印西・谷津田だよりの６ページ

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2004 4.26	◎市内の鳥仲間から「市街地の空き地にコチドリがいる」と連絡があった。さっそく観察にいくと繁殖期独特の「ピビョウ、ピビョウ、ピビョウ・・・」という声とともに上空から空き地の砂利の上に降り立った鳥があった。コチドリである。黄色のアイリングと胸の黒い帯が目立つチドリの一種である。無事繁殖ができるとよいのだが。次の日も一羽が姿を見せた。空き地近くに三毛のメス猫がいた。心配である。そして、今日は姿がなかった。代わりに例のメス猫がのんびりと空き地脇の斜面で寝そべりあくびをしていた。大丈夫だろうか？ ◆チドリ目チドリ科コチドリ…黄色く明瞭なアイリング。黒色で太く短いクチバシの夏鳥。地面に窪みを作って巣とし繁殖する。この種は、卵やひなに天敵が迫ると、けがをしたふりをして天敵を遠くへ誘い出す偽傷を行う。 ※繁殖保護のため、具体的な場所については伏せる。	◎団地脇の公園入り口で直径２～３ミリぐらいの花をつけた野草を見つけ、さっそくデジカメ撮影し家で調べることとした。いつもの、図鑑で調べたが出ていない。大型の図鑑を本箱から引っ張り出して調べるも出ていない。そこで、帰化植物図鑑で調べてみた。すると、すぐに見つかった。帰化植物だったのだ。名前等は、下記である。 ◆ムラサキ科ノハラムラサキ…ヨーロッパ原産の一年生または二年生草本。春から夏にかけて茎の頂に巻いた花序を出し、直径３ミリほどの淡青色の５深裂した花を穂状に着ける。　１９３６年に千葉県で採集され、その後東北地方などで見出されている。花卉としてワスレナグサとして売られているものにごく近いとされる。
2004 5. 6	◎市内の野鳥の会の会員Ｓ氏から、「ムナグロ」がきていると情報があった。いつもながら情報が早くさすがだなと感心した。　ムナグロは、チドリ科の鳥でオーストラリア等で越冬しシベリアに産卵のため１万キロ以上を移動する渡り鳥であり、日本には旅鳥として春と夏にやってくる。　今の時期は、ムナグロだけでなく、色々な鳥が繁殖のためにやってきたり、北へ渡る途中にやってきたりする。皆さんも、犬の散歩やウォーキングで谷津田を歩く時に水の入った田や機械で起こしたばかりの田を探してみてみよう。もしかしたら、長い空の旅でやせ細った鳥や次への出発に向けてたらふく食べまるまると太った鳥たちの姿を見つけられるかも知れない。 ◆チドリ目チドリ科ムナグロ…漢字では、胸黒と書く。字の通り夏羽では、顔から胸にかけて黒色のチドリ。主に旅鳥として全国に渡来し、干潟や農耕地、草地などにいる。主に昆虫やミミズなどを食べる。	◆旅鳥（たびどり）…ある地方に渡りの途中に飛来する鳥。たとえば、日本ではシギ・チドリ類の大部分は、日本より北で繁殖し、日本より南で越冬するため、春と秋の２回、渡りの途中に飛来する旅鳥である。（野鳥用語小辞典より） ★これから、谷津田に旅鳥としてやってくる鳥に「チュウシャクシギ」という全長４２センチほどのクチバシが異常に長くかつ、下向きにカーブしているシギ科の野鳥がある。この鳥は特徴が前述したようにハッキリしているので分かりやすい。もし、見つけたら情報を送って欲しい。 ◎今月の２５日に印西総合福祉センター主催のシルバーウォーキング（谷津干潟の観察センター付近の観察をしながらの散策）でガイドの手伝いをすることとなった。自然観察をとおしてまた、色々な人と知り合えることを楽しみに出かけるつもりだ。次回に、谷津干潟について記述したいと思う。
2004 5. 7	◎久しぶりに谷津田に出かけた。今日は、浦部谷津に出かけた。（自転車）　今の時期は、野鳥がなかなか見られない。ウグイスやメジロなどすぐ近くにいるのだが若葉が茂っており、姿を見るのは難しい。でも、斜面林にそってゆっくりとしたペースで走っていくと前方を何度か小鳥が横切った。ホオジロ・キジバト等だ。空には、セッカやヒバリが囀っていた。今日は、猛禽類の姿は見られなかった。　目当ての旅鳥であるムナグロは、何度か水田を探したがいないようだ。早くも、シベリア方面に出発したのだろうか。 ◎今の時期は、野鳥を見るのに上を見て、野草を見るのに下を見てとなんとも目まぐるしい次第だ。　今日の野草の主な観察種は、次の通りである。 ◆ハルジオン　　ヒメジオン（花が咲き出したばかり）　ケキツネノボタン　ヘビイチゴ　オニタビラコ　ジュウニヒトエ　　ホタルカズラ（と思うが？）ヤブレガサ　ナルコユリ　キンラン ★キンラン・・・ラン科キンラン属　　春爛漫お緑の中で金色に輝く花はよく目立つ。今は、激減。　千葉県レッドデーターブック　カテゴリー　Ｄ　一般保護生物指定　環境省カテゴリー　ＶＵ　絶滅危惧Ⅱ類指定	★ジュウニヒトエ・・・シソ科キランソウ属　　花が重なって咲く様子を、宮中の女官の正装、十二単に見立てたもの。千葉県レッドデーターブック　カテゴリー　Ｄ　一般保護生物指定
	●谷津干潟の紹介…その１　谷津干潟は東京湾の最奥部に残された約４０㌶の干潟です。　ここには、ゴカイ・貝・カニ・魚そして水鳥などたくさんの生き物たちが生息しています。　特に谷津干潟は、水辺の鳥の中でも干潟に飛来するシギ・チドリ類が多く見られることで　知られていますが、シベリアなどの北の国と東南アジアやオーストラリアなどの南の国を　行き来する旅鳥にとって谷津干潟は渡りの途中の中継地として大変重要な場所となっています。　※私は、５年前から、谷津干潟観察センター主催の自然観察会のガイドをボランティアでやっている。　　一度お出かけください。（アクセス方法は、後日に掲載）
2004 5. 9	◎５月６日付けのたよりに「チュウシャクシギ」情報依頼をしたところ、さっそく市内高花地区のＵ氏から、結縁寺谷津にきているとの情報が入った。　早々の情報には本当に助かる。　私も、できるだけ早くチュウシャクシギの姿を捉えに出かけるつもりだ。　皆さんも、クチバシが異様に長く下にカーブしている鳥を見たら連絡してください。 ◆チドリ目シギ科チュウシャクシギ…漢字では、「中杓鴫」と書く。　杓は、杓子で柄杓（ひしゃく）のこと。つまり、中型で柄杓のようにながーいクチバシを持つシギということから名が付いたようだ。　冬は、フイリッピンやオーストラリアで過ごし今ごろ日本にやってきて、しばらく体力をつけ、シベリア地方などに繁殖のため飛び立っていく旅鳥である。　大きさは、全長が４２センチでキジバト（３３センチ）より随分大きい褐色の鳥である。	◆ホタルカズラ・・・　ムラサキ科イヌムラサキ属ホタルカズラ？ ◎５月７日づけの谷津田だよりに浦部谷津での観察植物を載せてあるが、「ホタルカズラ」についていまひとつ自信がない。図鑑を数冊みて「ホタルカズラ」としたが、どなたか詳しい方のアドバイスを求めたい。
2004 5. 9	◎午前中のたよりに書いた「チュウシャクシギ」を探しに小雨の中、結縁寺谷津に自転車で行ってきた。船穂郵便局手前のセブンイレブンの先を左折し、谷津田へのゆるい坂を下りていく。最後の急坂を過ぎると目の前に谷津田が広がる。田の真ん中を向かいの林に向かって車道が通っている。車道の左が結縁寺谷津、右手が船穂谷津となる。さっそく、情報の入った辺りの水田及び畔を双眼鏡で探ったがいない。３０分ほど探したが見つからないにで、引き返してきた。早くも、北へ旅立ったのか、それとも、他の場所で採餌しているのか。とにかくまた今度にすることとした。「チュウシャクシギ」はいなかったが、「アマサギ」「チュウサギ」がやってきていた。この２種も今年度の初認である。	◆コウノトリ科サギ目アマサギ…全長５０ｃｍ。繁殖期の頭部から首にかけての橙黄色の羽毛が特徴で、この色を亜麻色にたとえたのが名前の由来。主に夏鳥として渡来する。 ◆コウノトリ科サギ目チュウサギ…全長６８ｃｍ。ダイサギとコサギの中間の大きさ。夏は、クチバシが黒くて、目先が黄色い。夏鳥として渡来する。昔は個体数が多かったが、近年、急激に姿を消している。千葉県レッドデーターブック　カテゴリー　Ｂランク（重要保護生物）、環境省　カテゴリー　ＮＴ(準絶滅危惧種）に指定されている。 ※この２種ともう一回り大きなダイサギを指して普通、「シラサギ」と呼んでいる。
2004 5.10	◎基督教大学の下の谷津田には、アマサギとチュウサギ、ダイサギが採餌していた。アマサギは、谷津田の中央部の水田でしろかきをしている後にくっついていた。きっと、機械でかき回された田に出てきた獲物を採っているのだろう。 ◎次に戸川神社の西に開ける水田に行った。ここでも、やはりサギ類が中心で先ほどの谷津と変わらないようだ。　帰り道に（期待しながら）、戸神川と神崎川の合流点近くに開ける水田の畔を双眼鏡で注意深く追っていく。「いた！畔の上に土とほとんど同じ色のクチバシだけが異常に長い鳥が一羽　えさをついばんでいた。そのまま、双眼鏡を右に７、８メートル動かすとさらに同じような姿が２羽現れた。探していたチュウシャクシギ（04/5/9配信の便り参照）だった。	全部で８羽がしきりに田の畔と中で採餌していた。その後、人が近づいたようで一斉に飛び立っていった。 ◆船尾の戸川神社…戸川神社は、虫封じの神様と呼ばれているがそもそもこのいわれは、約５５０年前、初代神官が、全国を巡り、子ども達の足が強くなり、またカンの虫が治まるように各地で祈願したことにはじまるとされている。　この神社の祭礼は、１月１５日と８月１５日に行われ、露店なども並び多くの人で賑わうという。（印西市ガイドブック　印西名所図会より） ※カンの虫・・・疳の虫・癇の虫　疳の病原と考えられた虫。また、その病気。
2004 5.12	◎船橋の自然愛好会「Ｆ会」の市民の森（船橋市の北部にある）の清掃活動に行った帰り、会の仲間と二人で谷津田散策に行った。場所は、桑納川と新川の合流点近くの谷津田（八千代市桑納）と亀成川の上流部（印旛村滝）の２ヶ所だ。日差しは、真夏のようであったが、斜面林にそった農道を歩くとさわやかな空気にとても気持ちがいい。主な、観察物について記す。 ◆桑納川　★野鳥・・・キジ、セッカ、カルガモ、チュウシャクシギ（１５～１６羽）、ムナグロ(５～６羽）、キアシシギ（２羽）、ダイサギ、コサギ、キョウジョシギ（４～５羽）、他　 △ムナグロ…チドリ類チドリ科ムナグロ　胸黒と書く。全長２４㌢。夏羽では、顔から前頚、胸腹にかけての黒色が目立つ。主に、旅鳥として干潟や農耕地に飛来。これから、北国に旅立つ。 △キョウジョシギ…チドリ目シギ科キョウジョシギ　京女鴫と書く。全長２２㌢。夏羽では顔から胸にかけての隈取のような模様が特徴。旅鳥として渡来し、海岸の磯や干潟、河原などにいる。夏羽の色彩の美しさを、京女に例えたのが名前の由来。 ◆亀成川　★野鳥・・・ダイサギ、チュウサギ、コサギ、ホオジロ、モズ、キジバト、他　　★植物・・・サルトリイバラ、カラスビシャク、トウダイグサ、エゴノキ、他 △サルトリイバラ…ユリ科シオデ属サルトリイバラ　猿捕茨と書く。鋭いとげのある丈夫なつるはサルの行く手も阻むほど、という意味でつけられた名前。	この葉で包んだ餅を「山帰来餅」といい、西日本での「かしわ餅」はこれを指す。ちなみに、印西では「ばらっぱまんじゅう」といってこの葉を饅頭に巻き、蒸揚げたものが伝えられている。 △カラスビシャク…サトイモ科カラスビシャク　仏炎包の形を柄杓（ひしゃく）に見立てて烏柄杓という。この球茎を夏に掘り、皮を除いて乾燥させたものが、漢方の半夏（はんげ）である。 ★動物・・・モノサシトンボ、ゴミグモ、クロアゲハ △ゴミグモ…コガネグモ科ゴミグモ　　クモの巣の中心付近に縦長のゴミがついている。そっと、手を近付けると、なんとゴミの一部が動いた。ゴミリボンの上にじっと潜み獲物がかかるのを待っているのだ。ゴミグモと呼ばれる所以だ。 ◎KOさんの質問に答えてサギ（通称、シラサギ）の見分け ①コサギ・・・クチバシが黒、黄色い足指、夏場は背に飾り羽、頭部に２本の飾り羽あり。ちょこまかと動く。 ②チュウサギ・・・今の時期は黄色か黒で短いクチバシ。黒い足。コサギとダイサギの中間の大きさ。ダイサギとの区別が難しい。 ③ダイサギ・・・大きい体。長い首。黒色の足。今の時期、黒色または黄色のクチバシ。水の中をゆっくりと歩いたり、じっと止まって獲物を探す。そばにチュウサギがいれば大きさで分かる。
2004 5.15	◎先日、印西市の環境推進会議に行った時に、委員の一人が調べてほしいと一枚の写真を見せてくれた。ミミズの写真だ。それも随分とでかい。そして、ブルー色だ。九州・宮崎県に行った時に見たそうだ。さっそく、写真を持ち帰り、調べることにした。 ◆シーボルトミミズ・・・貧毛綱フトミミズ科の環形動物。　Ｐ．Ｆ．ＶＯＮシーボルトが日本で採集し、この標本をＨorstが１８８３年に発表した際に献名したものである。本州中部以南、四国、九州に分布し、山地に生息する。俗称はヤマミミズ。	現在までの最大の個体は体長４５センチ、太さ１，５センチ、４３グラムである。濃い青黒色をしている。　このミミズは、「かんたろうミミズ」と呼ばれている。なぜ、こう呼ばれるのかは、調べられなかった。どなたか、知っていれば教えて欲しい。 ※ちなみに私は、以前ＴＶで見た記憶があるが、実物はまだ、知らない。 ★もし、気持ち悪いけどみてみようと思う人は、次ぎのＨＰをクリックしてみたらどう！(シーボルトミミズ）
	http://bansyu.com/0530sen/mimizu.htm
2004 5.16	◎「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」、これがラムサール条約の正式名称である。１９７１年にこの条約が採択されたイランの町ラムサールの名前をとったものだ。　現在日本では１３箇所の登録湿地がある。谷津干潟は、このうち７番目１９９３年６月１０日に登録された。習志野市はこの登録日の６月１０日直近の土日を毎年「谷津干潟の日」として環境イベントを実施している。昨年度からは、千葉県の他に環境省も後援をしている。私は、このイベントのうち干潟自然観察会を担当している。今日は、６月に行う干潟の日の自然観察会のプレイベントを干潟サイドで行った。あいにくの小雨の一日であったが、１００人をこす参加者となった。（今回は、干潟サイドに長机を置き、顕微鏡、水槽、望遠鏡などを設置し、通りかかった人に自由に観察体験をするシステムをとった） ◎今日の観察のうち参加者の興味をひいたものを下記にいくつかあげることにする。 ◆水鳥・・・チュウシャクシギ・キョウジョシギ・ハマシギ・コアジサシ ★コアジサシ…アジサシ類カモメ科　ニューギニアなど南半球から渡ってくる。東京湾沿岸では繁殖地が激減している。レッドデーターブックの記載種である。この種は、２年前には印西牧の原北にある公園脇の調整池の上をよく飛んでいた。	◆底生生物・・・アカテガニ・トビハゼ・アカクラゲ ★トビハゼ…ハゼ科　体長５～１０㌢。内湾や河口など、汽水域の干潟にすみ、陸上を飛び跳ねる。昆虫や小さなカニ等も食う。谷津干潟は、日本の生息地の北限といわれる。なお、ムツゴロウは、この種の近似種。 ◆その他・・・ボラの稚魚・アカエイ・アナアオサ・赤潮 ★アナアオサ…アオサ科の海藻　先日、習志野市の小学校４年生たちが総合学習で干潟に来て「草原だ」といったとボランティアの方が言っていた。まさに、潮がひいた干潟は、緑一色に見える。いま、この種が、以上繁茂して干潟の状況を悪化させている。環境省はじめ各団体もお手上げ状態である。 ★赤潮・・・植物性プランクトン及び動物性プランクトンが異常発生し海水が褐色から赤っぽく見える状態をいう。東京湾における赤潮は、毒素を出すプランクトンがいないので赤潮事態は、生物にとって無害だ。しかし、これが青潮につながる原因となる。青潮は、海の生き物にとってまさに死の水だ。青潮発生のメカニズムについては、いつか述べていきたい。 ◎今日のイベントには、小学校４年生のジュニアレンジャー、観察センターのボランティアの方などが協力してくれ本当に助かった。
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