555悲話(18)

 

ゴリラ怪人がロビンに倒された頃、サンダーバードの格納庫では、

マトイ・ダイモン・マツリの3人が、トカゲ怪人と対峙していた。

しかし、トカゲ怪人の長い舌がショウの足に巻き付き、

毒液を出すと脅され、形勢不利の状況だ。

「くそー。やむを得ない。ここは降伏するしかない」とマトイ。

「うんうん。いい子、いい子。そうこなくっちゃ。

 ヒーローは人命第一だモンね。

 んじゃぁ、さっさと変身を解除してちょっ」

やむなく、555の3人が変身を解除する。

「ふふふ。さてさて、555いや444をどうやって始末してやるか」

不適な笑みを浮かべるトカゲ怪人。

その時だ。

格納庫の扉が開き、ナガレことゴーブルーが飛び出してきた。

「貴っ様。よくもショウを苛めてくれたな!!!」

「えっ、ナッちゃ・・」

トカゲ怪人の言葉が終わる前に、ゴーブルーのパンチが炸裂する。

「ショウ。今、助けるぞ」

今度はショウの足に巻き付いていたトカゲ怪人の舌を掴むと、

渾身の力を込めて、引きちぎった。

「ギエーー」

舌を引きちぎられ、もだえ苦しむトカゲ怪人。

「今だ、着装!」

再び、マトイ達も変身し、トカゲ怪人に襲いかかる。

「グエー」

トカゲ怪人は、断末魔の叫び声を残して息絶えた。

 

「2人とも、無事だったか」

「まぁ、無事って事でもないが・・。

 いや、そんな話はともかく、慎也は自殺した。

 自爆装置のスイッチが入っているらしいんだ。

 もうすぐロビンとダイゴもやってくる。

 揃ったところで、脱出しよう」

マトイの言葉に、ナガレが手短に状況を伝える。

やがて、ロビンとダイゴも現れた。

「ロビン、無事だったのかぁ」

久々に見るロビンの姿に、ショウが満面の笑みを浮かべる。

「うん。この基地が見つかってからというもの、慎也の機嫌が悪くてね。

 毎日、いたぶられ通しだったけど、防衛軍の爆撃で、地下牢のロックが外れた時に

 逃げ出したんだ。

 あっ、そんな事より、今は時間がない。

 この地下がサンダーバード4号のドックになってるんだ。

 それで脱出しよう」

 

7人は、ロビンの案内で、複雑に入り組んだ地下通路を急いだ。

7人のうち、捕虜になったナガレ・ショウ・ロビン・ダイゴはフリチンのままだったが、

今はそんな事を言っている時間はない。

幸い、怪人は全滅しているし、戦闘員もほとんどが離脱しているので、

抵抗らしい抵抗もなく、サンダーバード4号に乗り込むことができた。

「サンダーバード4号、発進」

ダイゴの操縦で発進する。

「ところで、これからどうする?。

 とりあえずは防衛艦隊と合流する事になるのか?」

マトイがダイゴに尋ねた。

「いえ。これからTPC本部に向かいます」

「TPC本部に?!。どうして?」

「ははは。防衛艦隊には、多くの報道陣が乗り込んでいますからね。

 あなた方はともかく、我々4人はこのままの格好で彼らの前に出る訳には

 いきませんから」

一同に笑みがこぼれた。

潜水艦なので、海上の様子を伺い知る事はできないが、

トレーシー島を離れた事で、長い捕虜生活を送ってきた面々に

安堵の表情が浮かぶ。

いや、何故かサンダーバードが島を離れるにつれ、ショウの顔がこわばってくる。

「何にしても、我々が脱出した事は防衛艦隊にも知らせておく必要がありますよね」

ロビンが無線機の前に座った時だ。

「いや、その必要はない」

ショウはゴープラスターを引き抜くと、ロビンのこめかみに押し当てた。