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2016
4  4

◎ 4月4日は二十四節気の一つ、「清明(せいめい)」です。清明は文字の通り清く明らかなことで、万物がすがすがしく明るく美しい頃をいいます。その他に4月4日は語呂合せから「獅子の日」や「ヨーヨーの日」であり、そして、なんと「あんぱんの日」でもあります。こちらは語呂合せではなく1875(明治8)年のこの日、明治天皇が水戸邸の下屋敷を訪れる際に、銀座の木村屋のあんぱんが出されたことからだそうです。木村屋の木村安兵衛が当時の侍従山岡鉄舟から頼まれ、八重桜の塩漬けを入れた桜あんぱんを考案し献上したといいます。この桜あんぱんは今でも人気の商品だそうです。桜の花の下であんぱんを食べながらの花見もおつなものですよ。

『鵺って?』
 ◎鵺は“ぬえ”と読み、広辞苑によると
  ①野鳥のトラツグミの異称
  ②源頼政が紫宸殿(ししんでん)で射取ったという伝説上
    の怪獣
  ③正体不明の人物やあいまいな態度
、となっています。
 鵺のことは、以前本たよりに私が居住しているi市のk地区に伝わる源頼政伝説に出てくる怪獣、として取り上げたことがあります。

   
 この鵺怪獣がトラツグミの異称になったのは、夜「ヒューヒュー」と鳴く声が不気味なことから付けられたようです。


 しかし、声は不気味と言われていますがその羽は派手さはありませんが美しい模様をしており、体もツグミよりやや大きく見応えのある鳥です。 2か月ほど前に友人のS氏から“トラツグミを見ましたよ”と教えてもらい聞いた場所に行ってみましたが空振りでした。その後情報が無かったのですが、先日またS氏から“同じ場所にいました”と聞いたので今度こそはと出掛けてみました。
 今度はその姿をとらえることができました。一羽のトラツグミが斜面でしきりに餌を探していました。
人を恐れる様子もなく、なんとカメラを構えている私の方に近づいてきました。一番近くに来た時はせいぜい3~4メートル位だったか…。思っていた以上に美しい鳥でした。

   
 トラ模様というより幾何学模様に近く、ある種の芸術品を鑑賞しているようでもありました。しかし、見ていると時折体を上下させたりお尻の方を少しゆすったりする動作を繰り返しており、堂々とした中にユーモラスな感じも受けました。5分近くもゆっくりと観察でき、まさに至福の時を過ごすことができました。

 なお、撮影場所につきましては、(近隣環境を配慮しまして)ご連絡いただきましてもお教えできませんことをご了解ください。

鵺(ぬえ)…鵺といえば、頭が猿、手足が虎で尻尾が蛇という源頼政が退治した怪物をいうが、本来の鵺は夜間や明け方に寂しげな声で鳴く鳥をいう。  後略 「和漢三才図会」より「鵺の話」の一部


2016
4  11

◎ 明日4月12日は「子どもを紫外線から守る日」という。四(よい)一(ひ)二(ふ)で「よいひふ」(良い皮膚)のごろ合わせ。紫外線カット用品メーカーの制定だそうですが、それはさておき紫外線問題に関心を持つ事は大切ですね。

『吉高の大桜満開』
◎ 街路に植えられている満開のソメイヨシノは風が吹く度に花を散らし、葉が目立つようになっています。
ソメイヨシノの見頃が終わりかけると次の主役は山桜でしょう。我が家の窓下から見える公園の山桜がほぼ満開になっています。花色はわずかにピンクがかった白色で、一緒に出てきている葉が赤っぽいという特徴があります。
 この公園の桜もきれいですが、i市には天然記念物に指定されている桜「吉高の大桜」があります。
 畑の中の一本立ちの桜で樹齢300年を超えるといわれており、樹種は「ヤマザクラ」だそうです。雑木林を背景にどんと立っている姿は美しいだけでなく自然の守り神のような様相をも呈していました。

   

・少し離れたi公園が駐車場になっており、そこから20分位歩くと大桜の場所に到着します。見学客が連なって歩くので道を間違える心配は全くありません。まるで正月の初詣の参道のようでした。
 途中に野菜や名物煎餅、タケノコご飯、漬物など地元の産物を売っている仮設テントなどがありました。なんと餅つきまでやっており、雑煮やきな粉餅もありました。(のし餅一枚購入しました)
 大桜前の広場は人が群がっていました。皆記念写真を撮ったり、桜を見上げたりし、一様に「すごいね。きれいね」と言っていました。近くに寄ると太くごつごつした幹はまさに歴史を感じさせます。

   

 大きく枝を張った幹の周りには、菜の花やショカッサイが植えてあり、ぐるりと木柵を巡らし木に近づけないようにしてありました。 以前この木が有名になり始めた頃、大勢の見物客がやってきて幹周りを踏み固めてしまい、枯れそうになったのを樹木医に委託して復活させたと聞いています。


   

 この花々と大桜のコントラストがまたいいもので、一段と桜を引き立てているようでした。

   
    
吉高大桜の花びらアップ写真

 次から次へと続々と人がやってくるので5分ほどいて移動することにしました。
 50メートル位離れてから振り返って再度鑑賞しました。
確かに大きさも立派ですが、どの角度から見ても巨大なお椀を伏せたような樹形は見事で見ていて飽きません。
 その後i公園まで自然を堪能しながら歩き臨時無料バスで駅に戻りました。

   

吉高の大桜…幹周り6.85メートル。
 樹高10.6メートル。拡張最大幅25.8メートル。
 樹齢300年。ソメイヨシノより1週間位遅く開花。

満開は、2から3日間で今期は4月9、10、11日位。
その後は徐々に葉桜に。i市指定天然記念物。
4月6日NHKTVで紹介された影響か、一段と観光客の数が多いようでした。

2016
4  18

◎ 今、TV・ラジオ、新聞は熊本地震の報道一色となっています。14日のM6.5の地震、16日のM7.3とM5.8を初めとして既にM3.5以上の地震が165回以上(17日午後1時半までに)発生したといわれています。 亡くなられた方も増え続け、未だ安否不明の方も10人前後いるといわれています。お亡くなりになられた方々のご冥福と被災に遭われた方々へお見舞いを申し上げます。そして何よりも地震の一刻も早い終息を願いたいと思います。

 「雨降って百石を潤す」というのは、二十四節気の第六番目の「穀雨」の意味です。しとしと降る雨は、穀物が成長するために必要な雨だそうです。明後日の4月20日は、その穀雨です。この時期、特に雨が多いということはないようですが、降れば“菜種梅雨””と呼ばれることがあるようです。

『身近な自然探し』 ◎近場で自然を探してみました。
<カンムリカイツブリ>
 先日i公民館に行った時、すぐ脇の橋の下の水路にカンムリカイツブリが一羽泳いでいるのを見つけました。
   
 しきりに潜っていたので餌を探していたのでしょうか。本種は冬鳥として渡来するのでもう帰る時期が来ていると思いますが、どうしたのでしょうか。双眼鏡で見ると頬の辺りが少し赤茶色になっていました。これって夏羽になりかかっているのですね。
<ツバメシジミ>
 カンムリカイツブリを見た後、福祉センターまで歩いて行きました。センター裏手の駐車場奥の草地に数種のチョウが見られました。添付写真のチョウは草むらにすむシジミチョウの一種でツバメシジミです。
   
 翅に糸のような短いしっぽ(尾状突起)が可愛いチョウです。

カンムリカイツブリ…カイツブリ科L50センチとカイツブリ類中最も大きく首が長い。夏羽は黒い冠羽と橙赤色の頬の飾り羽が特徴。主に冬鳥として九州以北の湖沼、河口、海岸に渡来する。


<モンシロチョウ>
 家内と家内の友達が共同でやっている畑に行ってきました。昨日の風で豆の支え棒が倒れていないかなどを見に行ったのでした。近くにやってきていた野鳥や昆虫を観察していましたら、お馴染みのモンシロチョウが盛んに菜の花で吸蜜していました。
   

<亀>
 ニュータウン大橋から池の水面を見るとカモ達はほぼ見られなくなり、営巣中のカワウやアオサギがいる程度でした。それでもじっくり探すと、ツバメ、カイツブリ、オオバンがいました。そして亀たちでした。 橋下にいた2匹を写真に撮って、後で見るとミシシッピーアカミミガメとクサガメが仲良く甲羅干しをしていました。
   
<スイバ>
 ♪「どてのすかんぽジャワさらさ・・・」♪ 北原白秋作詞・山田耕作作曲の「すかんぽの咲く頃」の歌詞です。
 スイバの新芽はスカンポと呼ばれ昔は子どもたちが良く食べたそうです。スカンポの酢っぱ味はシュウ酸によるものです。
   

2016
4  25

◎ 4月22日は、「アースデー(地球の日)」でした。アースデーは、1969年にジョン・マコーネルがユネスコの環境会議で地球環境を考える日として提起し、2009年4月22日国連総会で採択されたのでした。私達IWG(印西ウエットランドガイド)は、里山散策を通してささやかですが地球環境を守っていくことを願って活動しています。アースデーも年に一度ではなく毎日指定した方がいいと思いました。

 『団体表彰を受けました』
◎4月23日(土)i市文化ホールにて私達の環境ボランティア団体「印西ウエットランドガイド」が市制施行20周年記念に伴う市政功労団体表彰を受けました。そのことを報告いたします。
・当日は500人が入るホールが満員で、このような式典に初めて参加した私はびっくりしました。
   
 来賓が数百人、表彰者数も200人以上のマンモス受賞式でした。初めに印西市出身のピアニストでヨーロッパ各地で演奏活動をされている中込多実子さんのピアノ演奏がありました。
   


 休憩後式典が始まりました。主催者や来賓の挨拶の後、表彰式が始まりました。

 当団体は最後に行われた“善行表彰”の部でした。
 私達は特に善行をしている意識で活動をしていないので一寸変な感じもしました。

 尚、善行の部の団体の顔ぶれはほとんど町会や自治会、又は道路や公園で花を植えたりゴミ拾いをしている団体でした。
 私達のような自然環境活動をしている団体は他に表彰されてなく残念な気がしました。
 式終了後、アトラクションとして子どもたちの合唱と和太鼓サークルの演技発表がありました。どちらも素晴らしかったです。

   


★☆救援(義援)金☆★
 先日のメールでお願いしました熊本地震の救援(義援)金ですが、とりあえず第一回目として下記の額を社会福祉法人朝日新聞厚生文化事業団を通して送付することとしましたのでご報告いたします。
 ご協力ありがとうございました。
 なお、第二回目は5月中旬を考えております。

  救援(救援)金 第1回目 金55,362円也

2016
5  2

◎ ♪夏も近づく八十八夜 野にも山にも若葉が茂る♪は、ご存じの茶摘みの歌詞です。5月1日は八十八夜でしたが、谷津田は今が田植えの真っ盛りです。斜面林には若葉が映え藤の花も見られ、里山は最高の時節です。

 『待望の歴史資料センターオープン』
◎4月27日にオープンした“木下交流の杜”は、歴史資料を展示してある建物と広々とした芝生スペースの二つの施設からなっています。場所は、皆さんもご存知の方が多いと思われます国指定の天然記念物「木下貝層」から坂を上りきった所で、元県立印旛高校の跡地です。
   

 ・一つ目の施設は、旧トレーニング場の建物を改装した歴史資料センターです。訪れた日は日曜で、新聞折り込みの広報に案内が出ていたこともあり結構な人出でした。
   
 平屋の館内は真ん中に間仕切りを置き、ガラスケースと壁面掲示を基本にした展示でした。入口からあけぼの期(旧石器〜弥生時代)、古墳時代〜奈良・平安時代、鎌倉時代〜江戸時代の展示となっていました。途中に木下貝層の貝化石や江戸期の図絵(複製)や河岸のジオラマなどが置かれていました。

展示資料の目玉は、馬込遺跡出土の瓦塔(がとう)2基でした。前に一度だけ見たことがありますが今回はゆっくりと見る事が出来ました。(瓦塔の詳細は解説欄参照)明るい雰囲気の中、コンパクトで分かりやすい展示のように感じました。ただ、まだ始まったばかりのせいか資料の数が少なく解説もやや簡単な感じがしました。今後の整備を期待したいと思います。
・もう一つの施設は約1.8ヘクタールといわれる交流広場です。
   


 こちらは利根川を望む展望広場や開放的な芝生などがあります。まだ芝生などは養生中で立ち入り禁止の所が多かったです。また、資料センター前の屋外には、木下貝層出土の貝化石岩と松山2号墳出土の石棺が置かれていました。これも一見の価値ありです。尚、交流の杜は、木下貝層露頭地や万葉植物の植えられている万葉公園が隣接し、利用の幅が広い利点があります。この施設には11月実施予定の利根川土手散策会の折に訪問する予定で検討をしています。近づきましたらまた連絡を差し上げますのでご一緒しましょう
   

 本題と離れますが、木下万葉公園側から行く途中のお墓の脇で大きなアオダイショウを見かけました。墓石の外柵の雑草の中に頭からもぐっていて全体の長さは分かりませんでしたが、2メートル位はあったと思います。慌てて写真を一枚だけ撮りました。
   
 とにかく最近見ない大蛇でした。このようなヘビがいるのはこの辺りはまだ、自然が豊かな証拠です。私もヘビは好きではありませんが、自然環境にとって大事な仲間であり環境自然の指標にもなる生き物ですね。
 また、この近くでクビグロアカサシガメという珍しい昆虫(死骸)も見つけました。
   

◆馬込遺跡出土瓦塔…瓦塔とは、木造建築の塔の形を模して作られた焼き物の塔をいいます。馬込遺跡はi市平岡にあった集落遺跡で、奈良平安時代の竪穴住居などが確認されています。出土した瓦塔は七重塔2基で、1遺跡から七重の塔2基が出土した例はなく全国的に見ても唯一の例だそうです。


2016
5  8

◎ 千葉市に所用があり出かけました。30分程で用が済んだので近くにある県立美術館に行ってきました。館では千葉みなと旅客桟橋完成記念展「模型船作家宮内晴美模型」をやっていました。
 船舶模型作家の第一人者と言われていた宮内晴美は3・11の津波により千葉県旭市で逝去されました。かろうじて津波による破損を免れた29点の作品が展示されていました。その他に千葉県ゆかりの画家で市原市に在住していた古城紅観(こじょうこうかん)(明治24年~昭和63)、佐倉市出身の近代洋画の先駆者と呼ばれている浅井忠(安政3~明治40)などの作家の展示がありました。
   
   浅井忠の銅像

 『初夏の里山を歩いて』
◎立夏の5月5日、i市の里山を歩きました。谷津田に下りる手前にある公園での小休止の際に目にしたのは、メタセコイアやクスノキの新緑です。瑞々しい若葉が陽の光を浴びて輝いていました。また、ユリノキの葉陰には、早くも黄緑色でチューリップ形の花がいくつか見られました。
   

・住宅地を抜け、斜面林内の細道を一気に下ると谷津田に出ます。川に沿った斜面林沿いの細道を歩き始めると、早速ウグイスやホオジロ、ヒヨドリなどの声が葦原や林から聞こえてきました。殆どの水田は既に田植えが終わっているようでしたが、まだの所もありました。
 気持ちの良い風を受けながら斜面林に生える野草や低木などを観察しながら進むとちょっと珍しい野草が3種ありました。それは、青紫の花をホタルの光に例えて名がついたというホタルカズラ、
   

下向きの鐘型の花を半鐘に見立てて名のついたハンショウヅル、
   


 そして花の形が船の碇(いかり)に似ているので名がついたイカリソウです。

   

 そこは、数メートルの範囲にこれら3種の野草が見られる絶好の観察ポイントでした。

 他にもハナイカダ、ムラサキシキブ、カマツカ、ガマズミ、ウグイスカグラ、フジ、ウラシマソウ、スイバ、チガヤ、ホウチャクソウ、ナルコユリなどたくさんの植物が見られました。

・田植えが終わった水田にはトウキョウダルマガエルの元気な鳴き声が響き、数匹のシオヤトンボが見られました。

 野鳥は待望の渡りの猛禽サシバも姿を見せ、トビやアオサギ、ダイサギなど大型の鳥やカワラヒワ、コゲラ、ツバメ、モズ、オオヨシキリなどの小鳥たちも見る事ができました。

 又、昆虫ではアゲハやコミスジ、ルリタテハ、キタキチョウ、モンシロチョウ、ベニシジミ、クロアゲハなどのチョウ類、翅を落としたばかりの女王アリと思われるクロオオアリが何匹も巣作りの場所を探しているのか、うろうろ歩いていました。
 帰り道には神社境内の樹木の幹にコクワガタ♂が見られました。
   

 今の時期の里山散策は花でも虫でも野鳥でも見所が沢山あり、里山歩き初心者の方でもベテランの方でも十分に楽しめます。
 お友達やご家族の方とご一緒に里山に出掛けてみませんか。


ハンショウヅル…キンポウゲ科センニンソウ属ハンショウヅル(半鐘蔓)。
 山野の縁に生えるツル性の低木で花期は5~6月。
 葉の付け根から長い花柄を伸ばし、長さ4センチほどの鐘形の花をつける。
 花には花弁はなく、白い毛に縁どられた紫褐色の萼片が花弁のように見える。分布 本州、九州。


2016
5 16

◎ 沖縄・奄美地方が梅雨入りしたというニュースがありました。平年に比べ沖縄は1週間遅いといいます。梅雨とは梅の雨と書き言葉も素敵な響きですが、私達アウトドアイベントを行ってる者としてはやはり困りものです。

『樹齢1000年と伝えられる藤の木』
◎私の住むi市には4つの指定天然記念物があります。そのうち一番知られているのは、約10万年前の地層で古東京湾の一部だったことを示す貝化石の層「木下貝層」(国指定)でしょう。2番目は「吉高の大桜」(市指定)で、後はほとんど知られていないのですが、「将監(しょうげん)のオニバス発生地」(県指定)と「藤の木」(市指定)があります。

・先日このうちの「藤の木」を見て来ました。駅からコミュニティーバスに乗って某寺院の近くで下車し、途中谷津田を横切って1キロほど歩くと天然記念物「藤の木」のある民家に到着しました。
 一足先に訪れていた「藤の木」のガイド役iさんの後について母屋の裏手の一段高くなった場所に行きました。裏山の一角を切り開いたと思われる広場は下草がていねいに刈られた明るい所でしたが、周囲には大きな木が立ち並び、奥の方にはよく手入れされた竹林がありました。広場の中央向かいの奥手に太いムクノキの古木があり、その古木と同じ位の太さのフジが垂直に立ち上がり、地上5、6メートルの所でムクノキに絡み付いていました。
   

フジの蔓は上空に広がるムクノキの枝に沿って這いまわり、大蛇のようにくねくねと伸び、どこまでがムクノキなのかフジなのか分からないほどでした。
     


・iさんの解説後、ゆっくりと鑑賞しました。いくら見ていても飽きない「藤の木」には、樹の持つたくましい生命力を感じました。

 樹下には熊野神社にまつわる碑や氏神様の石碑が建てられ、よく手入れされている広場には貴重な野草の群落なども見られ心が癒されました。

 iさんによると近所の方が「数年花が咲いているのを見たことが無い」と言っていたそうです。
 しかし、樹上を見上げると枝先には緑が美しい葉が茂っていたので、どこかに花の咲いた花柄などがないか双眼鏡で調べてみました。
 すると花柄は見つからなかったのですが、ぶら下がっている実をいくつか見つけました。 

 開花についてはiさんが4月の終わりにフジを撮影したそうなので写真で確かめることにして、家人にお礼を述べて退出しました。
 後日、iさんから送られてきた写真で花を数か所確認することができました。やはり開花していたのです。
 「やった!」と思わず呟いてしまいました。
    
     「藤の木」の花  iさん撮影 


◆「藤の木」…熊野大権現の御神木として、
     樹齢約1000年、樹高約15メートル。
 5月に長さ30センチにも及ぶ花房が咲き乱れます。
 昭和54年5月28日指定
 (i市作成 ガイドマップより抜粋)
 尚、この「藤の木」の場所の問い合わせは民有地の為お答えできませんことをご了解下さい。


2016
5 22

◎ 5月22日は“国際生物多様性の日”です。1994年の締約国会議で制定。国連が決めた国際デーの一つ。当初は12月29日でしたが、2000年の第5回締約国会議で採択日の5月22日となりました。特定の生物だけを守るのではなくすべての生物が繋がっているという考えが多様性の根本で、現在の環境の基本的な考えです。

 『目黒自然教育園を訪れて』
◎何年振りになるのか、久しぶりに港区白金台にある国立科学博物館付属の自然教育園(通称目黒自然教育園)に行ってきました。
 ここは、今から400~500年前の豪族の館が始まりです。江戸期の高松藩の下屋敷、明治期の陸・海軍の火薬庫、そして大正期には白金御料地と歴史を重ねてきました。この間は一般の人々が立ち入ることができなかったため、豊かな自然が残されたということです。昭和24年(1949年)に国の天然記念および史跡に指定され、一般に公開されるようになったのです。

・目黒駅を出て高層ビルやおしゃれな店の並ぶ通りを7、8分歩くと鬱蒼とした森が見えてきます。“大都会の真ん中の森”という表現がぴったりの場所、それが自然教育園です。
   
 園内は、道端に生育している植物が見られる“路傍植物園”、雑木林に生育している野草などが見られる“武蔵野植物園”、園内の池や湿地に生育する植物が見られる“水生植物園”に分かれています。
 また、パンフによると全体の半分以上の場所は特別保存地区になっており散策路は作られていません。動植物の保全場所として自然が守られているようです。
 正門を入り、窓口で来園者用リボンを受け取り胸につけて歩き始めました。道端に様々な野草がぎっしり生えていて、色々な虫が葉
上などに次々に現れました。
   
 頭上には大きな木の枝が葉を広げ、日陰を作っています。見上げると、樹の枝先をひらひらと飛ぶ白い蝶のような姿が10数匹ありました。低いところには降りて来ないので双眼鏡で見ましたが同定ができませんでした。(帰宅後調べてみたらガの仲間でキアシドクガでした。 ドクガの名がついているが毒は無い)
 野草では、里芋のような大きな葉が目立つムサシアブミや花の形が特徴的なチョウジソウが印象に残りました。園内には種名表示板が沢山あり便利でした。仲間とおしゃべりをしながら色々なものを見ながら歩きました。

・園内には数か所の池もあり、「いもりの池」「ひょうたん池」「水鳥の沼」「水生植物園」のように名称がついています。ある池の周りには望遠レンズのカメラを構えた人が集まっていました。カワセミを撮影しているようでした。私たちも一緒に見させてもらいました。
 すると、池内の水面から立ち上がっている枝先にカワセミがやってきました。しきりに首を振っているのを双眼鏡で覗くと、嘴の先に小さな魚をくわえていました。何度か魚を枝に叩きつけてから飲み込んでいました。



その他の池には鯉や亀も見られました。池には他地区で増えているアカミミガメは見られずクサガメのようでした。湿地の木道を歩いている時、脇の小さな池に生えている植物の茎に、大きなヤゴがついているのを見つけました。見ると、ヤゴはすでに空っぽで大きさからしてヤンマのようでした。近くにいた人がクロスジギンヤンマと教えてくれました。運のいいことに目の前にそのトンボが飛んできました。胸部の緑と青色が目立つとてもきれいなトンボでした。暫く行くと、数人が立ち止まって傍にある木の地上2、3メートルの枝に注目していました。聞くと「蛇だよ」と教えてくれました。
   
 いました!
枝に沿って体を伸ばしているのでちょっと見には気が付かない人が多いかと思います。アオダイショウで長さは1,5メートル位でしょうか。写真を2枚撮り先に進みました。

・園内には数百年の歴史を物語るにふさわしいと思われる巨樹が沢山ありました。黒松の大木もその一つで「大蛇(おろち)の松」と呼ばれていました。

   
       アオカメノコハムシ(アザミ類を食べる)

 森の中は草が茂り、立ち枯れの樹木もそのままに残してありました。森の変遷を見守っている感じの自然環境でした。園内は涼しく樹木や水辺環境による自然の恵みを感じられました。又、トイレや休憩所、水飲み場なども何か所かあり、来園者が安心して散策できる環境が整っていました。正門前の教育管理棟内では企画展や展示などが随時行われていて、ふらっと訪れても十分楽しめる場所と思えます。都心に出るついでに訪れてみませんか。
   


自然教育園…武蔵野を代表する四季折々の植物が、それぞれの生育に適した場所で観察できます。あわせて、園内では滅びゆく種の保存も行っています。因みに65歳以上は無料です。

2016
5 31

◎ 先日知り合いからの手紙に「亀の産卵を見ました」とありました。
一瞬、砂浜で穴を掘るアカウミガメの姿が浮かびましたが、添付されていた写真を見て納得しました。写真に写っていたのは、ミドリガメの名で知られているミシシッピーアカミミガメでした。
 場所は近隣の草地でしたので、すぐそばの調整池から産卵のためにやってきたと考えられます。本種は北米原産で、日本ではペットとして販売され、飼われていたものが捨てられ野生化し、生態系に影響を与えるとされています。いわば悪者としてレッテルが貼られてしまった種ですが、写真の産卵場面を見ていると愛らしく生命の尊さが感じられます。

 『初夏の公園散策』
◎先日、H公園主催の散策会の案内をさせていただきました。参加者19人とガイド役の私たち6名、そして公園の職員2名の総勢27人でした。オリエンテーションで双眼鏡の使い方や鳥や虫の見つけ方のポイントを学んだ後、早速公園散策に出発しました。スタートと同時に上空を行き交うツバメや芝生でエサを探すムクドリやカラス、梢で囀るシジュウカラ、低木の中から聞こえてくる鶯の声など観察対象がいっぱいでした。お子さんもいたのでそれらを一つずつゆっくりと観察しながら歩きました。道の脇の林の中にはマムシグサやノイバラ、キツネアザミなど色々な植物が見られました。
    マムシグサ
              写真下はスイカズラ(金銀花)
   

・広場を半周し階段を下りると、目の前に田植えの終わった水田が広がっていました。「ギョギョシ、ギョギョシ…」の大きな声が耳に飛び込んできました。今日の目玉の一つの野鳥「オオヨシキリ」の鳴き声です。
    オオヨシキリ


 夏鳥(渡り鳥)のオオヨシキリは、枯れたアシ原のアシの茎に止まり特別に大きな声で鳴くのです。なわばりを持つ鳥なので1羽ずつ40~50メートルの間隔を開けて止まります。枯れたアシと同じ色のため鳴いていても姿を確認するのはとても難しかったです。

アシ原を双眼鏡で探しているその時、上空に茶褐色のタカが現れ、谷津田を一直線に飛び去って行きました。里山(谷津田)の生態系の頂点に立つといってよいタカ科の猛禽「サシバ」でした。
今回の目玉のトップです。
 サシバはこの後もう一度現れましたが、遠く離れた斜面林の奥に入ってしまいじっくりと見ることはできませんでした。

 今回は参加者に子どもが4人いて、虫担当のガイドスタッフは大忙しでした。子どもたちは、カメムシやゾウムシ、シリアゲムシ、トンボなど、次々に現れる虫に興味をもって見たり触ったり、時には捕まえようとしたりして楽しんでいました。それに子どもの目線は地面に近いせいか虫を探すのも上手でした。
   
          シオヤトンボ

   
          カノコガ

・水田地帯から公園の外周を歩き、池のある生態園から階段を上り出発点に戻り会を終了しました。
 いつも思うのですが、散策(観察)会に子どもが入っていると動植物の名前調べや知識の伝達にならずに、対象の動きなどに関心をもって見るので、かえって印象が深まる感じがするのですが皆さんはどうですか。

オオヨシキリ…ヨシキリ科の鳥。ウグイスに似て大形。アシ原に棲み、鳴き声が「ぎょぎょし」と聞こえるので俳人は行々子という。
 一茶の
  「行々子 口から先に 生まれたか」
 の句は有名。
ウグイス同様にホトトギスに托卵される種でもある。

義援金…5月に予定していました熊本地震義援金
   募集は、5月里山散策会が雨天により中止と
   なり、募金も中止しましたことを報告します。


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