           おぉ、なかなか、いい出来ではないか・・・

エース:・・・・・・・・・・・・

サトシ(ヤプール):こやつ、エースのことを助けようとここまでしていたとは・・・

            どれ、起きるがいい、エースよ・・・

エース:・・・・・・んっ・・・・んんっ?・・・・・サ・・・トシ・・・・・

サトシ(ヤプール):何?エース?目が覚めたかい?

エース:・・・・サ・・トシ?・・・・・?!・・・・ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・

 背中に隠していた光線銃を構え、身動き一つ取れないエースに向かって

破壊光線を放出するサトシに憑依したヤプール。

 その光線は外れることなくタイマーに命中し、

エースの心臓とも言える場所を攻め続けた。

エース:ぐわぁぁぁぁぁぁぁ・・・・サ・・トシ・・・・・

     な、何をするんだ?


サトシ(ヤプール):何って?君を殺そうかと思ってね

エース:ぐっ・・・んんっ・・・・・・?!・・・・

     お、お前は・・・・ヤプール・・・・

サトシ(ヤプール):そんな状態でも念力は使えるんですか?器用ですねぇ・・・


エース:・・・サ・・トシを・・・どうした・・・・?!・・・

     ギャァァァァァァァ・・・・・・


 ヤプールの仕掛けた罠にかかり、体をのっとられるサトシ。

 腕1本動かせない状態のまま宿敵と対するエースは

ヤプールからサトシを助けることは出来るのだろうか?

 動かない獲物にヤプールの魔の手が迫る・・・。