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 2010
 3.29

◎予定していましたソメイヨシノの古木見学は、雨天と数日来の寒気により中止しました。きっと週末から来週中が盛りとなるのでしょう。

 『もったいなくて、とうてい食べられません!』
◎一昨日、利根川土手で山菜摘みのお手伝いをしてきました。参加者のほとんどの方は山菜を摘むのが初めてと言っていました。
最初に今日の狙い目の山菜(ヨモギ、ノビル、ツクシ、クコ、スカンポなど)の特徴と採集の仕方を説明してフリータイムとしました。皆、童心にかえり夢中で摘んでいました。

・さて、山菜図鑑に必ず載っているのですが、まず食べたことのない山菜も多々あります。その一つを紹介致します。
開発や乱獲により山野での生息地が非常に少なくなり、今や希少種になってしまったのが、ユリ科のカタクリです。北海道から九州の山野に自生し、鱗茎から良質の澱粉・片栗粉がとれますが、現在では片栗粉の原料としてはほとんど使われていません。若葉も食べられるというこの野草の楚々と咲く姿を見たら、食べようなどと思う人はいないのではないでしょうか。

・1週間ほど前、カタクリの花を見に千葉市にある泉自然公園に出かけてきました。数はさほど多くありませんでしたが、それでも斜面一面に薄紫の可憐な花が迎えてくれました。カタクリはアリに運ばれた種がこぼれてから花が咲くまでには、7~8年の歳月がかかるといわれています。それを聞くとなおさら食べようなどと企んでいる人も食欲は出ないのではありませんか。
・でも、仮に食べられるとして美味しい食べ方を調べてみました。
山菜図鑑(成美堂出版)に、そのまま天ぷら、煮物、油いため、煮びたしやおひたし、和え物がいいと出ていました。お酒のおつまみにぴったり、上品で美味しそうですね。

★大相撲情報…前に何度かたよりに書きました大相撲十両力士「若荒雄・船橋市宮本出身で船橋大神宮子供相撲出身」は、今場所十両筆頭で勝ち越しました。夏場所は再入幕となると思います。


・しかしまあ、カタクリは無理としてもほかの野草はぜひ試してみる価値はあります。4月いっぱい位がいい時期です。里山に出かけて山菜摘みをしてみませんか。

   
   カタクリ。かつて山菜、いま観賞したい野草。

 ◆カタクリ…ユリ科カタクリ属、山野に自生する多年草。鱗茎は長さ5センチ、太さ1センチ前後のラッキョウ形で地中に深くもぐっている。花は大型で美しい紫色の6弁花をつける。鱗茎から片栗粉がとれる。

戸神白鳥情報…1羽、戻ってきてまだいます。

 2010
 4. 4

◎4月4日は「あんぱんの日」。明治8年のこの日、山岡鉄舟から頼まれた木村屋パン創業の木村安兵衛が、あんぱんに八重桜の花の塩漬けを乗せた「桜あんぱん」を明治天皇に献上したといいます。そういえば今日もヒヨドリが桜の花を盛んにつついていました。きっと美味しいのでしょうね。

 『都会の中のオアシス・ネイチャースポット小石川』
◎先日小石川植物園に行ってきました。大勢の花見客で賑わう園内を2周してきました。桜の林ではここかしこに家族連れが腰を下しお弁当を開いていました。
ただ、どのグループも静かに談笑し、おとなしいお花見光景でした。それもそのはず、花見につきもののアルコールがありませんでした。
 そういえば、ここ小石川植物園の正式名は東京大学大学院理学系研究科付属植物園といいます。ならばノンアルコールにも納得ですね。
 皆アルコール抜きのお花見客でしたが、見事な桜の林の中での花見は豪華そのものでした。

・私は野鳥を求めて歩きましたが、前述のヒヨドリとかムクドリ、シジュウカラなど定番の鳥しか目に付きませんでした。ソウシチョウもいるとの情報を聞きましたが、残念ながらその姿には会えませんでした。
 鳥見の散策のためずっと上ばかり見ていましたが、2周目はのんびりと道端に咲く野の花に目を向けながら歩いてみました。
園内に咲くタンポポはカントウタンポポが殆どでしたし、イカリソウやムラサキケマン、そしてキケマンもありました。またシソ科のカキドオシやキランソウも見られました。

コゴメイヌノフグリ…ゴマノハグサ科の1~2年草。1961年にヨーロッパから種子交換で日本に入る。小米(こごめ)のように小さい花でイヌノフグリに似ていることが名の由来。分布は都内と近郊の各地に散逸しているらしい。花期は3~4月。


・ふと見ると園内のあちこちに白花のイヌノフグリがたくさん咲いていました。桜を撮影しているカメラマンの靴の下にも子供たちの駆け回る足の下、レジャーシートの下にも咲いていました。まるで芝生に生えるクローバのごとく沢山生えているのですが、ルーペでよく見ると見覚えのない野草でした。この野草は種子交換で日本に入ってきたゴマノハグサ科のコゴメイヌノフグリでした。

   
     コゴメイヌノフグリ 小石川植物園

 植物園内にはごく普通にありますが、園内を出たらほとんど見られない種ですね。タンポポといいこのコゴメイヌノフグリといい、当園は都会の中のオアシスのようですね。
・また園内には6代将軍吉宗が創設したという養生所の井戸も残されています。都会のネイチャースポットに出かけてみませんか。都営三田線白山駅より徒歩10分。入園料330円、月曜休みです。

★戸神白鳥情報…1羽戻ってきたオオハクチョウも3月31日からは見られません。全部が北帰行ですね。

 2010
 4. 13

◎NHK連続人形劇「ひょっこりひょうたん島」の台本や小説「吉里吉里人(きりきりじん)」のほか、戯曲やエッセイなど多彩な分野で活躍していました作家井上ひさしさんが4月9日夜に亡くなりました。風刺と笑いで日本を見つめた作家が消えてしまいました。享年75歳。合掌!

 『捨てられて!』
◎4月11日は散策日和でした。京成電鉄の大神宮下駅を出発し大神宮を初め、船橋東照宮や飯盛り大仏、町家などを巡りました。ほかに太宰治の居住地跡や明治天皇の行在所も訪れました。
・午前中は歴史散策が主でしたが、午後は海老川(船橋市街を流れる都市河川)に沿って歩き、まだ散らずに残っていてくれた桜を堪能しました。川面に浮かぶ桜の花びら(花筏)も綺麗でした。土手には数多くの屋台が並び、家族連れやアベックの姿も多かったです。桜見学の前に、特別参加のTさんに桜の種類や見分け、ソメイヨシノの由来の解説をしてもらいました。
その後、海老川調整池予定地の解説をスタッフのHさんにしていただき帰路につきました。
・帰りは、海老川の支流前原川沿いに歩きました。途中ぽかぽか陽気に誘われたのか沢山の亀たちがのんびりと日向ぼっこしてる姿に会いました。
・側頭部に鮮やかな赤い斑紋が目立つこれらの亀は、幼体をミドリガメと呼ばれている帰化種(外来種)のミシシッピーアカミミガメでした。この種は北米から中米、南米にかけて分布する種でペットとして日本に入ってきた亀です。この亀は飼われていたものが種々の理由で捨てられ、野生化したものです。
・この亀がもともと日本にいた在来の亀、クサガメやイシガメを追いやってしまったようです。しかし、決して亀たちが悪いわけではありません。


 そのようなことを考えながら亀たちを見ていましたら、甲羅の形や頭の模様の異なるものを見つけました。およそ50匹のうち、ほとんどがミシシッピーアカミミガメでしたが、在来種のクサガメが2匹、イシガメが1匹見つかりました。
 そのうちのイシガメを双眼鏡で見ましたら、なんと甲羅の端に丸い穴が二つ開いていました。明らかに人工的に開けたようでしたので、おそらく紐を通すためのようでした。間違いなくこの亀も捨てられたのでしょう。
ペットを飼うなら最後まで責任を持ってほしいですね。

   
上側:ミシシッピーアカミミガメ
下側:ニホンイシガメ(甲羅の後側に丸い穴2個あり)

ニッポンイシガメ…カメ目イシガメ科の日本固有種。
本州、四国、九州に生息。甲長最大雄14センチ、雌21センチ。甲羅は黄褐色で後縁部は鋸状。仔ガメは銭亀の名で親しまれている。

2010
 4. 20

◎4月20日は二十四節気の一つ「穀雨」です。春雨が降って百穀を潤すといいます。が、季節外れの雪が降ったり日によって気温が10度以上も違ったりと大変な陽気が続きます。キャベツが何百円だったり、葉物が高騰したりと農家にとっても私たち消費者にとっても他人ごとではありません。いつもの便りです。

 『船橋駅さっちゃん像の募金箱壊される』
◎このところお天気が悪く行けなかった結縁寺谷津にやっと出かけてきました。途中、ヤナギやクヌギ、コナラ、イヌシデなどの新緑を堪能しながら歩きました。中でも橋の上からすぐ真下の池に生えているヤナギの若葉はみずみずしく美しかったです。

・歩いているとうっすらと汗が出てくる位の暖かさにつられてか、蝶などの昆虫も何種類か見られました。テントウムシ(ナミテントウ)、モンシロチョウ、ヤブキリ(幼虫)、そしてマルクビハンミョウもいました。また鳥たちも元気でした。グエーイ、ギュウーイと鳴き数羽で飛び交っている大形の鳥はオナガ。チュビィチィー、チュビティーと甲高くさえずっているのは体の小さなメジロです。橋の上ではイワツバメが群れ、梢ではシジュウカラの澄んだ美しい声が響いていました。

・結縁寺につくと山門前の池からカエルの声がしきりに聞こえてきました。お寺を取り巻く林の木々の中に白っぽく見えるのはヤマザクラでしょうか。ふと田んぼの奥を横切るブルーの電線に大形の鳥がとまったのに気づきました。双眼鏡を覗くと谷津田の食物連鎖の頂点にたつといわれている渡り鳥の鷹「サシバ」の姿がありました。

・住宅地からほんの2,30分歩くとこんな素晴らしい自然に触れられるのが、まさにラーバン(アーバンとルーラルの造語で田園都市)と言われる所以でしょう。
お寺の賽銭箱を見ていてふとJR船橋駅のコンコースに設置されていた少女の銅像を思い出しました。
 銅像は「さざんかさっちゃん」の愛称で親しまれていました。30年前造られた少女がマスコットキャラを抱いている像です。この銅像は実は募金箱付きの像なのです。
少女が抱いているマスコットキャラの足元に募金の投入口があります。なんとこの募金箱が5回も壊されてしまったそうです。


 修理と全体のリニューアルのため2カ月近く取り外して不在でしたが、4月12日に修繕が終了しリニューアルオープン式がありました。先日行ってみましたら、ぴかぴかの像に変身していました。勿論、募金箱も治っていました。
 募金箱が壊されたり、寺社の賽銭箱が壊される昨今、やはり世の中が混乱しているのでしょうか。

   
・帽子をかぶったキャラの足元に募金の投入口があります。

◆さざんかさっちゃん像…船橋市の船橋駅構内にある募金箱付き銅像。1980年7月船橋青年会議所が中心になって建立。少女がマスコットキャラを抱えている銅像で待ち合わせの場所としても親しまれている。少女に抱かれた帽子をかぶったのがキャラクタ―のさっちゃんのようです。

2010
 4. 25

◎所用があり葛西臨海公園に出かけました。良いお天気に誘われてか家族連れやアベックの姿で園内はごった返していました。
 それに大形のカメラや望遠鏡を担いだ人達も沢山いました。
こちらは、大変珍しいい水鳥が公園の人工干潟にやってきているのです。まれな旅鳥として渡来しているのは、長いクチバシが上側に反っているシギ「ソリハシセイタカシギ」でした。
 何百メートルも先にいる2羽のこの鳥を撮影しましたが、遠すぎて反ったクチバシまでは写りませんでした。帰りに中央広場で大道芸を見ていました時、携帯が鳴りました。電話はS氏からの谷津田の植物情報でした。

 『蛍葛(ほたるかずら)』
◎S氏の情報は某谷津に野草ホタルカズラが咲いていたということでした。S氏が大好きというホタルカズラの花は、直径2センチ、青紫色で花の中心から放射状に白い隆起が美しく、小さいながらも主張をしっかりとしている野草です。

・さっそく出かけてみましたら、田んぼと斜面林の境の細道沿いにその花は咲いていました。
 まだ全部で10か15ほどでしたがその一帯が輝いているように見えました。よく目立つ青紫色(瑠璃色)の花を蛍の光にたとえて名がついたようですが納得できました。


これからは、谷津田の斜面林に咲く野の花たちが面白いです。今週はゴールデンウィークの始まりです。ご家族とあるいはお友達と一緒に里山に出かけてみませんか。色々な出会いや発見がきっとありますよ。
   

ホタルカズラ…ムラサキ科イヌムラサキ属の多年草。日当たりのよい草原や林縁に生え、蔓で横に這って広がる。先端に蛍光色の花を咲かせる。目がちかちかするような花の色や点々と咲く様子を蛍の光に例えて名がついたという。

2010
 4. 30

◎お天気に恵まれたゴールデンウィークが始まりました。皆さんはどう過ごしますか。

 『ダイビングがカッコいい!』
◎子供たちと一緒に葛西臨海公園のなぎさと野鳥ウォッチングゾーンを回りました。
私の関わった班は、小1年生から6年生までの8人グループでした。子供たちの学校は内陸部にあり、環境が異なる葛西臨海公園に、学校周りで見られる野鳥との違いを観察に来たのです。
・子供たちは学年が異なるため双眼鏡の扱いなど、技術的にはばらばらでしたがお互いに助け合ったり、上級生が下級生を助けたりして観察をしていました。
・なぎさでは、カモメの群れや、カワウの採餌などを見ました。また対岸の護岸には、チュウシャクシギやキアシシギなどのシギ類の姿がありました。
・午後は、ウォッチングゾーン(汽水池)を一周しました。ここはなぎさと異なり、セイタカシギやアオアシシギ、コチドリなどが見られました。そのほか移動の途中で、ムクドリやモズ、カワラヒワなど内陸部の学校付近にも見られる鳥がいました。

コアジサシ…白い額、夏は黄色く、先の黒いクチバシ、橙色の足が目立つ全長28センチのカモメ科の渡り鳥(夏鳥)。ひらひら羽ばたきながら飛び、魚を見つけるとホバリングして狙いを定め、水中に飛び込んで捕らえる。千葉市の市の鳥に指定されている。時には海から何十キロもの内陸にも条件がそろればやってくる。


・最後に全部の班(8班)が、そろってまとめをしました。その際児童代表が「今日の観察で一番良かったのは、コアジサシが水面に一直線に飛び込んで魚を採るのが見られたことです」と話していました。スマートで体がまっ白、頭が黒くとがった黄色いクチバシをしたコアジサシが水面に向かって飛び込んでいく姿はかっこよかったです。
・このほか砂浜でカニを追ったり、小さなタイドプール(潮だまり)に取り残されたハゼの稚魚なども観察できて皆満足そうに帰って行きました。

   
  右側の杭の上の大きなのが、アジサシ。
  左側と真中の杭の上の小さいのがコアジサシ。


2010
 5. 10

◎生物パワーで温暖化防止をしようという試みが注目されているそうです。例えば、草刈りはヤギに草を食べさせ、そのヤギを貸し出すという。実際にヤギのリース会社もあるといいます。
それから、最近バイオ・ミニクリ―という言葉を耳にしました。こちらはバイオ(生物)・ミニクリ―(まねをする)の言葉の通り、生物の特性を研究し生活に生かしていくことです。例えば新幹線500系機関車先端部の形は鳥のカワセミのクチバシの形をとり入れたものだそうです。これらのように人がおごることなく生物の特性を謙虚に学び活用させてもらうことが大切なのですね。温暖化防止についても役立つことが沢山ありそうです。

 『シジュウカラ、ゴジュウカラ!?』
◎連休中、久し振りに高原にバードウォッチングに出かけてきました。連休前の不安定な天候とは打って変わりいいお天気でした。標高1123メートルにあるM湖のほとりにたたずみ青空を見上げていますとゆったりとした気持ちになりました。高原セラピー(?)ですね。

・湖水の水面をチチチッと鳴きながら飛びさった小鳥が目に入りました。岸辺に置かれたボートの船縁に止まったその鳥は、細い尾が長く腹が薄黄色に見えました。セキレイ科のキセキレイでいた。湖水上空数十メートルの辺りを待っていたのはツバメたちでした。ツバメの姿を双眼鏡で追っていますと1羽だけ大きく羽の形の異なる鳥が目につきました。アマツバメ科の鳥と思われましたがそれ以上は分かりませんでした。遠くの山並みから点の様に現れたのは、飛び方と鳴き声からトビでした。
大形の猛禽ですがなぜかバードウォッチャーから相手にされない鳥です。でも近くにやってきた姿は雄大でまさに猛禽そのものでした。
・その後、トビより一回りか二回り大きく羽幅の広いタカが湖面の上空を飛びさりました。雄大なその姿は、クマタカと思われました。また後ろの林からは、アカゲラやイカルが飛び出し、ヒガラやコガラがしきりと囀っていました。

ゴジュウカラ…ゴジュウカラ科ゴジュウカラ、山地に留鳥としてすみ、本州では標高1000メートル位にすむ。全長13.5センチ。木の幹に止まったり、逆さになったりすることがあり、見ていてしぐさが楽しく飽きない。


・ふとその林の際の赤松の幹辺りから、コンコンコンと軽いドラミング(木の幹をつつく音)が聞こえてきました。キツツキよりも軽いドラミングでした。
 続いてフィフィフィフィとせわしく鋭い独特の鳴き声がしました。平地では見ることのないゴジュウカラでした。
 よく子供たちに「シジュウカラ(四十雀)という小鳥はいますが、ゴジュウカラ(五十雀)という小鳥はいるでしょうか」というクイズの問題になる小鳥です。
 嘴から目にかけて一本太り黒線が目立ち、羽下に綺麗なオレンジ色が目立つ小鳥です。
 このほかにも何種類かの野鳥の姿や声がレジャーシートに座ったまま見ることができました。
 じっとしていてこんなに沢山見られたのは、きっと野鳥たちの領域にお邪魔していたのでしょうね。

   
 
ゴジュウカラは逆さまになって幹を降りることもあります

2010
 5. 16

◎大相撲夏場所は、一人横綱白鵬の独壇場のようです。それと、早い時間でないと取り組みは終わってしまいますが、本場所から若荒雄(前に便りで取り上げた船橋市出身の力士)が再入幕し東の15枚目で頑張っています。今日までの成績は5勝3敗、以前に入幕した時は一場所で落ちてしまいましたが今回は頑張ってほしいです。

 『にほの浮巣』
◎“にほ”とは、水鳥のカイツブリの古名です。奈良時代は“にほどり”、平安時代には“にほ”とも呼ばれるようになったといいます。
漢字は“鳰鳥(にほとり)”とか“鳰(にほ)”と書きます。このカイツブリは水草の茎などで水面に浮巣を作ります。これが「にほの浮巣」として数々の歌に詠まれているのです。

・先日、某池を訪れましたら対岸の岸辺にこの「浮巣」がありました。水草で作られた巣は直径30センチ位、高さ15センチくらいの小山状のものでした。水面に浮いた巣は、雨等による池の水面上昇にも水に浸からない合理的なものです。
・1羽(メス?)が巣の上で抱卵をし、もう1羽(オス?)がしきりに水にもぐって採餌をしていました。しばらくすると巣にいるメスに何か放り投げたようなしぐさをしていました。エサを届けたのでしょうか。その後もオスはずっと採餌に精を出していました。
このカイツブリのカップルが無事に子育てができることを祈りたいものです。

カイツブリ…カイツブリ類カイツブリ科中最小で体長26センチ。全国の池、湖沼で繁殖する。ケレケレ、ピッと鳴く。水面に浮巣を作る。ヒナを背中に乗せて泳ぐ姿が人気。最近数が減ってきたと聞いたことがあります。


   
  カイツブリ(営巣)巣の上がメスと思われる

   
 採餌中のオスの獲物はウシガエルのオタマジャクシ

2010
 5. 24

◎一昨日の5月22日は国際生物多様性の日でした。トキやコウノトリなど一部の希少生物の保護だけでなく微小な生物も含めた多様な生物が生息できる環境を大切に守っていくことを確認する日です。便利という名で生物の棲む環境を破壊してしまう「開発」は、代償も大きいのです。将来に禍根を残さない施策が必要です。

 『書架から蝶が』
◎昼過ぎに自宅の書架から蝶がひらひらと飛び立ちました。以前、「たより」に”あまんきみこ”さんの童話「白いぼうし」に出てくるモンシロチョウの話を書いたことがありましたが、今回も似たような状況でした。

・書架の本を取り出そうとしたその時、下段の棚と本の間からうっすらとクリーム色がかった白い蝶が舞い出てきたのでした。ひらひらとほんの少し飛んでは部屋の白壁にとまり、また飛んではとまる。
 リビングから寝室の窓辺まで私を誘導するように飛んで行きました。寝室の窓を30センチほど開けるとひらひらと雨模様の野外に飛んで行きました。今朝、蝶や野草の撮影が趣味であった叔父の訃報の連絡があったばかりでしたので、飛び去っていく蝶に叔父の面影が重なって見えた気がしました。
 台所に置いてある無農薬野菜についてきたと思われるこの蝶が元気で結婚相手を見つけられることを願っております。


   
 モンシロチョウ この後、開けた窓から出ていきました。

モンシロチョウ…北海道から沖縄まで全国各地に生息する。春型と夏型があり春型は小さい。
 大きさが同じくらいで羽に紋がない蝶はスジグロシロチョウです。
 奈良時代に大根と一緒に中国から移入されたと言われています。

2010
 5. 31

◎八街市でスイカ農家を営む従弟は、今春から続く天候不順をこぼしておりました。早くも明日6月1日は衣替え。この所暑かったり寒かったりしていますが、これからはどうなのでしょう。

  『「夏は来ぬ」って?』
◎「夏は来ぬは、夏は来ない」。子供のころ、佐々木信綱作詞の唱歌「夏は来ぬ」を歌うたびにこう思っていました。1番の歌詞
 ~卯の花の 匂う垣根に 時鳥(ホトトギス) 早もきなきて 忍び音もらす 夏は来ぬ~
 この中の歌詞、忍び音とは陰暦4月頃、時鳥がまだ声をひそめて鳴くことをいいます。卯の花が満開に咲き、鳴き始めのホトトギスの声を聞くにあたり夏の訪れを感じるという里山の初夏を歌ったものですね。

・いつもの谷津にもホトトギスの声が響き、真っ白いウツギの花(卯の花)が満開になった今日この頃です。まさに「夏は来ぬ」です。ほかにもスイカズラの花のいい香りが漂い、ガマズミは咲き乱れ、エゴノキは可愛らしい白花をぶら下げるようにつけています。

・今、里山は木や草の花でいっぱいです。あまり暑くならないうちにぶらっと出かけませんか。きっと新しい発見が見つかりますよ。ただし、これからは紫外線も強まってきますので、日焼け対策は必須です。



   
 里山の斜面林に咲くウツギの花(卯の花)

ウツギ…ユキノシタ科の落葉低木。
 花期は5~7月、花は白色。花びらは5枚。
 幹や枝が中空なので空木(うつぎ)の名がある。
 林の縁などから白い滝のように花を咲かせる様は
 見事です。


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