Day Control


6話


 光の国の精鋭部隊・ウルトラ警備隊。

 その隊員の1人:ウルトラマンジャック。

 彼は数々の侵略者から地球を守りぬき、生死の境を彷徨ったこともあったが、

不屈の精神で必ず逆転してみせた。

 しかし、そんな英雄も今やナックルのおもちゃに成り下がり喘ぎ、

そして搾取されるためだけに生かされていた。

ジャック「あああぁぁぁぁぁぁぁぁっ・・んんっ・・ぐっ・・・ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・」

拷問部隊「体力だけはあるようだな・・・これは想定外だ・・・」

 あれから何日が経過しただろう・・・

いや、何日が経過したことになっているのだろう。 ナックルの作り出した昼は拷問に喘ぎ、

夜は意識を封じられる・・・

時間の感覚は掌握されたも同然だった。

 拷問がステップアップしてから数日、睡眠を誤認させる最短時間である15分にまで

夜は縮められジャックの体に与えられるインターバルはたったの15分だけだった。 

ジャックの体は6時間ほどの拷問、15分の夜、そしてまた拷問と4倍のスピードで

時間が流れているのだ。

 体に付着した粘液はすっかり重層され、こびりつき正義のヒーローの体を汚しつくしていた。

 口からは涎が流れ、糸をひき床に流れ落ちていた。

 椅子とジャックの境目がわからないほどである・・・。



その頃、とある惑星で・・・・

セブン「・・見つけた!」

マン「いくぞ、セブン!」

セブン「あぁ・・・待ってろジャック!」

 ナックル星人の円盤4機と母船1機が移動しているところをジャックを探し、

宇宙を飛び回るウルトラマンとセブンが見つけたのだ。

 逃がすものか!と2人で挟み撃ちの状態で動きを止めてみせた。

 どの円盤にジャックが幽閉されているのかわからないため、攻撃は出来なかった。

セブン「約束どおり、助けに来たぞ!ジャックはどこだ!」

偵察部隊「さぁ・・・どこでしょうねぇ?」

マン「ふざけるな!ジャックを返せ!さもなくば・・」

偵察部隊「さもなくば?なんです?」

セブン「お前たちを討つ!」

偵察部隊「討っていいんですか?唯一の手がかりなのでしょう?」

マン「・?!・・・甘く見るな!」

 ウルトラマンが八つ裂き光輪を構える。

偵察部隊「さぁ・・どうぞ。ただ、わたしたちからの通信が途絶えたら

      ジャックも同じ目にあうとだけ言っておきます」

セブン「・・?!・・・」

偵察部隊「セブンなら出来るでしょう?すでに1度、ジャックを見捨てているのですから」

マン「セブンは見捨てたのではない!」

偵察部隊「あなたがどう言おうと、私達はそう判断しました。

      セブンはジャックを見捨てたのです」

セブン「・・・どうすれば、ジャックを返してくれるんだ?」

マン「・・・セブン・・何を?」

偵察部隊「ふふふふ・・・さすがに2回は見捨てられませんでしたか?

      それとも1人ではないからですか?」

セブン「いや、ジャックを助けるためにこうするしかないと判断したまでだ・・・・」

マン「しかし・・・」

セブン「これは俺1人が決めたこと。俺はどうなってもいい!ジャックを返してくれ・・・」

マン「・・・・いや、それはダメだ!」

セブン「だが・・・」

マン「これは私達の決断だ!さぁ・・・どうすればいいんだ!」

偵察部隊「涙が出ますね・・・ジャックはこのままでは処刑されてしまいます」

セブン「・・どうすれば・・・助けられる?」

偵察部隊「それは簡単です・・・代わりがいればいいだけの話・・・」

マン「私達に・・・代わりに処刑されろ?と言うのか?」

偵察部隊「そうは言ってませんが、助ける方法はそれしかありませんね」

セブン「・・・・わかった・・・・これはやはり私が1人で代わりになる!」

偵察部隊「えぇ、人数は関係ありませんので構いませんよ・・・さぁ・・」

マン「・・・・・・」

 意を決したセブンの前に下りてくる手枷。

そして遅れて現れた足枷。

 その重く、何者も逃がさない枷・・・最愛の弟を縛り連れ去った枷にセブンが腕を伸ばした時だった。

ガシャン!ガシャン!

セブン「な、何を?!」

マン「これは私の分だ・・・言っただろう?私達の決断だと・・」

セブン「し、しかし・・・」

マン「それに・・・これはもう外せない・・・そうだろう?」

偵察部隊「えぇ・・・それはあなたたちには破壊不可能です」

セブン「・・・・・すまない・・・」

 セブンより先に足枷を奪い、自らの足に嵌めたウルトラマン。

 そして、セブンと会話をしながら残る手枷を嵌めていく。

 ジャラジャラジャラジャラ

 再び降ろされた枷。

 それはセブンの前に降ろされ、「ほら、お前もつけろ!」と言わんばかりだった。

 兄弟の行為に感謝しつつ、再び覚悟を決め足枷、手枷を嵌めていくセブン。

偵察部隊「いいでしょう・・お望みどおりに処刑して差し上げましょう!」

 セブンが枷をつけ終えるとナックル特製の処刑台が降りてきた。

 その光景を見つめることしか出来ない2大戦士。

 そして、枷につながる鎖は引き戻され、二人は勢いよく磔にされてしまったのだ。 

空中に浮かぶ処刑専用の円盤に磔にされ徐々にその処刑台が降りてくる。

偵察部隊「いい眺めですね・・・まさかあなた達がこんな姿になるとは・・・」

ジャラジャラジャラジャラ・・・ガシャン

 重たい音と共に地面に降りる磔台。

 地球に初めてナックル星人が侵略した時、ジャックがされた逆さ磔・・・・。

 それを今、2大英雄が体験しているのだ。

 セブン「さぁ・・・約束通りにしたんだ、ジャックを解放しろ!」

偵察部隊「ふふふふふ・・・」


マン「何がおかしい!」

偵察部隊「ふはははははは・・・あなた達は本当にどこまでも正義のヒーローですね」

セブン「どういうことだ!」

偵察部隊「動けないあなた達の言うことをどうして聞く必要があるんでしょう?」

マン「嵌めたのか?!」

偵察部隊「嵌めた?自分達が処刑してくれと言ったのでしょう?

      人聞きの悪いことを言わないでもらいたい」

セブン「くそっ・・・ウルトラマン・・・すまない、わたしのせいで・・・」

マン「何を言う・・

    これは私達2人の決断だ!君のせいではない!」

偵察部隊「セブンのおかげで3人ものウルトラ戦士を葬れる・・感謝していますよ!」

セブン「・・・・・・」

マン「私達が敗れても、兄弟が必ず・・」

偵察部隊「同じ手で処刑されますね・・ふははははは・・愉快愉快」

セブン「(ならば・・)」

 両手両足をアンチスペシウム鋼で拘束され、仲間も助けられない。

 光の国にウルトラサインを出そうとセブンがエネルギーを集めた瞬間!

シャァァァァァァ!ビビビビビビビビビビ!

セブン「ぐっ・・ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・」

マン「ギャァァァァァァァァァ・・・・・」

 母船から放出された光線はセブンのビームランプ、ウルトラマンのカラータイマーに命中し

全身を紫色の光が包み込む。

 その直後、光線が着弾した場所から二人の生命エネルギーが漏れ出し母船に回収されていくのだ。

セブン「い、一体・・な・・にを・・・」

マン「エネルギーが・・・・・奪われて・・・・・い・・・・・」

 ウルトラサインどころか喋ることさえままならず、二人の体から生気が失われていく。

 その様子を楽しそうにモニターを通し見つめるナックル星人。

 計画通りに全てが進み、満面の笑みで部屋の中の絶叫を続けるジャックを見つめていた。

セブン「・・・も・・・だめ・・・だ・・・・」

マン「ジャ・・ック・・・・」

 最期の言葉を残し二人の体から光が漏れ出すことはなくなった。

 瞳は暗く沈黙し、体がぐったりと磔台に身を預ける形になった。

ナックル星人「ご苦労だった・・・手はずどおりにいったようだな」

偵察部隊「はっ!こやつらはこのまま例の場所に連行します」

ナックル星人「あとはわかっているな?」

偵察部隊「はい、自動操縦にし記録に専念いたします」

ナックル星人「あぁ、楽しみにしているぞ・・・」