印西・谷津田だよりの35ページ

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2008 　1. 1	明けましておめでとうございます。印西市では今、環境基本計画（施行5年）の見直しをしております。重点施策の一つである里山の保全について今回は、ほんの少しですが具体策が盛られています。しかし、どこでもそうだと思いますが、環境についての取り組みは後手後手になりがちなものです。だからこそ、一人でも多くの人が、（楽しみながらで良いですので）自然に関心を持って注視していくことが必要なのです。　今年もまた、里山・里海を中心にした自然のニュースやイベントについての話題を送信していきたいと思います。また、皆様方からの情報もお待ちしております。本年もまたよろしくお願いいたします。	☆今年の初日の出　　撮影場所は三番瀬干潟。　太陽の左に見えるノッポビルは幕張のプリンスホテルです。
2008 　1. 4	◆お正月にはご家族で百人一首を楽しむご家庭もあったのではないでしょうか。この百人一首の歌のひとつに「君がため春の野に出て若菜摘むわが衣手に雪はふりつつ（光孝天皇）」があります。　この歌に出ている若菜とは、春の七草（七種）を指すといいます。1月7日は、人日の節句。邪気を払い万病を除く為に七草の野菜の入った粥を食べる習慣があります。皆さんのご家庭ではどうですか。もっともスーパーには売っていますが、野に出て七草を手に入れることは無理でしょうね。　春の七草（七種）・・・セリ、ナズナ、ゴギョウ（ハハコグサ）、ハコベラ、ホトケノザ（コオニタビラコ）、スズナ（カブ）、スズシロ（ダイコン）　『菱（ヒシ）の実を食べる雁』 ◎日本に飛来する雁（ガン）の仲間にヒシクイという鳥がいます。このヒシクイは、菱（ヒシ）の実を食べることから名がついたといいます。・ヒシクイは、渡り鳥で11月頃にシベリアから日本で冬を越すためにやってきます。このヒシクイが日本で過ごす場所（越冬地）の代表地は、新潟県の福島潟・宮城県の伊豆沼・石川県の片野の鴨池などが有名です。・このヒシクイが、毎年越冬する場所が、関東地方にもあります。茨城県の南部の霞ヶ浦の干拓地がそれです。まとまった数のヒシクイがこの地霞ヶ浦で確認されたのは、1985年2月という。それまでも１、2羽が飛来したという情報はあったそうですが、34羽という数を確認したのは初めてといいます。その後、地元の皆さんの見守りにより50～80羽の間でずっと飛来を続けています。・年末に行ってきましたが、今冬も最大63羽のオオヒシクイが田んぼにやってきていました。オオヒシクイは白鳥と異なり、人に慣れず餌付けどころか、近づいただけで飛び去ってしまうほど警戒心の強い野鳥です。遠く川の土手下に監視小屋を設置し、人や犬が近づかぬように連日見守っているお陰で安心して越冬しているのです。行ったときには、土手から数百メートル離れた畦道に群れて、田の雑草を食べていました。かなり遠かったのですが、それでも双眼鏡があれば餌を食べている様子や休んでいる様子を見ることができました。ここでは、2月下旬か3月初旬位まで見られますので一度出かけてみませんか。	※写真下は、田の畦で雑草を食べるオオヒシクイ。距離が遠く、映像がはっきりせず画像処理をしてありますのでご了解下さい。　　　　　　霞ヶ浦江戸崎稲波干拓地　　　　　（07.12.28撮影）　　　　　　田んぼの脇に立っていた看板 ◆オオヒシクイ・・・　マガンより大きいカモ科の渡り鳥。日本に冬鳥として渡来するが局地的である。茨城県南部霞ヶ浦江戸崎干拓地にやってくる種は、ヒシクイの亜種オオヒシクイ。国の天然記念物に指定されている。　もし、観察に行かれる時は、現地の監視小屋の人の指示に従ってください。
2008 　1. 7	◆今日1月7日は、七草。結局、野に採りに行かずスズナ（カブ）とスズシロ（ダイコン）の２草で我慢することにしました。いつもの便りです。　『カラスの雌雄の見分けはできるの？』 ◎冬の使者ともいわれるツグミ科のジョウビタキは、市街地の公園や民家の庭先で見られます。このジョウビタキは、雄と雌の羽の模様が全く違いますので雌雄の見分けは簡単です。　調整池に来ている渡りのカモも雌雄により羽の模様が全く違い、これも簡単に見分けられます。・しかし、皆さんの身近に見られる鳥たちは雌雄の見分けは難しい種が殆どです。それでもシジュウカラやモズは、胸の黒線の模様や側面の白斑により見分けはできます。ところが、ヒヨドリやスズメ、メジロ、カラス、ハトなどの見分けは見ただけではまず分かりません。・ただ、これらの種類の中で羽の模様ではなく、行動から雌雄を見分けられたり、ペアであることが分かったりします。・求愛給餌（きゅうあいきゅうじ）とは、ペアの雄が雌に食べ物をプレゼントする行動です。この行動は、シジュウカラ科やアトリ科、モズ科、カワセミ科で見られます。また、求愛行動では、春先にスズメの雄が雌に対しそらした体を上下して雌に求愛する姿が見られますし、ドバト（駅やお寺にすむハト）の求愛は、雄が首を上下にし、尾を広げ雌に求愛します（このハトの求愛は一年中見られる）。これらの求愛の場合は、雌に対して雄が行いますので雌雄の見分けは、すぐに分かります。・求愛、求愛給餌のほかに「相互羽づくろい」の行動があります。これは、2羽がペアの場合に、相手に対して羽づくろいをします。ですから、羽づくろいをしている2羽をみたら雌雄であることが分かるのです。羽づくろいは、今のような冬場でも見られることがあります。この羽づくろいは、メジロやハト科の鳥も行います。・きっと皆さんの身近な場所でもこのような鳥たちの面白い行動が見られると思います。	・今回は野鳥の楽しみ方の一つを紹介しました。PCで疲れた目を、時には窓の外に向けてください。もしかしたら鳥のこれらの行動が見られるかもしれません。 ◆求愛行動…雌雄の鳥が交尾にいたるまでに行う様々な行動。例えば種に特有な囀り、ダンス、色彩や形態の誇示、食物を与える動作（求愛給餌）などがみられる。求愛行動を通して同じ種の雌雄であることを認識し、番（つがい）関係を維持する。 ☆戸神調整池白鳥情報　2羽とも相変わらず、元気に餌を食べ、のんびり休んでいます。昼間は、橋から遠い池面（南側）にいることが多いようです。　　　　　ハシボソガラスの羽づくろい　　　　　撮影　霞ヶ浦江戸崎干拓地
2008 　1. 15	◎今日1月15日は、小正月。この日の朝小豆粥を食べる習慣があったという。古くは「土佐日記」「枕草子」に小豆粥を食べたと記されている。しかし今ではこの習慣が残っている地方は殆どないのでしょう。皆さんの実家では如何ですか。いつもの便りです。　『小鳥達が可愛いですよ』 ◎冬は、落葉樹が葉を落とし、樹上に止まる小鳥達の姿が見やすい時期です。・今の時期は、大陸から多くの種類の野鳥達が渡ってきています。印西で見られる渡り鳥（冬鳥）でいいますと大形の鳥では、ハクチョウ。中形の鳥では、ツグミやシロハラ。そして可愛い小形の鳥では、ジョウビタキやカシラダカなどがあげられます。・昨日、千葉NT中央駅南口から徒歩5分にある戸神調整池とその先に広がる戸神谷津を歩きました。池では「2羽のハクチョウ」が、池の水面に顔を突っ込みマコモの根を引っ張り出して食べていました。久し振りにオシドリも3羽水面を泳いでいるのが見られました。・戸建の住宅に沿って池沿いに歩いていた時、池側に立っていた番線を張った杭の上に可愛い小鳥の姿を見つけました。頭から背にかけて鮮やかな瑠璃色、胸の脇は、これも鮮やかな黄色、他の小鳥と見間違うことはまずありません。ヒタキ科のルリビタキの雄でした。杭の上から番線の上に移動、ちょっと地面に下りて脇の低木の小枝に移り、また杭の上に止まる。5分くらいのあいだこのような移動を繰り返し、皆にサービスしていました。何度見てもルリビタキの美しさは飽きが来ません。	戸神調整池にて　H20.1.15撮影　　　・しばらく谷津に向かって進むと遠く畑地の奥の林の梢にスズメより小さい20羽ほどの小鳥の群れを発見。遠すぎて双眼鏡では無理でしたが、望遠鏡を覗くとこれも冬鳥のマヒワの群れでした。その後、シメやジョウビタキなどの冬鳥の姿を堪能しました。この日は、上空に猛禽の姿も数度見られました。・寒いですが、「冬だからこそ」の楽しみがありました。防寒対策をして冬の散策にチャレンジしてみませんか。 ◆ルリビタキ…全長14センチ、ヒタキ科ツグミ亜科の冬鳥。四国と本州中部以北の亜高山帯で繁殖。印西には冬にやってくるが、少ない。地上で昆虫などを捕らえて食べる。

2008 　1. 27	◎大相撲の方の里山の話題を最近してません。というのは、ご推察どおり成績が良くないのです。今場所、千秋楽の今日で5勝9敗。今日勝っても6勝です。現在東十両12枚目ですので、来場所十両に残れるかどうか心配です。里山散策の私としては、やはり応援するしかありません。里山（大相撲も散策のほうも）頑張れ！いつもの便りです。『お宝？発見』 ◎昨日いつもの戸神調整池で観察会をしていた時のことです。池東側の観察デッキの窓からカモを観察していたIさんが、お宝を発見しました。　大発見の声に1さんのスコープ（地上望遠鏡）を覗きお宝の存在を確認しました。・そのお宝とは、対岸の池のふちに打ち込まれていたコンクリート製の一本の杭でした。・何がお宝なの？　確かに唯の杭です。実は、Iさんが興奮気味に報告した杭は、昭和14年に始まり19年で中止された「昭和放水路」という幻の大運河計画があった証なのです。・角柱型の杭の頭部は丸く、側面に「内」の一文字と数字が刻まれていました。　江戸時代より利根川の氾濫に苦労していたこの地でしたが、利根川と東京湾をつなぎ水害を防ぐと同時に船舶の運航を図り、印旛沼の干拓をして農地の増大を図ろうという総工費（当時）8610万円の壮大な計画が持ち上がりました。・ルートは、利根川右岸布佐辺りから検見川或いは谷津あたりまで川幅200～240メートル、長さ29キロメートルにも及ぶ計画でした。・計画は7ルートあり、Ⅰ、Ⅱコースは、軍事上から不可。 Ⅶコースは効果薄いとのことで除かれ、残りの4コースについて実測がされたと言われています。　この4コースの中で実際に一部工事が始まったのが、Ⅲコースの取手ー布佐ー大森ー河原子ー八木が谷ー三咲ー二和ー金杉ー東町ー東船橋ー花輪ー東京湾（谷津干潟）でした。　このコースには、実測された時の杭がいくつか現存しております。杭は、実際にまだ地面に埋まっているものや郷土資料館に保存されているものなどそれぞれです。・杭の「内」の字は、当時の行政機関の内務省の文字。下に刻まれた数字は、計画運河の河口からの距離という。　戸神調整池岸辺にあった杭には18の数字が見られたので河口まで18キロの意味であろう。地図上で推測してみると（千葉市）検見川までの距離とほぼ同じでした。　実は、Ⅲコースには、ここ戸神は含まれていません。コース上としては、Ⅰコースに該当すると思われます。　軍事施設との関わりから、一番に実施不可となった。と文献に載っているのですが、杭が見つかったということは、実測があったのかも知れませんね。　・どなたかその辺りの情報をご存知でしたら教えて下さい。	写真上　戸神調整池で見つかった「お宝？」　　　写真下　船橋市高根にある杭　　　「二和・三咲の歴史」　著者：天下井恵より複写　　　 ◆昭和放水路…利根川の右岸、我孫子の湖北と布佐の間から船橋・習志野の東京湾側まで運河を掘り、さらに生じた掘削土で東京湾を埋め立てるという計画。中止され幻の運河と言われている。習志野にある谷津干潟は、この時の運河の河口として内務省に買収された地の跡地である。 ※上の写真は、戸神で見つけた杭と、船橋高根（Ⅲコース上）で発見されたという杭の写真です。
2008 　2. 2	◎今日、2月3日は本阿弥光悦の忌日（1637年寛永14年）です。光悦といえば、私の好きな宮本武蔵が、一乗寺の決闘のあと、縁があって身を寄せたところが光悦家でした。今回は、パネル展のお知らせです。『パネル展・里山から里海へ』 ◎印西・鎌ヶ谷・船橋の里山、湧水地、三番瀬干潟の写真の展示です。このパネル展は昨年に続いてのシリーズとしてのパネル展です。お時間がとれましたら覗いてください。なお、駅コンコースの展示の場合、改札で駅員に断れば駅入場券を求めなくても見られます。・日時と場所のお知らせ（１）日時　2月1日(金)10時～2月14日(木)3時まで　　場所　北総線小室駅コンコース（２）日時　3月5日(水)～3月20日(水)　　　※3/4の3時以降から3/21の2時まで見られます。　　場所　千葉県立北総花の丘公園展示室【印西市】（３）日時　4月1日(火)2時～4月14日(月)3時まで　　場所　北総線千葉ニュータウン中央駅コンコース　主催　印西ウエットランドガイド　共催　鎌ヶ谷囃子水の自然を育てる会　　　・船橋自然に親しむ会	◎写真下は、小室駅のパネル展（一部）の様子です。　　　 ◆パネル展…ウエットランドガイドのパネル展としては、4年目となります。今回も里山と里海に目を向けた展示となります。
2008 　2. 4	◎久し振りに大雪が降りました。千葉市では6センチ、東京都心では3センチ。06年1月以来2年ぶりといいます。道路の凍結等で転倒事故も報道されています。お互いに気をつけましょう。いつもの便りです。　『雪景色にとけこむ野鳥の姿』 ◎シメと聞いて「鳥」の名を思う人はかなりのバードウオチャー（鳥見人）でしょう。冬鳥としてやってくるアトリ科のシメは、スズメより二回りほど大きく太って見えるチャコールグレーの地味な小鳥です。梢にじっと止まって鳴き声もチチッ、ツツッなど地味ですので気がつく人は少ないですね。・先週、母の病室に泊まりこみ早朝、中庭の樹木に止まっているシメの姿を病室の窓から確認しました。目が鋭くちょっと怖そうに見えるこの鳥は、見ようによっては滑稽にも見え、大好きな鳥の一つです。・若くして視力を失い、また闘病が始まって以来殆ど外に出られなかった母は、大空を羽ばたきどこにでも飛んでいく鳥になりたいといっておりました。きっとこのとき見たシメの姿が、これからも母と重なることになるのでしょう。・雪の積もった風景の中での鳥たちの姿は絵になりますね。一面の雪景色の中、低木に残っている赤い実をついばむ小鳥達は、俳句・写真・絵などどれにも良いテーマになることでしょう。	シメ　　目つきが怖い感じですがちょっと太めで　　　　　　　　大好きな鳥です。 ◆シメ・・・全長18センチのアトリ科の野鳥。冬鳥として低地の雑木林や里地にやってくる。北海道の低地から山地でも繁殖する。カエデやシデ類の種子を食べる。
2008 　2. 12	◎沖縄米兵の暴行事件など、相変わらずいやな事件が連日報道されている中、ちょっとほっとしたニュースがありました。日本五輪史上最高齢の馬場馬術の法華津（ほけつ）寛氏です。人馬一体のダンスに拍手。頑張って下さい。　いつもの便りです。　　『欅（けやき）の木を枯らした砲弾』 ◎JR船橋駅から10分ほどのところにある船橋を代表する神社船橋大神宮は、「日本三代実録」や「延喜式の神名帳」にも記されている由緒ある神社です。・ここには、明治13年建造の灯明台（今の灯台）があり、現在でも成人式の前日には、灯が点火されます。・京成電鉄大神宮下駅前に位置するこの神社が激戦地の場所であったことを知る人もだんだん少なくなっているようです。・市川・船橋戦争は、幕末の混乱期に起こった戊辰戦争の内の旧幕府軍と官軍の激戦をいいます。慶応4年閏4月3日、この神社に立てこもっていた旧幕軍に対し官軍が攻撃し、神社は炎上焼失してしまったのです。なおこの戦争で、船橋宿の民家も大半が焼けてしまったそうです。・ところが神社内にあった欅で、砲弾を受けたのだが焼けずに生き残ったものがあったそうです。しかし近年その被弾がもとで枯れてきて、皆もう駄目かと思っていたのですが、脇から出てきた新芽が育って新旧2本の幹が抱き合うように生え、現在では逞しく育ち大きくなったそうです。植物の命の逞しさにロマンさえ感じました。・現在の本殿は明治6年、拝殿は明治22年の造営であり、本殿右に位置する常盤神社には、家康と秀忠が祭られている。この常盤神社には、家康の歯が収められているといわれています。・又、この近くには、船橋東照宮や御蔵神社など徳川家にかんする史跡があります。今週、2月16日には、この歴史を感じる徳川家ゆかりの地の街並みを歩きます。よかったら、ご一緒しましょう。 ◆船橋大神宮…正式には意富比（おおい）神社。祭神は天照大神など。日本三代実録・延喜式神名帳にも名が記されている由緒ある神社。幕末の船橋戦争により焼失。	写真上：大神宮の表参道。　　　写真下：弾痕欅
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