Day Control


7話


 ナックル星の拷問部屋。

 そこにこだまするジャックの絶叫・・・

それは日課のようになっていた。

 15分のインターバルをおく以外はつねに叫び声ともとれる喘ぎ声を上げ続け、

魂を削られていった。




 そんなジャックを助けようとナックルの一団を追うセブンとウルトラマン。

 円盤を捉え、救出かと思ったがそれは罠だった・・・。

 戦うことなく二人を逆さ磔にするとエネルギーを奪い取り、

ウルトラサインを出すことも出来ずに沈黙を強いられた。

 二人の英雄を磔台に縛り上げ、そのまま暗い宇宙空間を移動し、とある惑星に降り立つ。

 そこは以前にナックルが母星としていた場所であり、今は人気もなく閑散としていた。

 しかし、彼らにはそんな場所でも十分だったのだ・・

なぜなら、そこには処刑するための施設が残っていたのだから。

 動くこともない2人の死刑囚を所定の位置に据えると、

巨大な砲台を備えた処刑用円盤が定位置で停止し、狙いを二人の心臓部に定めた。


エース「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 処刑用円盤にエネルギーが集まりだしたところで光の刃が円盤を襲う!

ズダァァァァァァァン!ドカァァァァァァァァン!

 円盤が2機とも爆発する。

 そこに駆けつけたのはウルトラ兄弟・エースとタロウ、ゾフィーだった。

 タロウ「兄さん達、大丈夫ですか?」

ゾフィー「くそっ・・・エネルギーが抜き取られているのか・・・」

エース「早く逃げ出さないとまずそうだ・・・」

 エースのその言葉に辺りを見る2人。

 そこにはどこからともなく現れたナックル船団がウルトラ戦士達を包囲しているのだ。


タロウ「それともう1つ・・この枷、ここで外すのは難しそうです・・・」

エース「外せないなら、つけたまま連れて行くまでだ!」

 エースは両手にエネルギーを溜め込みセブンとウルトラマンを磔にする台を破壊し

逆さ磔から解放してみせる。

 すかさず、タロウが鎖を焼ききり、枷こそつけたままだが救出に成功した。

 タロウとエースが意識が戻る程度のエネルギーを分け与え、二人に光が戻ったのだ。


セブン「こ、ここは・・・・・」

タロウ「よ、よかった・・・無事なんですね!」

マン「す、すまない・・・?!・・ジャックは!」

エース「ここにはいなかった・・・」

セブン「お、おろしてくれ・・・俺は助けに・・・行く!」

ズゥゥゥゥゥン

タロウ「ゾフィー兄さん?!」

ゾフィー「撤退だ・・・はぁ・・・はぁ・・・エネルギーを奪う兵器があるようだ・・」

マン「数秒食らえば私達と同じ目にあう・・気をつけろ」

セブン「私は置いていけ、みんな逃げるんだ」

エース「何を言ってるんだ!ジャック兄さんも大事だけど、今は二人が大切だ!」

タロウ「そうだよ・・体勢を立て直してジャック兄さんを助けよう!」

エース「捕まってるジャック兄さんと同じ場所にいくとは限らない。

     囮になる価値はないんだ!」

ゾフィー「ここで私達全員が倒れるわけにはいかないんだ!

      さぁ、いくぞ!M87こぉぉぉせぇんっ!」

セブン「・・・・・・・・・」

マン「セブン・・・いこう・・・」

 周囲を囲む円盤を自慢の光線で焼き払い、退路を確保するゾフィー。

 セブンとマンを抱え、二人を狙う秘密兵器を身を挺して守りながら逃げるエースとタロウ。

 その二人のタイマーからも光が漏れ出し、危機的状況であることを告げていた。

セブン(ジャック・・・・・すまない・・・・)

 5人はそのまま星を離れ光の国へと戻っていった。
 
 
 
 
  その頃・・・

ジャック「んああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ・・・」

拷問部隊「そろそろヒーローとして認識できないほどの見た目になってきたなぁ・・ジャック・・」

ジャック「うる・・・んぐはぁぁぁぁぁぁっ・・・うるさいっ!・・・・」

拷問部隊「そんな口をきくと・・・こうだ!」

ジャック「・・?!・・・ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・」

 反抗し続けるジャックの立派な胸板にそれぞれ電極が接着され、体に電撃がほとばしった。

 普段のジャックなら涼しい顔で跳ね返せる電撃も、改造されたと言っても過言ではない体には

快楽として受け取られ、体を貫かれるような衝撃に感じていたのだ。

 電撃が一定リズムで流れる度に瞳は明滅し、タイマーもおかしな点滅を繰り返した。

 そして、放電され始めてからというもの、性エネルギーの搾取量が増え、

ジャックをより追い詰めることとなっていたのだ。

 何時間続いただろう・・・ジャックの瞳は沈黙し、部屋の明かりは暗くなっていた。

 喘ぎ声が止む15分が着たのだ・・・。

ジャック「・・・ん?・・・・こ、これは・・・・」

ナックル星人「おはよう・・ジャック・・・・」

ジャック「・・・・・」


ナックル星人「今日は君に見せたいものがあるんだ・・・」

ジャック「見せたい・・・物?」

ナックル星人「ヘッドギアのスクリーンで見られるようにした・・・これを・・・」

ジャック「・・・?!・・・こ、これは・・・・」

 ジャックの嵌め続けられているヘッドギアに映し出されたのは逆さ磔にされた

ウルトラマンとセブンだった。

 すでに二人は沈黙し、どこかわからないが、地面にすでに処刑台が設置されている。

ジャック「兄さん達・・・どうして・・・そんな姿に・・・・」

ナックル星人「いえねぇ、私はあなたがあまりに健気なのであなたを売ったセブンをこらしめてやりました」

ジャック「セブンは・・・わたしを売ったりしない!なんてことを・・・・」

ナックル星人「また交渉をもちかけると、今度はウルトラマンを売ったんですよ、あいつは・・」

ジャック「そ、そんなばかな・・・」

ナックル星人「なので、私達はセブンを嵌め、二人とも捕らえることに成功したんです」

ジャック「二人を解放しろ!俺だけで十分だろ!」

ナックル星人「いえ、あの二人は処刑します!我らには果たすべき恨みがある!」

ジャック「な、なら・・・俺が代わりに」

ナックル星人「それはだめです!あなたには死ぬよりも辛い思いをしてもらうのですから・・」

ジャック「・・・・・」


ナックル星人「さぁ・・・見なさい!処刑の始まりですよ!」

ジャック「兄さん!起きるんだ!早く・・・早く!」

 録画映像であることなど気がつきもせず、VTRの中の兄弟に必死に訴えかけるジャックを内心、嘲笑しつつ、

迫真の演技で処刑を演じてみせるナックル。

 映像はちょうど処刑用円盤が処刑を開始しようとした瞬間にさしかかっていた。

ジャック「・・?!・・・エースか!よくやったぞ!」

ナックル星人「くそっ、邪魔が入ったか。迎撃しろ!奴らも捕らえるのだ!」

ジャック「み、みんな・・・頑張れ!頑張るんだ!」

 3人の戦いの爆発に合わせて揺れるジャックの部屋。

 まるで、その戦いが側で行われているかのような揺れにさすがのジャックも状況が飲み込めてきた。

ジャック「(まさか・・・この側で・・・・)」

ナックル星人「おい、必ず捕まえてジャックともども6人をここに並べるのだ!」

ジャック「(やっぱり・・・ここの外なんだ・・・・)」

ナックル星人「くっ・・やはり3人相手では勝ち目がないか・・・」

ジャック「(よし・・そのまま・・わたしも・・わたしも助けてもらえるかもしれない・・・)」

ナックル星人「(かかった!)」

 ナックルの計画通り、ジャックはそこに希望を見出してしまったのだ・・・・

ナックルの用意した漆黒のチャンスに・・。

 そんなジャックの耳に聞こえてきたのはとんでもない言葉だった。

エース「ジャック・・・・・?何を言っているんだ?」

ジャック「・・?エース・・・?」

エース「捕まっているジャックに・・・価値はない」

ジャック「・・?!・・・・」

マン「これは・・わたしたちの決断だ」

ジャック「ど、どういう・・・ことだ・・・・」


 セブンとウルトラマンが捕まり、処刑寸前までいったあの一部始終の会話を録音し、

それを断片的に繋ぎ合わせたものを部屋の壁から流したのだ・・・

まるで、外で実際に話しているように。

ナックル星人「どういうことも何もそのままでしょう?」

ジャック「その・・まま?」


ナックル星人「売り払われたあなたにはもう助ける価値もない・・

        そうエースが言ったじゃないですか?」

ジャック「そ、そんなこと・・・」

ナックル星人「それに、ウルトラマンだって言ったでしょう?これは全員の決断だとね」

ジャック「そ、それじゃ・・わたしは・・・・」

ナックル星人「そう、見捨てられたのですよ」

ジャック「・・・・・う、嘘だ・・」

ナックル星人「嘘なものですか、側まできていたのに

         あなたをまたも見捨て2人を助けて逃げたでしょう?」

ジャック「・・・・・・」


ナックル星人「私はいつまでも騙されているあなたが可愛そうだからセブンを処刑しようとしたのに」

ジャック「・・・・・・」

ナックル星人「そして、光の国から捨てられたあなたに残念なお知らせがあります・・・」

ジャック「・・・・お知らせ・・・・?」