Day Control


3話


 地球を守るために自らの身を犠牲にしたジャック。

 彼の体は今やナックル星人の手の中だった。

 今、自分がどこにいるのか?地球は無事なのか?

 頭に浮かぶ疑問は数あれど、1つも答えは見出せずにいるのだった。

 拷問椅子に据え付けられ、体中を汚液にまみれさせられる屈辱を味わう光の国の戦士。

 すでに拷問が始まっており、ジャックを攻め立てている真っ最中だった。

 しかし、そんなジャックだったが、希望を1つ見出すことが出来ていた。

ジャック「(ブレスレットは封印されていないな・・・

      あとちょっとエネルギーが溜まれば・・・いける!)」


 ジャックが拘束されているのはブレスレットの装着場所よりも末端側から・・・。 

つまり、ブレスレットは未だ健在なのだ。

 磔になりエネルギーが切れたために今はまだ力を蓄えている最中であるが、

念力で操ることが出来るため、今のジャックでも十分な武器になりうるのだ。

 息を荒く、体をプルプル震わせながら身悶えるジャックだったが、

内心はエネルギーがたまるのを待ち、反撃のチャンスをうかがっていた。

ジャック「(よしっ・・・・今だ!)」

ガシャン!カチッ!ウィィィィィィィィィィン

 ジャックが念力を発動するために精神集中を開始した直後、恐れていた事態が起きたのだ。

 ブレスレットをすっぽりアンチスペシウム鋼が包み込み椅子の肘置きと

一体化させてしまったのだ。

 それに加えて、床から現れた怪しげなチューブが漆黒の金属ベルトに装着され

稼動し始めたのだ。

 魔の金属に念力も阻まれ、唯一の反撃のチャンスが容易くつぶされてしまったのだ。

ジャック「なっ・・・・・」

ナックル星人「気がつかないとでも思ったのか?」

ジャック「さ、最初から・・・」

ナックル拷問部隊「えぇ、あなたの様子は全てモニタリングしてますから」

ナックル星人「体温やエネルギー残量・・・うずいている股間とかもな」

ジャック「そんなこと・・・・あるわけないだろ!」

ナックル星人「粘液だけでもそんなお前だ、これは耐えられるかな?」

ジャック「一体、何を・・?!・・・あぅっ・・・ぅっ・・・・」

ナックル拷問部隊「声も出ないか・・・ふはははははは・・・・」

 ブレスレットに施されたのは単なる封印ではなかった。

 この必殺の武器からもエネルギーを供給していることをナックル星人は知っていたのだ。

 そこで外部からは操作できないように封印しつつ、そのブレスレットに特別なエネルギーを

注ぎ込むことでジャックの体内に思い通りのエネルギー注入が行えるように

細工がされていたのだ。

 もちろん、注ぎ込まれたエネルギーがまともなものなわけもなく、

ナックル特製のとびっきり邪悪なものだった。

 光の国の戦士の体に強力に作用し、強制的に興奮状態にしつつ性のエネルギーを

増産してしまう効果があったのだ。

 体中にまとわりつく粘液、部屋の環境だけでも未経験の刺激に防御できないジャックを

襲う暗黒のエネルギー。

 瞬く間にジャックの体は興奮状態にされ呼吸もままならないほどだった。

 股間にエネルギーが集まる感覚が現実のものとなり、敵の前で最も見せたくない姿を

晒す羽目になったのだった。

ナックル拷問部隊「どうだい?気分は?」

ジャック「はぁ・・はぁ・・・

      くっ・・はぁ・・・い、いいわけ・・・んぐっ・・ないだろ・・・」

ナックル拷問部隊「安心したまえよ、このエネルギー挿入も1日1回だけなんだから」

ジャック「んぐっ・・・くそっ・・・はぁ・・・はぁ・・・・」

ナックル拷問部隊「そう、何回もやったら体が壊れてしまうからねぇ・・ふふふふ」

 「体が壊れてしまう」

 その言葉の意味を考えるのは難しいことではなかった。

 注ぎこまれた直後でさえもこの状態・・・。

 日に何度も注がれたらと考えるだけで生きた心地がしなかった。

ウィィィィィィィ・・・・ン

 機械の停止する音と共に、暗黒のエネルギーの挿入が終わった。

 しかし、怪獣の光線等とは異なり、このエネルギーはジャックの体に蓄積し続ける・・・

麻薬の様な作用があるため、興奮は簡単には収まらず、停止しても尚ジャックを責め続けた。

ジャック「んんっ・・ぐっ・・・くはっ・・・・」

ナックル拷問部隊「降参ですか?」

ジャック「だ、誰が・・降参・・・っ・・・なんか・・・・」

ナックル拷問部隊「強がりかっ・・・・

           これからはこれが貴様の食事だ・・・ありがたく思え・・・」

ジャック「・・・・・・・」

 吐き捨てるように告げた後、再びあの悪魔のデバイスを操作する拷問部隊。

 椅子の後ろからヘッドギアの様なものが現れ、獲物の頭部を覆い隠す。

 ピッタリと嵌ったかと思うと、瞳にはゴーグルの様なものが装着され、

耳には巨大なヘッドホンが覆いかぶさった。

ジャック「な・・はぁ・・・はぁ・・・なんだ・・・これは・・・」

ナックル拷問部隊「ウルトラ戦士は体だけじゃなく精神も強いことだろうからと、

           今度は精神で遊ぼうかと思ったまでだ」

ジャック「はぁ・・はぁ・・・・どこまでも・・・っ・・・馬鹿にしやがって・・・・」

(捨てられた・・・お前は捨てられた・・・・)

ジャック「・・?!・・・」

ナックル拷問部隊「どうかしましたか?」

ジャック「・・い、いや・・・な、なんでも・・・ない・・・」

 ヘッドホンからは淫猥な音が響き、体が火照る感じがしていた。

 しかし、確かに聞こえた言葉はヘッドホンからは聞こえてきていない・・・・。

 月面での戦闘、拷問で疲れが溜まり、幻聴が聞こえたのかもしれない・・・

そう納得しかけた時だった。

(お前は光の国に捨てられた・・・)

ジャック「(まただ・・?!・・・)」

 再び聞こえてきた幻聴に戸惑っていると、一瞬、ジャックの脳裏を驚愕の光景が

かすめたのだ。

 たった独り、ゴルゴタで磔にされるジャック・・・。

 たった独り、地球でブロンズ像にされたジャック・・・。

 たった独り、凍りついた光の国で冷凍されたジャック・・・。

 たった独り、Uキラーの生贄にされクリスタルの棺に入れられたジャック・・・。

 全てが自分独りだけなのである。

 そして、その哀れなジャックの周りには兄弟達がいて、助ける素振りがない・・・。

ジャック「(なんだ、今のは・・・・)」

ナックル拷問部隊「(順調なようだな・・・)」

 ヘッドギアをしていてもわかるジャックの狼狽ぶり・・・。

 サブリミナル効果による刷り込みと波長を変え脳に訴えかける幻聴は大成功だった。

 淫猥な音に紛れさせて(見捨てられた)ことを脳に流し、

汚液を塗られる自らの録画映像に忍ばせて(ジャックは独り)であることを刷り込ませたのだ。

 そして、そこに追い討ちの言葉を投げかける・・・。

ナックル星人「もしも、光の国のことを教えてくれるなら拷問を止め、

        ナックル星に迎えようじゃないか、どうだね?ジャック」

ジャック「・・?!・・そ、そんなことできるわけ」

ナックル星人「そうかい?君は光の国に捨てられたのだよ?」

ジャック「・・ち、違」

ナックル星人「違わないね!セブンが強いのならあそこでブラックキングを全て倒せば

        よかったんだ!君を売ることで地球を守ったのさ」

ジャック「・・・・そ、そんなことは・・・・」

ナックル星人「まぁ、まだ今日が初日だ・・・そのうち、気も変わるだろう」

ジャック「・・・・・・・」

ナックル星人「口が利けなくなる前に色よい返事が聞けることを祈るよ・・」

ジャック「(口が利けなくなる前に・・・・)」

 「口が利けなくなる前に」という言葉は今のジャックにとって恐ろしい言葉だった。

 過去に磔にあったことも、冷凍されたことも、ブロンズ像にされたこともある。

 しかし、今、自らに処されているのは今まで経験してきた「拷問」とは違うのだ・・・。

 つまり、まだ、想像する何1つとして行われていないことは今のこの事態が

本番ではないということを想像させ、ジャックを恐怖させた。


ウィィィィィィィィィィィィィィン

 恐怖し青ざめるジャックの頭部からヘッドギアが外され椅子の背面にしまわれていく。

 用意された映像・音波を叩き込まれ、久しぶりに拷問部隊の前に顔を出した。

 徐々に勇敢だった顔が恐怖に染まっていく変化を楽しんでいるように眺めている

ナック星人の顔は邪悪に輝いているようだった。

ウィィィィィィン

 捕まえた獲物に休息など与えるはずもなかった。

 ヘッドギアを収納したかと思えば、今度は天井からホースの様なものが降りてきて、

迷うことなくジャックのカラータイマーに接着してしまった。

ジャック「何をする・・はぁ・はぁ・・つもりだ・・・・」

ナックル星人「知らないとでも思ったんですか?」

ジャック「な、何の・・・ことだ・・・」

ナックル星人「徐々に体が回復するのでしょう?光の国の戦士という生き物は?」

ジャック「・・・・(そ・・そこまで・・・・)」

ギュル・・・クパッ!ネチョ!

 タイマーに接触していたホースの先が生き物の口の様に開き、

タイマーを包み込むと胸板にその口辺を密着させたのだ。

 そして、飲み物を吸い上げるように胸板に接着したホースが脈動し始める。

ジャック「ぁぁっ・・・っ・・・くっ・・・そっ・・・・」

ナックル拷問部隊「ふふふふ・・・あのジャックが喘いでいるぞ・・・」

ジャック「喘いでなど・・・っ・・くっ・・・・いない!」

 必死に悶えるのを堪えるジャックの胸からは光が吸い上げられホースの中を通って

ナックル星人の手におさめられていく。

 必死に隠し通し、反撃に備えて蓄えたエネルギーが奪いさられてしまったのである。

 1日かけても微々たる量しか回復しなかった・・・

しかし、そんなわずかばかりのエネルギーでさえも持たせてはくれなかったのだ。

 体からエネルギーが抜けていき脱力するジャック。

ジャック「あぁっ・・・・・っ・・・・・」

ナックル拷問部隊「さぁ・・今日の成果を回収させてもらおうか・・・」

ジャック「せ・・・成果っ・・・?」

ナックル拷問部隊「貴様の1日の最後の仕事だ!頑張ってくれよ!」

ジャック「・・・?!・・・ぐわぁぁぁぁぁぁ・・・・・」

 拷問部隊の意味深な言葉の後、股間を包む液体金属が激しく動き始め、

粘液や暗黒エネルギーの影響で体に蓄積した性エネルギーを強烈に吸引し始めた。

 それは体の抵抗など、まるで無意味なほどに強く、極悪だった。

 拘束されているために身悶えることも出来ず、ただただ屈辱にまみれながら

敵の手に遺伝子を渡してしまうのだった。

ジャック「あっ・・・がぁぁぁぁっ・・・んぐっ・・・ぐわぁぁぁぁぁぁ・・」

ナックル拷問部隊「思いのほか、たくさんあるようだな・・・くははははは・・・」

ジャック「あぁぁっ・・ぁっ・・・っ・・・・・」

ウィィィィ・・・・・・ィィィィン

 体内にエネルギーが残っていないことを察知すると股間部の拷問が終了していった。

 そして、果てたジャックを白いガスが優しく包み込む。 部屋のいたるところから

ガスが噴出し充満していく。

 ガスマスクを装着した拷問部隊が艶かしくジャックの顔を撫で回し部屋を後にする。

 ジャックの目からは涙がこぼれていた・・・。

ジャック「・・・ぁっ・・・・・(意識が・・・・遠のいて・・・いく・・)」

 部屋がすっかり真っ白い靄に包まれた時、ジャックの意識は完全に深いよどみの中に沈んでいた。

 そして、ガスが排出され、深い眠りについた獲物だけが残された。