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2005
7.18

 今日は「海の日」。朝刊の社会面に湘南海岸で遊ぶ写真が大きく掲載されていました。海の記念日(昭和16年制定)から56年目にスタートした海の日ですが、皆さん、いかがお過ごしですか。海に行った方もおられますか。私も今週末から、海が始まります。ただし、泳ぐのでは
なく生き物観察が中心ですので暑苦しい長靴を履いての姿です。

『大型店舗の壁面下が、結構穴場!』
◎ニュータウンもスーパーなど夜型営業が増え、夜10時過ぎの人通りも結構あります。歩道脇に聳える建物の壁面下、そして業務用のエアコンの室外機の下と街灯の真下この3つが穴場です。実は、夜の昆虫採集の話です。
 昔は、家の窓から毎晩困ってしまうほどカナブンやらカミキリやら時にはカブトにクワガタと採集に行かなくても向こうからやってきたものです。今もほんのたまには、カナブンもやってきますが・・・。


 買い物がてらに図鑑とデジカメを持って3つの穴場を覗いてみました。
 多いのは、セマダラコガネなど1センチくらいの小型のコガネムシです。コンクリートの割れ目には、コオロギの姿も見られました。そして、壁に沿って歩くと黒い陰が見られ、近づくとキリギリスの仲間がいました。早速図鑑を出して本物と比べます。夜のせいか(?)じっとしていてくれて特徴をつかみやすかったです。キリギリス科のヒメギスと同定し、次は街灯の下へ移動します。その後は、略します。

ヒメギス…直翅目キリギリス科の昆虫。体長約23ミリ、日本全土の草地に分布。体は黒褐色で、前胸背は淡褐色または鮮緑色、前胸の縁端に白いふちどりがあるので見分けやすい。シー・シーと短く区切って鳴く。
http://www.ykun.net/insect/himegisu.html     参照
2005
7.26

台風が向かってきているが、今年も台風の当たり年なのだろうか。先日は、大きな地震があったし、何か少し不安ですね。いつもの便りです。

 『なんと!昼間に生命の誕生のドラマが・・・・』
◎先日の日曜日、印西の草深の森での出来事だった。昼間にセミの羽化を見ました。

 「こっちに来て下さーい。」の声に、コナラの木の方に出向きました。女の子とそのお母さんの指差す先には、セミの羽化途中の姿がありました。地面から約50センチ位、泥で汚れた殻からほぼ垂直に体を立てたまま固まっていました。集まってきた子ども達に、昼間であり見た限りでは羽化の失敗の結果と説明してその場を離れようとしました。その時、一人の男の子が離れ際に指の先で殻から出ていたセミの体を突いたのでした。

 「動いたよー」。唐突の声に、まさかと思いながら、「もう一度やってみてよ」。再度突いたセミの足が僅かに動くのを覗き込んでいた皆の目は逃さなかった。
 ちょっとした事件となりました。殆どの参加者がこのコナラの周りに集まり、ほぼそれから3、40分の間見つめていた。
 最初の男の子のチョンと突いた刺激が引き金になったのか体を殻から引き出し、殻に水平になり徐々に羽を伸ばしていったのです。
 観察会の終了時間の関係で羽化の最後まで見られなかったが、すばらしい命のドラマを皆で確認したのはとても運が良かったと思いました。


   
   
【アブラゼミの羽化】

ニイニイゼミ…♂も♀とも20ミリから26ミリ。チィーと連続して鳴く。曇や雨でも鳴く。抜け殻は小さくて丸く、泥だらけ。

2005
8. 1

明日は、雑節の「八朔」。家康が江戸城に入ったのが旧8月1日、それより江戸幕府の重要な日という。ちなみに今年の旧八朔の日は、9月4日となります。果物に八朔というかんきつ類がありますが、この名は、この実が見つかった因島のお寺の住職が8月1日ごろから食べられるので命名したという。

◎『シャワ、シャワ、シャワ、シャワ・・・・・って?』
 さて、連日暑い日が続きますが、上記の果物八朔の実際の食べごろは1月から3月ごろといいます。八朔の代わりにグレープフルーツを冷やし、輪切りにしたものに一寸ブランデーとシュガーをかけ、スプーンを持って窓辺に位置し、外の音に集中してみませんか。暑い日の時間は午前9時半以降が良いです。もしかしたら、窓の外から『シャワ、シャワ。シャワ、シャワ。・・・・・・』の音が聞こえてくるかも知れません。


  普段でしたら、何か暑苦しい音だなー。とか、何だセミだなーで終わりでしょうね。
手に冷えたデザートを持っているとちょっと心にゆとりができ、この「シャワ、シャワ」をしっかり聞き取れるかと思います。実は、この「シャワシャワ」は、セミはセミでも「クマゼミ」の声です。本来なら関東南部以西のセミですが、だんだんに北に生息域を広げているようです。印西でも公園の樹木などで大きな鳴き声が聞こえると思います。もし、聞いたら連絡をして下さい。

クマゼミ…体長40から45ミリ位のセミ。本州東京以西から沖縄、台湾。出現期は、7月中旬から9月上旬。平地や市街地に多い。近年、都市部で増加、北上の傾向ありと聞く。午前中鳴くが、曇っていたり、午前雨だったりすると午後も鳴くことがある。


2005
8. 7

今日8月7日は、鼻の日だという。8と7の語呂合わせだ。また、これも語呂合わせで、「花の日」でもある。でも、「花の日」といっても、今里山を歩いても目立つ花は少ない。どちらかというと花の端境期である。

◎『ひらひらと舞う美しい姿』
 どちらかというと花の端境期で単調になりがちな里山散策の今の時期は、昆虫が面白いようです。今日、いつも野鳥等の情報を送ってくれるSさんから、チョウトンボが舞っていたとメールが入りました。蝶のようにひらひらと舞う美しいトンボです。和名は、蝶蜻蛉で、黒い翅を緩やかに羽ばたくところから付けられたようです。


 若い個体が林の上空など高い場所を飛行するのでヒコーキトンボの名もあります。印西の里山でのチョウトンボの情報は久しぶりで嬉しかった。今度、確認にいってみるつもりです。
 皆さんももし見たら教えてください。とにかく翅をひらひらさせて飛ぶのですぐ分かります。

チョウトンボ…トンボ科のトンボ。出現時期は、6から9月。分布は本州から種子島まで。特徴は紫黒色から黒っぽい金緑色の大きな翅を持つ。近年、全国的な生息環境の破壊・消失で激減している。千葉県レッドデーターブック一般保護生物Dに指定されている。


2005
8.10

心配されたディスカバリーも無事帰還しました。ただ、TVニュースは衆院の解散一辺倒です。

 『セミ救出作戦』
◎昨日と今日の二日間に渡り、自宅脇の公園まわりでセミの救出を行いました。作戦とは、ものすごくオーバーな言い方でして、実は公園の周りの歩道をさまよっている穴から這い出したばかりのセミ(まだ、幼虫)を見つけ、木のところに運んでやるだけのことです。産卵から7年目にやっと羽化するというアブラゼミの幼虫が、羽化のための樹木を見つけられないで歩道上、時には車道上を歩いているのを見つけるのです。公園まわりを一回りすると、踏まれたり、力尽きたりした幼虫が結構目につきます。また、樹木が見つからず、歩道と車道の境の僅かな段差のところで羽化し始めた個体もありました。二日間で30個体位助けました。


 皆さんも夜の散歩がてら、救出作戦をやってみませんか。準備は、懐中電灯だけでOKです。作戦実行の場所は、昼間にセミが沢山鳴いている公園などの中や脇の舗装道路上です。夜間ですので一人での実施は避けましょう。

アブラゼミ…セミ科アブラゼミ。分布は、北海道から対馬まで。市街地の樹林や山林、ナシ園など。

※追記
●打ち水大作戦(涼を呼び込む江戸の知恵)…『打ち水大作戦2005』が8月10日正午、全国一斉に行われます。打ち水に使う水は、お風呂の水や雨水、エアコンの室外機の水など2次用水を使いましょうとのことです。関心のおありの方は、下記のHPをご参考にしてください。
 打ち水大作戦2005 http://www.uchimizu.jp/ 


2005
8.22

新聞に「マリモが浮いた」と載っていた。マリモの浮沈論争に終止符を打たれたようだ。記事を読んでいると浮いた原因が大型遊覧船の航路変更による環境変化だという。結局は、人の行う環境変化が起こしたことだったのですね。

◎『印西の河川がどんどん変わっている』
 良く変わっているのなら、いいのですが。急激に河川の自然が失われているのは事実です。
昨年は、北総線の南側のK谷津の河川、今年は北側のU谷津の河川が大きく変わっています。特にK谷津の中央を流れる川の水質が悪くなりました。それは、コンクリート護岸にしたために植物や微生物などによる自然浄化能力が極端に落ちたことでしょう。


毎年、このような工事が相変わらず行われておりますが、本当に必要な工事なのでしょうか。水質変化により生息域を失った水棲生物や魚類・植物、そして河川の改修で生息域を分断された小動物などが多くあることなど忘れられてしまうのでしょうね。
 ちなみに、田んぼも変化しています。より大きい面積にして大型機械による効率のよい1ヘクタール以上の大区画高生産性ほ場を設ける工事が始まっております。谷津での出来事は、なかなか一般市民には目が届きません。その意味からも、谷津田の観察は必要なんですね。蛇足ですが、工事にかかる費用の内、国が50パーセント、県が30パーセント、市が10パーセント程度負担し、残りを持ち主(地主)が 出すとのことです

2005
8.30

連日の新聞は、刺客やら、ホリエモンなど国政選挙とは思えない言葉が並んでいます。窓からはまだクマゼミの声がして厳しい残暑の毎日です。いつもの便りです。

◎『ガイライシュって?』
 確か5月の中旬過ぎに知り合いから電話で「栗源町には、どう行くのか?」と質問があった。
香取郡栗源町で「チュウゴクモクズガニ」の養殖場があるので行ってみたいとのことだった。
 このカニは、通称「上海蟹」と呼ばれ高級食材である。このカニは、印西市を流れる川にも遡上するモクズガニに近い種である。
 何かの理由で養殖場から外に出ると在来のモクズガニと交雑し、種の存続に重大な恐れがあるという。この種のように日本の国以外から連れてこられたり自然に入ってきた生物をガイライシュ「外来種」という。


 今年6月1日から外来生物法が施工され、日本に生息するオオクチバスやアライグマなど37種の輸入や移動野外放出を禁止されたが、さらにこのチュウゴクモクズガニなど42種を指定候補に決定した。
最近では、印旛沼水系でのカミツキガメや南房総のキョンなどがよく話題になるが、これらの生物は、すべて意図的或いは非意図的に人の手で持ち込まれたものである。又、今月第3陣指定として挙げられたものの中には、次のようなお馴染みの生物もある。参考に挙げてみる。
ミドリガメ アメリカザリガニ ホテイアオイ  セイタカアワダチソウも。
 皆さんの周りにもきっと外来種が見られますよ。それらは「好きでやってきたわけじゃないよ」って言っているかもしれませんね。
ミドリガメ(緑亀)…アカミミガメの子ガメの通称。美しい緑色を呈する。日本に多く輸入されたのは、そのうちの1亜種、北米産のミシシッピーアカミミガメ。 

2005
9. 3

米南部を襲った大型ハリケーンによる被害は、やはり貧困層の人々が中心であったそうだ。逃げようとしても行く場所も車すらなかったという。とてもむなしいことですね。
 日本も今大型で非常に強い台風14号が近づいている。まだ、こちらには影響がないが週明け位から近づくのだろうか心配である。

 『シドミって知ってますか?』
◎まだ、台風の影響のない今日の午後、公民館回りをした。途中K団地の植え込みで直径3センチ位の球形の実を見つけた。地上30センチほどの枝の中段に3つがくっ付くようにしてなっていた。これは、バラ科のクサボケの実だ。酸味が強くそのままでは食用にはならないが、薬用酒になる。漢字では、「草木瓜(くさぼけ)」と書く。別名を『シドミ』とかノボケと呼ぶ。


そういえば、子供の頃、藪の中で見つけたシドミの実をかじってそのすっぱっさに驚いたことがあった。そのシドミが、このクサボケの実だったのだ。
 たまたま、ネットでシドミを探っていたら、こんな句を見つけたので紹介する。
 土近くまで ひしひしと 木瓜(ぼけ)の花 (虚子)
この句の木瓜(ぼけ)はクサボケということだ。

クサボケ…バラ科の落葉小低木。各地の山野に自生する。春、朱色の花をつけ、夏酸味のある球形の果実を結ぶ。漢方では、和木瓜(わもっか)と呼び、強壮、鎮徑、鎮咳、利尿等に効く。因みにボケは、中国原産で観賞用に栽培されるが自生はない。 そろそろ、木の実の時季ですね。木の実も面白いかなあ。

2005
9.12

二百二十日も過ぎ、又大型選挙という台風並みの騒ぎも終わった秋の日、久しぶりに里山を巡った。

 『トンボ天国だ!』
◎鬱蒼とした木々の生える斜面林をおりると早速、トンボの群れが迎えてくれた。羽の端に黒褐色のある赤とんぼノシメトンボだ。草の先、折れた枝先、杭の先など尖ったものの先なら何でもよさそうなほど止まっている。果ては、肩に担いでいるカメラの三脚にまで止まってくる。
 斜面林脇の小道では、もっと赤みの強い小型の赤とんぼがたくさんいた。ナツアカネ、マユタテアカネ、マイコアカネが見つかった。その他にも、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、オニヤンマなどが見られた。藪の中をしっかり見ると4センチくらいで細いがとってもきれいなイトトンボも見られた。胸が金緑色に輝くアオモンイトトンボであった。
 帰り道、草原のなかにひっそりと数輪のワレモコウが咲いているのが見られた。そういえば、高浜虚子の句に「吾も亦(また) 紅(べに)なりと ひそやかに」という句がある。ワレモコウの控えめで可憐に咲いているな様子を表す句であろうか。

ワレモコウ…バラ科日本の山野などに自生する多年草草本。花は、濃い紅紫で夏から秋にかけて分岐した枝先につける。和名は「吾木香」、「吾亦紅」。


   


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