555悲話(11)

 

「ったく、何という恥さらしだ!」

木戸少将は、慎也の秘密基地から送られてくるスペシャル番組を見て、

怒りが頂点に達していた。

TV画面では、ナガレが妹の裸を想像して、チンポを勃起させている。

「こんな連中を命懸けで救う必要があるのかね」

木戸少将は、傍らの青年に問いかけた。

「自分には分かりません。自分は与えられた命令を、命懸けで遂行するまでです」

特殊部隊のダイゴ大佐だ。

「君のように優秀な青年士官を、こんなバカ兄弟の救出にあたらせるなど、

 司令部の考えている事が分からんよ」

軍人としての模範解答に、木戸少将は満足しながらも、怒りは収まらない。

脳裏には、白鳥健太郎の最後が焼き付いている。

白鳥健太郎が息を引き取ると、マツリはすぐに他の人の救出に向かった。

やむを得なかったのは分からなくもない。

しかし、人類の為に命を懸けて戦った男の最後が、雨ざらしで良いものか。

そもそも、ポートタウンへの奇襲自体、モンドの失策ではないか。

木戸少将の555に対する不信感は、憎しみへと昇華していく。

それに比べると慎也はどうだ。

白鳥健太郎を“英雄”と呼び、兵士全員に敬礼を命じた。

自分はむしろ、慎也とともに

「555と戦いたいぐらいだ」

木戸少将は思わず言葉に出してしまった。

「はっ?」

「いや。何でもない。何でもないんだ」

「では、そろそろ時間ですので」

「そうか。すでに特殊潜行艇は用意してある。

 しかし、くれぐれも犬死にだけはせんようにな」

「はっ」

ダイゴは敬礼すると、司令官室を出た。

 

ダイゴ大佐が特殊潜行艇で秘密基地に向かっていた頃、

ショウは股裂きに苦しんでいた。

「うぅ。あぁ」

わずかずつではあるが、足に巻かれたロープは左右に引かれていく。

「あぁ〜あ、可哀想に。アホなお兄さんを持つと苦労するねぇ」

トカゲ怪人はショウをからかいながら、ショウの背後に回ると、

ショウの尻の穴のあたりを指でさすってみる。

「あれれ?。君、ちょっと勃起してるんじゃないの?。

それって、もしかして短小おバカなお兄さんへの当てつけ?」

散々にバカにされるショウとナガレ。

だが、ついにナガレはショウを救う方法を見いだした。

股間を筒の先端にピタッと密着させ、筒の中に小便を始めたのだ。

筒を密閉し、小便の水圧でボタンを押そうというのだ。

「わっ、わー。何て事を・・」

驚くトカゲ怪人。

「ひぇ〜、汚ねぇ〜」

「これでもヒーローのする事かよ」

戦闘員達の罵声が飛ぶ。

が、ともかくボタンは押され、ショウの足に巻いたロープを引いていた機械は停止した。

 

しかし、それで二人に対するいたぶりが終わったわけではない。

機械は停止したものの、ショウは股裂き状態のままだ。

「さぁ〜て、それでは第2ステージに進みましょう。

 取り出しましたこの壺の、中身は蜂蜜です。

 これをたら〜っと・・」

トカゲ怪人は、ショウのチンポにハチミツを垂らす。

「う〜ん。甘くて、おいしそうなオチンチンですねぇ。

 さて、こっちの箱には、ハチミツが大好きなキラービーって蜂が入っています。

 この蜂さんの毒は強力で、刺されでもしたらイチコロです。

 今、この箱を開けると、ショウちゃんのオチンチンは蜂の群に襲われる羽目に

 なっちゃうんですねぇ。

 でも、トカゲ怪人さんはナッちゃんに弟を助けるチャンスをあげます。

 箱の蓋を開けるのを15分だけ、待ってあげましょう。

 その間に、ショウちゃんのオチンチンのハチミツを、何とかしてあげてくださいねぇ」

観客席から歓声が上がった。

後ろ手に縛られたナガレにとって、何とかする方法は舐めるしかないのだ。

「さぁ、それでは始めましょう。

 ゲーム、スタート」

トカゲ怪人の合図で、タイマーが動き出した。

箱が開いて、キラービーが飛び出してくるまで、もう15分もない。

「ナ〜ガレ、ナ〜ガレ」

会場からナガレコールが起こる。

“あぁ。こいつらは、俺達をどこまでいたぶれば気が済むんだ”

ナガレは、それに押されるように、弟の前に進んだ。

弟のチンポを口に銜えるナガレ。

場内から拍手が起きる。

「ナッちゃん。舌を使って、きれ〜いに舐めてあげましょうね」

嘲笑・罵声・揶揄、もうナガレの耳には何も入らなかった。

ただ、弟を救いたい一心だ。

だが、そんな兄の心を理解しつつも、ショウのチンポは勃起を始める。

早速、トカゲ怪人の目に留まった。

「ほらほら、カメラさん。

 いつまでもナッちゃんのフェラばかり撮ってないで、こっちこっち。

 ねっ、ショウちゃんったら、勃起しちゃったよ。

 ナッちゃん、上手なんだねぇ〜」

 

ショウとナガレにとって、惨めで長い時間が過ぎた。

「さぁ〜って、タイムアップです。

 ナッちゃん、時間ですよぉ。

 あれ、どうしたの?」

トカゲ怪人に促されながらも、ナガレは弟を守りたい一心で、

ショウのチンポを銜えたまま、放そうとしない。

「おいおい、いつまでやってんのよ」

トカゲ怪人が後ろから引き離そうとするが、ナガレは応じない。

「わぁ〜」

ショウが悲鳴を上げた。

「うっ。ナッちゃんったら、何ておバカさんなんでしょう。

 弟のチンポを噛んでどうすんの」

トカゲ怪人の言葉で、ナガレはようやくチンポを放した。

「ったくもう、バ〜カ。

 それじゃ、箱を開けましょう。

 カウントダウン、5・4」

「3・2・1」

会場の戦闘員も声を合わせる。

「ゼロ〜」

思わず目を閉じるショウとナガレ。

パーン。

だが、キラービーは飛び出してこない。

目を開けると、箱の中からバネ仕掛けで飛び出したピエロの人形が

『お味はいかが』と書いた紙を持っているのが見えた。

 

「きっ、貴様!」

トカゲ怪人に殴りかかるナガレ。

だが、変身前の生身の身体では、トカゲ怪人に対抗できるはずもない。

パンチは空を切り、逆に腕をねじ伏せられる。

「ふん。腰抜けヒーローにやられる俺様ではないわ」

今までとは違う、ドスの効いた声だ。

だが、すぐに“ヒーローSM倶楽部の宴会部長”の声に戻る。

「それじゃ〜ねぇ、その怒りをキングジョーにぶつけてみよう」

トカゲ怪人の合図で、等身大のキングジョーが現れる。

「あっ、これね。慎也様がペダン星人からキングジョーを下取りする時、

 オマケでもらったんだわ。

 “壊しても良いよ”って言ってくれてるんで、やっつけちゃってもいいからね。

 まぁ、やっつける事が出来ればの話だけど」