交換日記 番外編 斉藤さんと土方さん
ある日、副長室に総司がやってきた。
「土方さんに頼みがあるんですけど・・・」
「あん?何だ?」
「これを隠させて欲しいんです」
土方に一冊の帳面を差し出した。
「日記帳じゃねぇか?」
「えぇ、斉藤さんに見つからない所に隠して置いてください」
「そして罠を張るので土方さんの発句帳を貸してください」
「断る!」
「何で俺がそんなことに協力しなくちゃならんのだ!」
「へぇ〜、そんな事言っていいんですか?土方さん」
総司がじろりと横目で土方を見た。
「なんだよ?その目は?」
「私、知ってるんですよ。土方さんのもう一つの趣味」
「俺の趣味?(ギクリ)」
「土方さんが月夜の晩に木の上でオカリナ吹いてる事ですよ!」
「ば!総司、何で知ってやがる!?」
「えぇ!?本当にそうだったんですか?」
「頼む、この事は誰にも秘密にしておいてくれ!」
「良いですよ、ですから発句帳貸して下さい」
「わかった・・・(しぶしぶ)」
(すまん!斉藤・・・・)
「あははは、驚く斉藤さんの姿が目に浮かぶなぁ」
「じゃあ、私は行きますからうまく日記帳隠してくださいね」
「あぁ・・」
廊下に出たところでセイに出くわした。
「あ、神谷さんvv」
「どうしたんですか?沖田先生」
「ご機嫌ですね」
「今、面白い事があったんですよ」
「面白い事って?」
「知りたいですか?」
「はい!とっても!!」
「じゃあ教えてあげます。絶対内緒ですよ?」
「ごにょごにょ・・・」
「えぇ!副長にそんな趣味が!?」
「絶対、絶対内緒ですよ?」
「は、はい!!」
(あの、鬼副長が・・・・)
セイは総司と別れ、少し想像して吹き出していると平助に出くわした。
「あれ〜?神谷、何だか楽しそうだね?」
「何かあったの?」
「藤堂先生・・・」
「実はですね、絶対秘密なんですけど副長が・・・・」
噂はこうして屯所中に広がった。
そして、その晩。
闇に紛れて、とある男が台所に忍び込んでいた。
戸棚を探り、中にある物を見つけるとにやりと笑った。
彼はそれを懐にしまうと部屋に戻る為、廊下を急いでいた。
ふと、彼は月が煌々と自分を照らしている事に気がついた。
「今日は月が美しいな・・・」
「どこからかともなく、オカリナの音が聞こえてくるようだ」
「日記帳も手に入れたし、今晩は月見酒だ・・」
(俺の日記を待っていてくれ・・・神谷)
彼は上機嫌で飲みに出かけた。
男の名は斉藤 一。
彼はまだ、それが発句帳であることを知らない。
翌朝
「昨日も副長、オカリナ吹いてましたね」
「月が出てましたからねぇ」
月夜の晩、オカリナの音が聞こえたらそれは土方さんかもしれない(笑)
言い訳
土方さんファンの方ごめんなさい。
お風呂入ってたら何となく「木の上でオカリナを吹く土方さん」
という文字が浮かんでしまったのです。
日記にしようとしたんですが、上手くいかなかったので番外編にしてみました。
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