555悲話(3)

 

ショウの裁判は、テレビの夜のゴールデンタイムに合わせて行われた。

全世界に向かって、555の、ひいては正義の敗北を知らしめる作戦なのだ。

傍聴席には、報道関係者が押し寄せている。

「被告人・ショウ、入廷」

ショウが連行されてくると、一斉にカメラのフラッシュが焚かれた。

ここでは、カメラ報道も許されているのだ。

裁判の会場は、ほぼ本物の裁判所と同じように作られていたが、

被告人席だけは違っていた。

中央の裁判長席の下に十字架が置かれ、

ショウはそこで傍聴席のカメラに向かって磔にされる。

「では、これよりショウの怪人大量殺人事件についての審理を始めます。

 検察官戦闘員、起訴状を朗読して下さい」

「はい」

裁判長・慎也に促され、検察官戦闘員が起訴状を朗読を始める。

起訴状には、555が「いつ・どこで・どの怪人を・どうやって」倒したかが

細かく記されていた。

それを聞くショウの脳裏には、自分が勇敢に戦い、輝いた日が甦る。

しかし、そんな自分も、今は敵の罠にはまり、磔にされる身である。

しかも、その姿が全世界に報道されているのだ。

ショウは惨めな気持ちで目を上げる事も出来ず、じっと下を向いていた。

だが、そんなショウをより惨めにする事態が起きる。

「さっ、裁判長!」

ショウが突然、声をあげた。

「何かね、被告人。今は起訴状の朗読中だ。言いたい事は、後で聞きます」

「いっ、いいえ。トイレに行かせて欲しいんです」

「なにっ?!。トイレ!」

“昼間、外で日干しにした時に飲ませた水が効いてきたんだな。

 排泄制御液の効き目もまずまずだ”

慎也は笑いを噛み殺した。

「被告人。今は、君の大量殺人の審理中なんだよ。

 ふざけた事を言ってないで、静かにしていたまえ」

「しかし!」

「戦闘員、静かにさせなさい」

慎也に命じられた戦闘員は、磔にされ、身動きのできないショウの股間を目がけて

鞭を振るった。

「ギャー」

ショウの悲鳴が、響きわたる。

「黙るまで続けなさい」

さらに鞭が振るわれる。

「うぅっ」

さらに一発。

「うっ、あぁ・・あぁっ」

ショウの諦めにも似た声が響くと、ショウの股間にシミが瞬く間に広がっていった。

漏らしてしまったのだ。全世界の見つめる前で。

「なっ、何という事を!。しばらく、休廷にします。

 戦闘員、その汚い短パンを脱がせなさい」

慎也の“休廷”の言葉を聞くと、カメラマン達は一斉にショウの周りに群がった。

レポータもそれに続く。

これから、ショウが短パンを脱がされるのだ。

このスクープを見逃すはずがない。

「静粛に!。報道の自由は保障するが、整然と行動するように!」

戦闘員が制止し、カメラマンは整列させられ、レポータは代表者が呼ばれる。

「では、戦闘員。被告人の短パンを脱がせなさい」

騒ぎが一段落するのを待って、慎也が再び命令した。

「そ・・それだけは許して下さい」

「どうしてですか?。ショウさん。

 別にフリチンになれと言っている訳じゃないんですよ」

レポータが嫌がるショウに質問する。

「ぼ・・僕は」

「僕は、何なんですか?!」

「僕は・・あぁ・・僕はパンツを穿いていないんです」

「えっ?!。パンツを穿いていない!。と言う事はノーパン!」

「は・・はい。だから・・」

ショウの目には涙が流れる。

「さぁ、とんでもない事実が発覚しました。何と555のショウさんはノーパンでした。

 そして今、短パンを脱がされようとしているのです」

だが、レポータの非情な言葉は世界に流された。

戦闘員も非情だ。

身体を十字架に押しつけ、最後の抵抗を試みるショウの短パンを

一気に足下まで引きずり降ろした。

カメラのフラッシュが焚かれ、ショウの股間がTV画面にズームアップされる。

「戦闘員。被告人の股間を拭いてあげなさい」

戦闘員が雑巾を持ってくる。

戦闘員の手が、丸出しにされたショウのチンポをつまみ、雑巾で拭き始める。

いや、それは拭いていると言うより、しごいていると表現すべきだろうか。

「あぁ・・」

「どうしたんです、ショウさん。まさか感じているのでは?」

「あぁ・・いえ・・僕は・・そんな・・」

しかし、身体は正直だ。

ショウのチンポは、見る見る勃起を始めていた。

 

「それでは、開廷します。起訴状の朗読を続けて下さい」

10分後、再会した法廷の十字架に磔にされたショウのチンポはすっかり萎縮していたが、

その先端からは、白い糸が小便にまみれた足下の短パンに落ちている。 

戦闘員の手によって、全世界の注視する中、強制射精の屈辱を味わったショウは、

もはや、検察官戦闘員の起訴状など、耳に入らなかった。

「被告人!。どうなんですか?!」

慎也の声で、ショウは我に返った。

「えっ?」

「罪状認否を聞いているんです。あなたは検察官戦闘員の述べた罪状について、

 認めるんですか、否認するんですか」

「み・・認めます」

「罪を認めるんですね」

「は・・はい」

「では、弁護士戦闘員。何か申し述べる事は?」

「はい。被告人・ショウはこうして罪を認めております。

 何とぞ、寛大なご処置をお願いいたします。以上です」

検察官戦闘員の長々とした起訴状朗読に比べ、あまりに短い弁護士戦闘員の言葉だ。

「それでは、被告人。申し述べたい事があればどうぞ」

ショウの両手足の縄が解かれる。

証言台に向かって歩み始め・・ようとした時、ショウは足下の短パンに引っかかり

無様にも前のめりに倒れた。

短パンは、まだ足下まで降ろされたままだったのだ。

傍聴席から、失笑が起きる。

だが、ショウは無表情で立ち上がると、足下の短パンを脱いで、

フリチンのまま証言台に進んだ。

チンポからは、まだ白い糸が垂れている。

証言台に立つと、ショウは泣きはらした目で一瞬、慎也を見上げると、

その場に土下座し、額を床に擦り付けた。

「裁判長様、ヒーローSM倶楽部の皆様。申し訳ありませんでした。

これからは皆様への罪滅ぼしとして、一生、皆様の奴隷として仕えさせてください。

 どうか、命ばかりはお助け下さい。お願いします。命ばかりは・・」

 

「判決を言い渡す。被告人・ショウを無期懲役とする」

 

“これで良かったんだよね、父さん”

慎也の言葉を聞きながら、ショウは心の中でつぶやいた。