1・1・1 序
第5話
サトシとの約束「ヤプールを倒して必ず戻る!」
その決意を胸に敵の用意した空間の歪みに身を投じたエース。
その空間の出口はあの忌まわしいゴルゴダだった。
冷気は変わらず地面を這い、光は一片も差していなかった。
ヤプール:その状態で勝てるなどと思ってはいないだろうな?
エース:勝つ!勝ってみせる!
ヤプール:カラータイマーにその装置があって、体に毒薬を投与されているのにか?
馬鹿も休み休み言え!
エース:くっ・・・・見ていたのか!
ヤプール:あぁ・・・お前がどう壊れていくのか?をな・・・
股間が素敵だぞエース・・・
ふっはっはっはっ・・・
エース:・・・?!・・・くそっ・・・黙れ!
サトシに解放されて間もなくヤプールの声がしたため、
最後のサトシのキスと抱擁で股間に塗りつけられたサトシの精子を
拭き取ることを忘れていた。
そのことを笑われたエースは怒りに任せてメタリウム光線を放った。
ヤプール:そんなものが何もせずに当たると思ってるのか!
エース:くっ・・・すばしっこい!
ヤプール:それにな、こっちにはこんなものもあるんだぞ・・・・・
エース:・・・・?!・・・そ、それは・・・・・
さ、させてなるものかっ!
ヤプール:無駄無駄無駄・・・
光線をかわしたヤプールの手に握られていたものは
エネルギー制御装置の遠隔操作デバイスだった。
触れられなければ大丈夫!
そう思っていたエースの考えは外れ、どこからでも自分の命を絶つことが出来るという事実に、
リモコンを奪うべく全速力で走り込んだ・・・が、時すでに遅く、悪魔の装置は動き始めてしまった。
1/2・・・1/3・・・1/4・・・1/5・・・1/6・・・1/7・・・1/8・・・1/9・・・1/10
その針は1/10のところまで動き、エースの体をめぐるエネルギー量を1/10にまで封印してしまった。
ヤプールに襲い掛かったエースの動きは敵に届く直前で加速度的に失速し、
スローモーションを見ているようだった。
エース:し、しまった・・・・・くっ・・・・そっ・・・・・
ヤプール:お前はもう楽には死ねないぞ・・・
くっくっくっ・・・
地球人に所持されていればいいものを・・・・
エース:・・・ま、まだ
ヤプール:終わったんだよ!お前はな・・・
エース:・・?!・・・ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・
ヤプールの両腕から邪悪な稲妻がほとばしりエースの体を焼き焦がしていく。
絶えることない稲妻によりエースは時間が止められたように動くことが出来なかった。
エース:ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・ぁぁ・ぁ・・・・・・・
ヤプール:声も出なくなったか・・・・
ふっ・・・凍りついた体を砕くとするか・・・・
エース:(ちくしょう・・・・体が動かない・・・・サ、サトシ・・・・)
ヤプール:観念しろっ!
声さえも出ないほどに稲妻に体を焼かれ、痛めつけられるエース。
獲物が十分に弱ったことを確認し、稲妻の放出を止めるヤプール。
攻撃が止み、無残に地面に倒れるエース・・・
追撃とばかりに星を這う極低温の冷気が襲い掛かった。
ヤプールが大きく拳を振り上げる・・・その瞬間!
凍りついたと思われたエースが動き出し、ヤプールの両足を掴んだのだ。
サトシに投与された毒薬の効果でサトシのことを思い浮かべた瞬間、
体温が上昇し吹雪で凍りつくのを防いでいたのだ。
そして、本来なら制御しながら放つメタリウム光線を制御することなく
両腕から暴走させ始めた。
ヤプール:な、何っ!・・・ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
エース:ぐっ・・・く、くらぇぇぇぇぇぇ・・・・
ヤプール:・・・・くっくそっ・・・・
まだ、こんな技をもっていたのか・・・・・
エース:・・・・ぜぃ・・・ぜぃ・・・・・次で・・・・倒す!
ヤプール:ちぃ・・・(か、体が痺れる・・・・)
エース:デヤァァァァァァァ!
エースはタロウのウルトラダイナマイトを真似し、体にメタリウムエネルギーを纏いながら
ヤプールに突進していった。
先ほどのメタリウムバーストでいまだ動けないヤプールでは
1/10のエネルギー量で動くエースの突進さえも防御することは出来ず、
エネルギーを纏うエースに抱きつかれる形で
攻撃を甘んじて受けてしまった。
ズドォォォォォォォォォォン!!!
ヤプールがメタリウムエネルギーで包み込まれたかと思うと、
ゴルゴダの吹雪が爆風で止むほどに巨大な爆発が起き、
辺りは土煙で視界がなくなってしまった。
しばらくして、舞い上がった土煙も止み、吹雪が再び起こると爆発の中心部分に
人影が1つだけ確認できた。
ヤプールなのか?エースなのか?