Day Control


9話


 ナックル星人の手中に堕ち、完全に支配されつつあるウルトラマンジャック。

 必死に抵抗を試みたものの、光の国の情報や兄弟達の情報など根こそぎ調べつくされ

丸裸にされてしまった。

 用済みとばかりに逆さ磔にされ、再びあの忌まわしい粘液を体に垂らされ

放置されてしまったのだった。

ジャック「・・・ん・・・こ、ここは・・・・・・」

 逆さの風景から自分があの時と同じ逆さ磔になっていることはすぐにわかった。

 そして、両足の先から流れ出し体を包み込みながら降りてくる粘液を感じて

用が済んだのだと悟るのだった。

ジャック「・・・・何も・・・守れなかった・・・・・」

 両足を流れ、下半身を包み込んだ粘液は瞬く間にタイマーにまで及び

絶望に染まるジャックの顔に滴り落ち始めたのだ。

 地球を守るために自らの身を捧げたはずが、地球防衛隊のこともウルトラ兄弟のことも

全てを敵に知らせてしまったのだ。

 そればかりか、自らの遺伝子で怪獣兵器が出来ていくことは

敵の増強を手伝っただけとも言える・・・・

たとえそれが拷問の果てに奪われたものであっても。

ナックル星人「目が覚めましたか?我が奴隷よ!」

ジャック「・・・・・・・」

ナックル星人「挨拶はどうした?まさか、一眠りしたら状況がわからなくなったわけでもあるまい?」

ジャック「す、すいませんでした・・・お、おはよう・・ございます・・・・」

ナックル星人「 ”ナックル様”はどうした?聞こえなかったぞ?」

ジャック「・・・?!・・・おはようございます・・・ナックル様・・・・」

ナックル星人「次に”ナックル様”を忘れたら丸一日拷問に処しますよ、わかりましたね!」

ジャック「はい・・ナックル・・様・・・・」

ナックル星人「拷問はしないでやるが、少しばかり罰を受けてもらいますよ・・」

 ジャックを逆さに拘束した磔台はホバリングしナックル星人の後をついていく。

 その向かった先はナックル星の市街地に相当する場所であり、

そこには無数のナックル星人がいた。

 そう・・・ナックルの言う罰とは晒し者になるということだったのだ。

 この星にいてジャックのことを知らぬものなといるはずもなかった。

 逆さに磔になり股間には搾取専用のビキニが装着され、

体の隅々までが粘液で汚れているのを見て興味を持たないものはいなかった。

ナックル星人「わたしが迎えに来るまでここで頭を冷やしていなさい・・」

ジャック「・・・はい・・・ナックル様・・・・」

 邪悪な笑みを浮かべナックル星人はその場を後にした・・・。

 その途端、どこからともなく住人達が寄ってきたのだ・・・

その姿はまるで生者により来る亡者のようだった。

 ある者は両足をさすり、ある者はビキニ越しに股間を愛撫し、

ある者は自らの股間をジャックの顔に押し付けたのだ。

 ジャックが晒し者にされたのは普通の街ではないようだった・・・。



その頃、ジャックを性の亡者に晒したナックル星人は部下を率いて母星の外にいた。

ナックル星人「約束どおり1人で来たんだろうな?」

 ナックル星人の立つその場所は異様な光景だった。

 武装兵やブラックキングが配備され、見えないところにも伏兵が多数。

 それにその宙域はレーダーから発見できないように電磁ネットが敷かれている上に、

ネット内部には迎撃船が数百隻も配備されているのだ。

 そんな戦争でも起せそうな布陣の中、相対するのはたった一人なのだから

異様としかいいようがなかった。

セブン「あぁ・・・来たさ、一人で・・・・」

ナックル星人「君のことだ裏切りは十八番だろう?」

セブン「わたしは・・・わたしは裏切りなどして」

ナックル星人「ジャックはそうは思っていないかもしれないがな・・・・」

セブン「・・・・・・」

ナックル星人「さぁ、どうするんだ?条件を飲むのか?」

セブン「・・・あぁ・・・そのために来たんだからな・・・」

ナックル星人「じゃあ、わかっているな・・・」

セブン「・・・・・」

 部下が差し出す黒い鋼の拘束具を見て唾を飲むセブン。

 前回、ウルトラマンと共に磔にされ命からがら助け出された後、

光の国でようやく外すことが出来たものが目の前にあるのだ。

 絶対的不利な状況の中、少しの抵抗も見せずに着々と作業をこなしていく深紅の戦士。

 一番大きく、そして一番重々しい枷を首に嵌め、両足首に枷をつけ・・・

そして、両手首に枷を装着する。

 アンチスペシウム鋼で出来ているためエネルギーを封印されすでに体には相当な

負担がかかっていた。

 枷が装着し終わると両足の間、両手の間に鎖が出現しそれぞれを連結してしまったのだ。

 歩幅や腕の稼動範囲を極限まで狭めていく・・・。

 そして、所有を示すかのように首枷からも鎖が伸びナックルの手に握られてしまったのだ。

セブン「約束は守った・・・・さぁ・・ジャックの元へ・・・」

ナックル星人「まだですよ・・・」

セブン「い、一体何を・・・?!・・・な、何をした!」

 背後から迫ってきた武装兵がアイスラッガーに黒い液体を浴びせかけたのだ。

 必殺の武器にかかった液体はゆっくりと伸び広がり満遍なく包み込み終わると

その根元にも滴り落ちて動きを止めた。

 さらに、主となったナックルがビームランプに黒いカバーの様なものを嵌めこんだのだ。

ナックル星人「いえねぇ、わたしたちは慎重派なのですよ。

         アイスラッガーを固めこみ、ランプを封印したんです。」

セブン「な、なんてことを・・・・・」

ナックル星人「処刑されるあなたに必要ないでしょう?

         それとも・・・また裏切りますか?」

セブン「・・・・・・」

ナックル星人「さぁ、来い!仲間を売った死刑囚よ!」

 両手はほとんど縛られているような間隔しか開かず、両足は通常の半歩も進まない・・・。

 うなだれたセブンを首輪につながる鎖で強引にひっぱっていくナックル星人。

ナックル星人「安心しなさい・・・命を差し出したあなたの願い、聞き入れようじゃないか・・・」

セブン「(ジャック・・・・)」

 一際大きな円盤に連行されていくセブン。

 その行き先はナックルの魔の手に堕ちた最愛の弟の元だった。

 母船に収容され檻の中に閉じ込められたセブン。

 沈みきった心にはワープの時間も永遠かと思うほどに長かった。

 再び鎖につながれ母船を降りるとそこはジャックのいるナックル母星だった。

セブン「(ジャックは・・・ここにいるのか・・・・)」

 その星は二人の故郷・光の国とは全く異なった風景であり、

死刑囚となったセブンにとっては地獄にも見える光景だった。

 どこを見回してもジャックの姿はなく、騙されたのではないかと心配していると主の言葉が続いた。

ナックル星人「そこにはいませんよ・・今はお仕置きを受けている最中なんです」

セブン「・・・?!・・ジャックに・・何をした!」

 自由にならない両手でナックルにつかみかかろうとするセブン。

 しかし、エネルギーを封じられている今の彼など武道にも長けるナックル星人に敵うはずもなかった。

 容易く両手を払いのけられ、足払いで転ばされたあと、ぐりぐりと顔を踏みにじられ

地面に顔をめり込ませる結果になった。

セブン「あぐっ・・・ぐっ・・・ジャックに・・・っ・・・何を・・・」

ナックル星人「お前と同じように立場を理解しない行動をしたのでお仕置きをしたのさ!」

セブン「す・・すぐに・・やめさせろっ!」

ナックル星人「やめさせろ?ウルトラ警備隊では言葉遣いも教えないのですか?」

セブン「・・・くっ・・・やめ・・・るんだ・・・・」

ナックル星人「聞こえないなぁ・・・・ん?」

セブン「ぐぁぁっ・・・・お、お願い・・します・・・・助けてやって・・ください・・・」

ナックル星人「やればできるじゃないですか・・ふははははは・・・

         さぁ、いきますよ、弟様のところへ」

 ようやく顔の上から足がよけられ起き上がるセブン。

 そんな惨めな戦士を至福の表情で見つめ、容赦なくナックル星人は歩みを進めていくのだった。