555悲話(7)
翌朝、ショウとロビンは司令部へと連れて行かれた。
司令部に着くと、ロビンは拷問室に連れ込まれ、ショウだけが慎也のもとに呼ばれる。
「おはよう、ショウ君」
「おはようございます、慎也様」
慎也の前で、従順さを装うショウ。
そうしないと、拷問室のロビンが痛めつけられる。
「“おはようございます。慎也様”・・か。
丁寧なご挨拶だが、正義のヒーローが、悪の幹部に対して、
どうしてそんな言葉遣いをするのかね」
「ぼ、僕はもう正義のヒーローではございません。
慎也様にお仕えさせていただく、奴隷の一人でございます」
「ははは。模範解答だ。
私に従うのは、君が奴隷であるからで、ロビン君の身を案じてではないんだね」
「は、はい」
「うん。さすがにロビン君だ。短い間に、奴隷の心得を十分に教えたようだね。
さて、学んだ事は実践する事も大事だが、人に伝えていくのもも大事な事だ。
そこで、今日、新しく奴隷になる男が到着するが、
君が奴隷の心得を教えてやって欲しい」
「は・・はい」
「いいか、もしも新しい奴隷が粗相をしたら、ロビン君に責任を持ってもらうからね。
しっかり頼んだよ」
島に輸送機の爆音が響いた。
到着した輸送機から、一人の男が引き下ろされる。
ナガレであった。
素っ裸で運ばれてきたショウとは違い、まだジーンズの上下を身に付けている。
手錠をはめられているものの、自由な足で戦闘員を何人か蹴り倒し、連行を拒んでいた。
だが、多勢に無勢。ナガレは司令部の一室へと連れ込まれる。
ナガレが連れ込まれた部屋の隣には、ショウが連れ込まれた。
マジックミラーと隠しカメラで、ナガレの部屋の様子が分かるようになっている。
「兄さん」
ショウは絶句した。兄の前に、素っ裸にされ、奴隷となった我が身を曝すばかりか、
奴隷としてのレクチャーまでしなければならなくなるのか。
「いいかね。ナガレ君にも君と同じように、素っ裸になってもらい、
スンラデア(強力脱毛液)の水槽に入って、首輪をしてもらうんだ。
以上のことが済んだら、ロビン君を帰してあげよう。
だが、ナガレ君が奴隷になるまで、ロビン君は拷問室に留まる事になる」
慎也はモニターのスイッチを入れた。
拷問室の様子が映し出される。
逆さ磔にされたロビンが、尻にロウソクを入れられ、悲鳴を上げている。
「可哀相にねぇ。早くロビン君を助けたかったら、心を込めて説得する事だ。
ただし、ロビン君の事は言わない事。
いいね。ナガレ君も奴隷になったんだから、言う事を聞くのは当然なんだろ」
慎也は薄笑いを浮かべて出ていった。
ナガレの部屋に慎也が入った。
「はじめまして、ナガレ君」
「お前が慎也か!。弟を、ショウをどこへやった!」
ナガレは、弟を裁判で辱めた男の顔を睨み据えた。
怪人二人が両脇をかためていなければ、殴りかかろうという勢いだ。
「ショウ君の事が心配なら、今すぐ会わせてあげるよ」
慎也がそう言うと、ショウは戦闘員に引き立てられて、ナガレの部屋に入った。
「ショウ」
素っ裸で現れたショウに、ナガレはしばし言葉を失った。
しかし「貴様、よくも弟を!」と叫ぶと、怪人を振り払って、慎也に襲いかかる。
「だめだ、兄さん。慎也様に何てことを」
ナガレを背後から押さえるショウ。
「なっ。何をするんだ、ショウ」
「兄さん、僕らはもう555じゃない。慎也様の奴隷なんだ」
「おっ、お前、気でも狂ったのか。
まさか裁判の時に言った言葉は、本気じゃないんだろうな」
「本気さ。現に僕はこうして、慎也様をお守りしたじゃないか」
「うぅっ」
ナガレの身体から、力が抜けていく。
「それでっ。俺にどうしろと言うんだ。俺にも裸になって、首輪を付けろと言うのか」
「そ、そうだよ、兄さん。奴隷に服なんて、必要ない。
さぁ、服を脱いで、脱毛液で下半身の毛を抜いてもらうんだ」
ショウの目に涙が流れる。
その涙に、“ショウの心は奴隷にはなっていない”と感じるナガレ。
「分かった。脱がすなり、剃るなり好きにしろ」
ナガレは慎也に向き直って、そう言い放った。
だが、慎也は辛辣だ。
「いや、僕が言っているのは自分で脱げという事なんだよ。
ショウ君は奴隷にされた訳じゃない。自らの意志で奴隷になった。
君にもそうしてもらいたいんだがね」
「うっ」
一瞬、躊躇するナガレだったが、ショウの訴えるような目に促され、
服を脱ぎ始める。
「はははは」
「ぎゃっははは」
ナガレが最後まで身につけていたパンツを脱いだ時、司令室に笑い声が響いた。
なんと、ナガレのチンポは、せいぜい小学校高学年程度のサイズ。
しかも包茎だったのだ。
「ははは。ナガレ君。君が裸になりたくなかった気持ちも・・・ははは・・・
わっ、分かるよ。弟のショウ君が立派なモノをぶらさげているだけに・・ははは・・。
君は我々だけでなく、弟にも恥を見せたわけだよね」
試しに・・という事で、ショウとナガレは向き合って立たされ、
お互いのチンポを付き合わされる。
ナガレのチンポはショウの半分もなかった。
「ははははは」
再び嘲笑が起きる。
慎也ばかりでなく、怪人や戦闘員にまで笑い者にされ、ナガレは顔を赤くする。
「さ、さぁ、ショウ君。ナガレ君のオチンチンに毛は似合わないよ。
毛が生えていると、チンポが隠れてしまいそうだ。
早くきれいにしてあげなさい」
ナガレはショウに付き添われ、戦闘員に引き立てられていく。
もはや、ナガレにさっき見せた反発はなかった。
「慎也様。こんな物がナガレの靴底から出てきました」
笑い転げていた慎也に、ナガレの衣類を調べていた戦闘員が、
靴底から発見された不審物を手渡す。
慎也の顔から笑みが消えた。
超小型特殊発信器。
「うっ。なんという事だ。
この基地の所在が、敵にばれてしまったのか・・」