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2023
6. 6

◎ 芒種(ぼうしゅ)は二十四節気の一つで旧暦では4月末から5月上旬、新暦では6月8日頃(今年は6日)にあたります。
 イネやムギなどの芒(のぎ)のある作物の種を播く時節といわれています。現在の田植の時期は早まりましたが、昔の田植の時期はこの頃のようです。 気象的にみると梅雨入りになりかかりの頃にあたります。 夏の季語。

「菜園周りのミニ自然観察」
◎菜園周り一面が濃淡の緑一色となりました。
 背丈の高いイネ科の草たち、草むらを覆うクズ、雑木林の樹木の葉などです。兎に角緑がいっぱいです。竹やぶにはニョキニョキと竹の子(真竹)が出て来ました。
 目の保養には最高の景色です。暑くなりました。熱中症に気をつけましょう。畑周りのミニ自然をお届けします。

《蝶のように美しい‥ オオミズアオ》ヤママユガ科の一種。漢字は大水青。
 北海道から九州にかけて分布し、平地から高原まで生息域は広い。成虫の開張は80~120 mmほど。自宅マンションの駐輪場近くにいました。びっくりするほど大きくて淡い水色を帯びたあでやかな姿でよく目立ちました。学名はアルテミスというそうで「月の女神」の意味だそうです。図鑑には「吸い込まれるような青磁色」と出ていましたがまさにその通りです。
  

《へそくりの別名をもつ‥ カラスビシャク》 サトイモ科の多年草、漢字は烏柄杓。
 畑や田んぼの雑草として生え、地下部に出来る小球の塊茎は悪阻(つわり)の妙薬として現金化出来たことから(形が臍にも似ていることから)別名へそくりと言われたそうです。菜園向かいの民家の垣根の下に一輪咲いていました。
 ウラシマソウやマムシグサと同じ科で、小さいですが仏焔苞と言われる花穂を持つ独特な形の姿が目立っていました。
     

《夏のトンボ‥ シオカラトンボ》トンボ科、湿地や田んぼなどに生息する中型のトンボ。体長50~55ミリ。漢字は塩辛蜻蛉。
 日本全土のほか、ロシア(極東)、中国、韓国、台湾などに分布。雌や未成熟の雄は黄色に小さな黒い斑紋があり俗にムギワラトンボ(麦藁蜻蛉)とも呼ばれています。水色に黒が目立つ雄が一匹倒れた竹の上に止まってはまた飛び立つ動きを何度も繰り返していました。暫く観察していましたが何をしているのか分かりませんでした。
  


《コンデジで撮影出来た‥ ツバメ》 ツバメ科の夏鳥。漢字は燕。
 久しぶりに菜園上空にツバメがやって来ました。3羽で何度も何度も上空を往き来していました。小さな小虫を捕獲しているのでしょうか。
 3羽の内1羽は少し小さめで尾も短いようなので子ツバメかもしれません。
 ずいぶん長い間飛び交っていたので、コンパクトデジカメをツバメに向けてシャッターを押してみました。
 たった一回しか撮らなかったのに偶然にも(ピンぼけですが)写っていました。嬉しかったです。
 どこか近くで営巣していると思いますが分かりません。
 

ノダフジの実》 マメ科の落葉つる性。漢字は藤。
 民家の生け垣に絡まって花が新緑の中で輝いて咲いていましたが今は終わっています。
 代わりに大きなインゲン豆のような実がいくつもぶら下がっていました。種類はノダフジです。
 つるは右回り。花はご存知のように長く垂れて咲きます。
 色は淡い紫色で蝶形の花が根元の方から順に咲きます。
 実は食用にできますがマメ科の植物に多く含まれるレクチンが含まれており、生で多量に摂取すると吐き気や嘔吐下痢、胃痛などを引き起こす恐れがあるそうで、必ず加熱調理をする必要があるそうです。
 食べるのはやめておいた方がよいですね。
   
    ・・・ 阿部 純

2023
6. 8
 

◎ 6月8日、気象庁は関東甲信地方梅雨入りと発表しました。 天候不順な日が続くと思っていたらやっぱり入梅でした。皆さんから届いたたよりを載せます。

◆◆ 谷津田だより情報コーナー【投稿】 ◆◆

《千葉ニュータウン探鳥会に参加》 6月6日 ( i 市 Y.S )
 阿部さん、こんにちは! 今日は千葉NT野鳥の会の探鳥会に参加してきました。戸神調整池のサギコロニーに、アマサギが一羽いました!珍しかったのでご報告します。
 サギのコロニーは圧巻でした。初めて見た参加者さんからは驚きの声が上がりました。
 お正月過ぎのカワウの団地がすっかりサギの団地に変わっていました。カワウは繁殖が終わったのか、下の池に集まっていました。
 ダイサギ、チュウサギ、コサギ、ゴイサギ、アマサギ、アオサギと6種類のサギをじっくり観察出来て良かったです。
   アマサギ
  
   アオサギ
  
   ゴイサギ
  
   キジ
  

 里山ではオオヨシキリやセッカの声が賑やかでした。またサシバやオオタカも出て皆大喜びでした。地元の豊かな自然を誇らしく思いました!

※ ピンクの花の画像にありますが小さなカミキリムシを見つけて撮影しましたが名前はわかりません。
  
  ※ ラミーカミキリとゼニアオイ(文末参照)


《たよりの感想1》 6月6日 ( S市 T.K )
 何時もありがとうございます。
 オオミズアオ、シオカラトンボ、ツバメ良く撮れていますね。
 暑くなりますが元気に過ごしております。

《たよりの感想2》 6月7日 ( i市 Y.A )
 谷津田だより、いつも楽しみにしています。ありがとうございます。
 オオミズアオには2年連続で出会えていて、今年も再会出来ないものかとキョロキョロしています。本当に意外な場所にいて、通り過ぎては ””アレ⁉””と思って戻る出会いです。
 ♂は♀のフェロモンを1マイル四方でかぎ分けることが出来るとか…。すごい能力を持っています。 トンボも撮りたいと思っています。
 このところマンションの周りの散歩で出会えたものだけで少し寂しいです。 でも、このあたりにも楽しくも悩ましい虫達がいますよ。

      ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

(*^_^*) 
 皆さんいつもたよりを読んでいただきありがとうございます。
そして自然情報や感想を送っていただきありがとうございます。

・Y.Sさん: 探鳥会の参加記録ありがとうございました。
 重要な記録となりますので助かります。
カワウの団地がいつの間にかサギの団地に変わっていたのですね。 サギは集団になり繁殖する習性があります。
池際の林に沢山掛けられた巣で子育てする姿は愛らしくずっと見ていても飽きないですね。ただ、これだけ多くのサギが巣作りすると色々生活被害も出て来て困った問題も起こってきますので難しいですね。サギの種類が6種類というのは、ほぼこの辺りで繁殖するサギのほとんどとなります。 サギにとっては安心して子育てできる貴重な場所なのでしょう。
 裏返せばこのような集団繁殖に適する場所がなくなってきているのでこの池などに集中してしまうのでしょうね。
 貴重な情報ありがとうございました。
 なお、⑤の昆虫はカミキリムシ科のラミーカミキリです。
 
 色がきれいなカミキリで中国のゾンビのキョンシーに見えるのでキョンシーカミキリの異名もあるみたいです。
 大好きなカミキリムシの一つです。
 紅紫の花は食草のアオイ科ゼニアオイです。

・T.Kさん: いつもたよりの感想ありがとうございます。今年の夏は暑くなりそうですね。熱中症に気をつけてお過ごし下さい。

・Y.Aさん: たよりの感想ありがとうございました。
 オオミズアオの存在は本当にびっくりするほどですね。
大きさも美しさもですが、フェロモンを1マイル四方でかぎ分けられるなんてスゴイですね。
 そういえばフェロモンではないと思うのですが菜園に2年ぶりにジャコウアゲハ(雌)がやって来ました。食草のウマノスズクサに止まっていましたので産卵だと思います。
 いつも思うのですが、どうやってここに生えているウマノスズクサを探してくるのでしょう。‥不思議ですね。
 トンボ撮れましたら写真を送って下さい。 ( jより )




 ~~ ☆ おまけ ☆ ~~

 《 野鳥の会(創立当時)の探鳥会の写真 》
 朝の連続テレビ小説で植物学者牧野富太郎をモデルにしたドラマ「らんまん」をやっていますが、その牧野が野鳥の会(現在公益財団法人日本野鳥の会)の創設者中西悟堂と共に観察会リーダーとして活躍していたことをご存知ですか。
 日本野鳥の会は、初代会長中西悟堂が「野の鳥は野に」の理念のもとに1934年(昭和9年)に創立し、
同年に会報誌『野鳥』を創刊探鳥会を富士山麓の須走(すばしり)で行いました。           _
そして次の年(昭和10年)にも東京鉄道局と東京日々新聞社が主催した自然観察会がやはり富士山麓
で行われました。 この時は中西悟堂と牧野富太郎が一緒に参加していたのです。            _
会は三班に分かれてリーダーは、野鳥班(須走方面)が中西悟堂、昆虫班(樹海方面)が平山修次郎、
そして植物班(河口湖方面)が牧野富太郎でした。 人数は報道陣も入れて100人にもなったそうです。

 下段の写真は、「野鳥と共に」(著者:中西悟堂、発行所:巣林書房、昭和10年12月29日)に載っていた
写真で、おそらく昭和9年に行った須走の探鳥会の時のものではないかと思われます。         _
  写真に牧野はいませんが、中西の他に金田一京助・金田一春彦父子、窪田空穂、北原白秋、杉村楚人、
若山喜志子(牧水夫人)など、そうそうたるメンバーがそろって写っていましたので、複写したものを参考
に添付します。  ・・・( 阿部 純 )・・・                            


 
2023
6. 20


◆◆ 谷津田だより情報コーナー【投稿】 ◆◆

《散歩の途中で》 6月15日 ( f市 M.N )
 いつもお便り読ませていただいております。
今日は、散歩の途中でビックリな物を見つけましたので送ります。
神社の木の根元に草がいっぱい生えているのかと思ってよく見たら、銀杏(ぎんなん)から芽吹いたイチョウの幼木でした。
   
   
 今は、銀杏(ぎんなん)を誰も拾わないみたいです。 

 もう一つは、これも道路拡張のために切られた大木から鮮やかな色の大きなキノコが生えていました。梅雨時だからでしょうか。
   


《道北の自然だより》6月14日 (道北 M.I )
 5/27~ツツドリ、6/1~カッコウ、6/10~アオバト。
エゾハルゼミをバックミュージックにして3者が次々鳴いています。
 昨年は不思議に思っていたアオバトが元気に鳴きます。
イヤオーヤオ、ヤオみたいな鳴き声です。
 姿は見られませんが結構近くで鳴いています。
天気の良い日にはヒバリが高らかに。
 ウグイスは「ホーマキノ」と時々歌います。
いつになく朝ドラに力を入れて見ているせいでしょうか(笑)
 コヨシキリの声もよく聞こえます。
リユックサックに双眼鏡と水筒、携帯を入れて、徒歩1分の菜園に出かけます。ワクワクして草取りをしています。
(カッコウの写真、昨年送ったような気がしますが参考のため掲載します)
  

      ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

(*^_^*) 
M.Nさん いつもたよりを読んでいただきありがとうございます。
 いつもの散歩の途中でいいものを見つけましたね。これぞ身近な自然観察の良さですね。見向きもされずにうち捨てられていたぎんなんからしっかりと芽を出している姿には生命力を感じますね。
 これからも時々立ち寄ったときで良いですから成長の様子を観察して教えて下さい。
 キノコの種類ですが切り倒した木に生えているので色からしてタコウキン(多孔菌)科のヒイロタケと思われます。美しいキノコです。

M.Iさん いつも道北の自然情報を送っていただきありがとうございます。 ツツドリにカッコウ、アオバトですか。
 これらが身近に見られるのはスゴイとしか言えません。
NHKテレビの朝ドラの主人公牧野富太郎は、植物学の追求者ですが他の色々な分野にも繋がる研究ですから、アウトドア派としては興味津々です。
 私もドラマを見始めてからだいぶ前に古書店から購入した牧野植物図鑑を引っ張り出して時々眺めています。
 そうそうテレビと言えば、いつだったか道北(M.Iさんのお住まいのあたり)の自然を放映していました。
 広い牧場で牛を放牧している映像でした。牧場と周りの景色が牧歌的で素敵でした。 (jより )

2023
8. 3

◎ 「夏の菜園周り及びマンションのミニ自然」
 ・昼間も夜も暑いと思っていたら、最近は朝も暑いですね。熱中症は屋外ではなく室内の方が多いとのことですので十分に気をつけたいと思います。いつもの便りです。

蝉しぐれ》 菜園周りは、セミたちの合唱がとっても賑やかです。ジ・ジ・ジの鳴き声はアブラゼミ、ミーンミーンミンはミンミンゼミ、それに夕方になるとカナカナカナ‥と、ちょっと寂しげな鳴き声のヒグラシも混じります。それに声が小さく聞き取りにくいのですが、ニイニイゼミのチーチーの声も聞こえます。
※菜園周りではありませんが、自宅マンション周りでは毎日のようにクマゼミのシャアーシャアーという大きな声も聞こえます。添付の写真は自宅マンションの通路の壁に止まっていた①アブラゼミと②ミンミンゼミです。
  
  

オニドコロ》 ヤマイモ科のつる性多年草。山野に普通に生える。漢字は鬼野老。
 いつも自転車を置く場所に草たちが沢山侵入して来ています。目の前にぶら下がっていて一寸邪魔なんですが葉っぱのきれいなつる性の草が目に付きました。葉は徳川紋(三つ葉葵)に見えます。よく見ると葉の付け根に小さな雄花序(雄の花)を付けていました。
 少し邪魔なので持っていたハサミで蔓を元から切ろうと思ったのですが、止めてもう少し見守ろうと思いました。
  

セスジスズメ》 スズメガ科体長55~80ミリ。全国の平地から山地に普通に見られる。漢字は背筋雀。菜園に行く時の最初の観察は玄関を出てすぐに始まります。
まず通路、エレベーター前、それから1階のエントランスを通り自転車置き場までのコースです。いつも何かいるとは限りませんが今回は6階の通路の白壁にセスジスズメが止まっていました。翅も全く傷んでいないので羽化してから間もないのでしょうか。背中の明瞭な白線と翅の黒と白の横線が美しいですね。ただ、本種の幼虫は里芋の葉を食害する困った芋虫です。
  


カネタタキ》 カネタタキ科体長10~18ミリ。漢字は鉦叩。以前自宅マンションのベランダで夜中チンチンチンと鈴が鳴っているような声が続いていました。何の声か分からずに何日か経ちました。
 そのうち、その虫の声はベランダ前の和室の部屋の中で聞こえるようになりました。部屋の隅々まで探して見つけたのがカネタタキでした。ただ、今回菜園で見つけたのは雌なので鳴きません。※写真は雌のカネタタキの幼虫。
  

カブトムシ》 コガネムシ科体長30~55ミリ。平地から低山地の雑木林に棲む。
雄は頭部に大きな角を持つ。漢字は甲虫。兜虫とも書く。子ども達にとってクワガタと共に人気の高い昆虫で”昆虫の王様”とも呼ばれています。そのカブトムシがマンションの通路(6階)の溝にいました。
 きっと夜、通路の灯りにひかれてやって来たのでしょう。捕まえてスイカの一切れを小さなケースに入れて、6階の小学生のお孫さんのいるお宅に届けました。
  

ポポーの実》 バンレイシ科の落葉低木~高木。英名pawpaw。昨年今の時期に何度か便りで取り上げたポポーが今年も実を付け出しました。
 菜園脇の民家の生け垣近くにある木は大きな葉がいっぱい繁っており付いている実がよく見えません。それでも葉をずらして見るといくつか実が付いていました。ただ、昨年よりは少ないように感じました。 昨年は民家の持ち主(菜園の地主さん)にお断りしていくつかいただいて試食してみましたが甘くて美味しかったです。
 でも少しクセのある味がしたので人によって好き嫌いのある味ですね。
 
               ・・・・  阿部 純 

2023
8. 9

◎ 一昨日見つけた自然情報を送ります。
 やっといくらか暑さが和らいだ夕方に菜園に向かって自転車をこいでいたときのことです。耕作地に隣接する住宅地の歩道脇に何か落ちている感じがして、戻ってみるとヘビが横たわっていました。
 ヘビはほとんど動きませんが生きていました。
どこも怪我をしておらず、もしかしたら道路のコンクリートの暑さで弱ってしまったのかもしれません。
※写真:イラストのヘビ(ヘビ苦手の人用にWebからコピー)上に、マウス乗せると、本個体画像が表示されます
アオダイショウ ナミヘビ科の無毒ヘビ。全長110から192センチ位。漢字は青大将。
 日本固有種で北海道から九州に分布。性質はおとなしく平地や耕作地にすみ、ネズミを補食するので昔から農家の人から大事にされていた種類です。最近は数が減っているそうです。
 本種の幼蛇は体の斑紋がマムシに似ているためマムシに間違えられることがあります。今回見られた個体は成蛇で大きさは1.2メール位か。・・・・ 阿部 純


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