−ページ〔5〕−谷津田だよりのトップへ戻る    谷津田だよりのトップへ戻る
 
2004
3.27

◎この数日、時間を見つけて谷津田めぐりをしている。それは、もうそろそろ渡り鳥が南方から渡ってくるからだ。皆さん、何か情報があれば御願いします。

◆田の畦で、農家の方から色々な話を聞いた。基督教大学の下の谷津田でカエルの卵塊の調査をしていると、脇の田んぼの持ち主が話しかけてきた。その中から参考になったことを記す。
☆マムシの話(怖!)
 ・この方は、昨年この田んぼで3匹のマムシを捕ったという。1匹は、腹に4匹の子があったそうだ。マムシは、ハブなどの蛇と比べると攻撃性は弱いが、それでもとぐろを巻いている時は、近くに手でも出そうものなら、反射的に襲ってくる。農家の方の指差す先の斜面林には、先の割ってある篠竹と針金が置いてあった。いざという時に使用するのだそうだ。・・・これからは、できるだけ長靴にしよう。
クサリヘビ科ニホンマムシ…マムシは毒蛇の代表とされるが実際にはおとなしく、一方的に人に向かってくることはない。眼と鼻の間には感覚器である一対のピット器官があり、赤外線を感知してほんのわずかな温度差に反応することができる。マムシは、胎生で、8から10月に5〜6匹の子蛇を生む。


サワガニの話(すごい!)
 ・昨年、この谷津田を流れる川でサワガニを見たそうだ。サワガニは水のきれいな渓流の生き物だ。それから、昔の話を色々聞いた。昔は、ヤツメウナギもいたし、二枚貝も採れた。それらを味噌汁に入れて食べたという。
△ヤツメウナギ科スナヤツメ(と思う)…普通の鰻と違い、円口類といってあごのない丸い口。円口類は、「生きた化石」といわれる。口の部分がひょうきんである。

☆掩体壕の話(古い話!)
 ・昭和の一桁生まれというこの方は、昭和19年に船穂小を卒業したそうだ。戦局の厳しくなった20年に、印旛飛行場の拡張工事に伴い、掩体壕(飛行機を敵から隠す施設?)を作っていたそうだ。大変な重労働だった。そのためか、今でもスポーツ心臓で困っていると話していた。

△印旛飛行場…昭和16年草深に民間航空従事者の養成機関として、設置された。19年戦局が厳しくなり、飛行場の拡張工事が行われ、陸軍航空基地となった。拡張工事に伴い、女子挺身隊や近隣の中学校からも動員された。


2004
3.28

 ◎KOさんのビオトープのカエルは、卵の形状と写真を見る限り、ガマガエルと思う。ガマは、正しくは、ヒキガエルという。卵は、寒天状で紐のように長い独特なものであり、池や小川などに見られる。

◆カエル目ヒキガエル科アズマヒキガエル…本州の近畿付近から、東北部、伊豆大島、北海道の一部に生息。近似種にニホンヒキガエルがある。生息域は、広く都市部の公園や人家の庭にも住み着く。 目の後ろに毒腺があり、白い毒液を出す。「蛙合戦」で知られるのは、この種。それに、筑波山のガマの油もこの種の毒液を薬にしたもの。
◎27日、千葉市にある泉自然公園に船橋の同好会で出かけた。桜は、2部咲きというところだ。ただ、枝垂れはもう満開だ。

◆カタクリの花が満開。カタクリの群生地でありカメラマンの数も多かった。
ユリ科カタクリ属カタクリ…春の林床を彩る代表的な野草。りん茎からは良質のでんぷんが取れ、昔は片栗粉に用いられた。今が、最盛期だ。出かけるなら今週いっぱいだ。
 ここで、情報を一つ提供、多くの花の中に真っ白な花のカタクリが、数本ある。これを探すのも楽しい。


 土日は、ボランティアの方が待機しているので聞くと白花の場所を教えてくれる。

   

◆池には、オシドリが7羽いた。
◆ルリタテハ(蝶)が一匹みられた。この個体は、冬を越したもの

 タテハチョウ科ルリタテハ…黒地に瑠璃色の帯、前羽の表面には、白い肩章、裏面は凝った木肌模様。
 クヌギ、コナラなどの樹液、落果に集まる。幼虫は、庭植えのホトトギスなども食べる。


2004
3.31

 谷津田に下りると、カエルの声が威勢良く聞こえる。つい数日前までは、せいぜい1、2匹位だったのが、今日は結構多い。
川沿いの土手上では、キタテハ、キチョウ、モンシロチョウなどの数種の蝶が舞っている。
 これからは、いよいよ渡り鳥の鷹たちが、やってくる時季でもある。谷津田もこれから賑やかになるなあ。 

2004
4. 4

 ◎1週間前位から谷津田が結構賑やかになった。それは、小さな生き物たちが活動を始めたからだ。その生き物たちの様子を次に記す。
◆カエル…畦道を歩くとカエルの声が響いている。印西にはカエルが6種いるという。種の名前と鳴き声は次の通りである。
 1アズマヒキガエル  クウッ、クウッ、クウッ、
      グッグッグッ・・・不規則に連続して鳴く
 2ニホンアマガエル  グエッ、グエッ、グエッ
             ・・・連続して鳴く
 3トウキョウダルマガエル  グゲゲゲケッグ
              ゲゲゲ・・・連続して鳴く
 4シュレーゲルアオガエル キリリッ、キリリッ
          ・・・濁点の入ったような声で鳴く
 5ニホンアカガエル  キュッキュッキュッ
             ・・・こもるような声で鳴く
 6ウシガエル    ブオオオオー、ブオオオオー
            ・・・低く牛のような声で鳴く
※カエルの声を聴いたら、ちょっと耳を澄ましてみよう。でも、聞こえ方は個人によっても大分違うのでどうだろか。

◆蝶も谷津田に咲いた小さな花たちを求めて舞っている。今見られる蝶をあげてみる。

 1 モンシロチョウ・・・シロチョウ科モンシロチョウ
 タンポポ、アブラナ、アザミ類などで吸蜜する。明治時代以前は、白粉をはたいたような姿から粉蝶(しろてふ)と呼ばれていた。


 2 モンキチョウ・・・シロチョウ科モンキチョウ  関東地方の低地では、年4〜5回発生、3〜11月に見られる。タンポポ類、アザミ類などを好む。

 3 キタテハ・・・タテハチョウ科キタテハ  カナムグラが茂る空き地や草原を、ゆるやかに滑空し、時々葉の上にとまって羽を閉じたり開いたりしている。今見られる個体は、秋型であり軒下や葉裏で冬を越したもの。ほとんどが羽が痛んでいる。

 4 ルリタテハ・・・タテハチョウ科ルリタテハ  名前のとおり、黒地に瑠璃色の帯、前羽表面には白い肩章、裏面は凝った木肌模様の蝶。クヌギ、コナラなどの樹液、落果に集まる。

 5 シジミチョウ・・・これも何種か見られる。

◆畦や道端に咲く小さな小さな草花
 1 ナズナ・・・アブラナ科ナズナ(ぺんぺん草)  春の七草のひとつで、古くから食用にされてきた。実が三味線のばちに似ていることから、ぺんぺん草の名も。

 2 タガラシ・・・キンポウゲ科タガラシ  名は水田に生え、かむと辛味があることによる。花の中央にある緑色の球は、多数の雌しべが集まったもの。有毒植物のひとつ。

 3 ミチタネツケバナ・・・アブラナ科ミチタネツケバナ  ヨーロッパから東アジア原産の帰化植物。在来のタネツケバナに非常によく似るが、花弁の長さや花の時期が早いなどの点で識別できる。地味な植物である。

2004
4. 7

◎広辞苑でモウキンを引くと、もうきん【猛禽】性質が荒い肉食の鳥とある。具体的には、タカ目のワシタカ類やフクロウ目のフクロウ類をいう。
 印西の里山でも、数種の猛禽が生息している。時には街中の上空でも猛禽類を見ることができる。案外、カラスだとおもって見ていた鳥が猛禽類だったということもあるのだ。今回は、印西の里山に春から夏の間南方からやってくる猛禽を紹介しよう。
サシバ…広辞苑によると、タカの一種。大きさはカラスぐらい、背面は褐色、尾羽に黒色の3〜4条の横縞、下面には白地に堰褐色の横斑がある。本州から南に普通で、秋に大群で南方に渡る。山地・森林に住み、蛇・昆虫・小鳥などを捕食。稀に鷹狩に使った。大扇(おおおうぎ)の別称も。

★サシバは、毎年3月の終わりごろに北総の谷津田にもやってくる中型のタカである。主に谷津田及び斜面林に生息する両生類や爬虫類及び昆虫類を捕食し、子育てをする。体全体が茶色味の濃いタカで上空を滑空したり帆翔(注)している姿が見られる。

★サシバは、里山に生息する鳥であり、谷津田や斜面林などの環境の変化はサシバの生活に重大な影響をもたらす。休耕田による田の減少(その休耕田も放棄され荒れ放題で陸地化している)、斜面林は、管理されず荒れ放題、谷津田の真ん中を流れる水路は、三面コンクリート化され、生息環境は悪化する一方だ。サシバは里山環境の指標になる鳥である。
◆このような意味からも、谷津田を中心とした里山の環境を維持していくことが大切であろう。
 ※注 帆翔…上昇気流にのって、長い間滑空すること(=ソアリング)

 ◎これから、アウトドアに最適な季節だ。いつも車の人も、自宅や事務所でキーボードをたたいている人も、時間が取れたら外に出て歩いてみよう。そして、時々空を眺めよう。もしかしたら、猛禽がソアリングしているかも・・・


   

   

2004
4. 8

◎先日、自然調査の仲間が「浦部谷津で日暮れ時にひらひら飛ぶものがいるんだけど」と話していた。環境・時刻・飛行の様子から推測して、コウモリだと思う。
 夕方に、鳥とも蝶ともいえないようなひらひらした飛び方で、同じ場所を行ったり来たりしている姿を見かけたらコウモリに間違いない。案外、気がつかないが学校のまわりや神社や寺の周りで飛んでいるものだ。
 街中で見られるのは、ほとんどがアブラコウモリだ。 スズメだと思っていた鳥が、アオジやカワラヒワであったり、犬かと思っていた動物がハクビシンであったりすることは、よくあることだ。思い込みでなく、もう一度、「なにかなあ」という目でとらえることが、自然観察の基本だ。 買い物やウォーキング、犬の散歩のときにちょっと足を伸ばして谷津田に下りてみよう。そこには、必ずや(とっても小さいが)発見があると思う

アブラコウモリ…哺乳類ヒナコウモリ科アブラコウモリ 4〜5.3センチ 都市部でも、夕方となるとひらひら飛んでいる。しかし、ほとんどの人はそれがコウモリだということを知らない。都市生活で「慣れ」が人をどんどん自然から遠ざけて好奇心をなくさせているのだろうか。活動時間→夜間 見られる時季→春、夏、秋
※千葉の生き物図鑑より {著者前園泰徳メイツ出版}・・・この図鑑は、読み物感覚で使え、植物から昆虫・小動物・魚まで出ていてフィールドに持っていけるサイズである。私にとって、愛用の一冊である。



ハクビシン…ジャコウネコ科の哺乳類。白鼻心と書く(もとは、白鼻芯と書いた。)
 頭胴長50センチメートルほど。尾を入れると1メートルを越す。毛色は全体に黒褐色で、顔、四肢、尾は黒い。名は鼻の白い線に由来。目の下に、耳の下に白斑をもつ。東南アジアに広く分布。日本では、移入されたと思われるものが野生化。雑食性で、ミカンなどを食害。

   

※印西では、松崎・船尾付近の斜面林内に野生化している個体が生息している模様。私も、船尾付近で交通事故にあった個体を教材用として剥製標本にして保管している。ご希望があれば、いつでもお見せします。連絡をして下さい。


2004
4. 9

サザンプラザ(中央駅南コミュニティセンター)の前の車道から県立花の丘公園に入る細い歩道がある。
 左手に中学校の校庭がある細道には、オニノゲシやハルジオン、ナズナ、ヨモギなどがいっぱいに生えている。
 斜面には、イタドリも多い。特に目立つのは黄色の花のタンポポだ。

 自転車で通り過ぎた時、一瞬白い花が見えた。少し戻って確認すると白い花のタンポポが2株あった。
 シロバナタンポポに違いない。さっそくデジカメ撮影をした。
 小学校でも新年度が始まった。
 学力低下の風評から文部科学省は、新年度の教科書採択にあたり、発展という形で内容を増やしたという。
 それはそれでいいが、総合学習での自然と関わる時間が減らないことを願う次第である。


   
シロバナタンポポ・・・キク科タンポポ科シロバナタンポポ。花色が白く優しい感じのするタンポポで、最も苦味が少なく、食用に適している。近畿地方以西に多い。関東や東海地方ではまれで、植えたものが野生化した可能性が強い。

 ※船橋の某小学校のホームページに今年3月に行った小学3年生の総合学習(自然との関わり)を支援した時の内容が出ています。暇つぶしにクリックしてみてください。
  船橋市立T小学校ホームページです。

  http://www.tukada-e.funabashi.ed.jp/tiiki/nagatugawa.html

2004
4.18

   ◎17日の10時にNT中央駅前に集合し、駅北側の谷津田を散策した。
今回の観察会のコースは、3月17日にITメンバーで行った観察会から、戸神調整池の観察デッキを抜かしたコースだ。 今回のメンバーは、大半が印西をはじめての人であったので、大塚前遺跡や木刈峠(びょう)遺跡などの話もいくらか取り入れ、後は谷津田の自然に触れてもらうコースを設定した。そして、今回も光堂(宝珠院観音堂)の堂内見学を最後に行った。
光堂・・・国の重要文化財であるお堂の中を見学できた。また、堂の前にそびえている観音杉の根元には、アリジゴクの巣やニラムシの穴を見つけた。
◎そういえば、今回も光堂で、お茶におしんこやお菓子をいっぱいいただき満足してかえってきたのは言うまでもないことである。

ツチグリ・・・今回も大塚前公園でツチグリを見つけた。ITメンバーの観察会の時にWさんが、持って帰ったあのUHOみたいな茸の一種だ。水につけて、うまく花びら(?)が開けばいいが。

メタセコイア・・・浦幡公園の中にメタセコイアが並んでいた。スギ科メタセコイア(アケボノスギ)落葉針葉高木。1941年、三木茂博士は、日本の鮮新統から出た化石を研究し命名した。1945年、中国四川省の奥地で現存のものが発見された。これが化石のものと同一種とみなされた。日本には1949年アメリカから伝えられた。その後、各地の小学校や公園などに植栽された。

サシバ・・・今回の目玉の一つであった。渡り性の鷹である。これもしっかり顔を出してくれた。



アリジゴク…ウスバカゲロウの幼虫の巣

ニラムシ…ハンミョウの幼虫


ヒメオドリコソウで花が白い。私はシロバナということからオドリコソウと思ってしまったが、実はヒメオドリコソウの変種でシロバナヒメオドリコソウであることがわかった。この種は、結構珍しいものだ。

   


 参考に「シロバナヒメオドリコソウ」の関連HPを下に記す。

 3月に行かれた方、開いて確認してみてください。他の方も暇つぶしに開いてみてください。

http://www.azami.sakura.ne.jp/yasou/w/sirobanahimeodorikosou.htm

2004
4.22

◎朝の連続TVドラマ「天花」を見ていたら、天花の祖父佐藤信一郎(字はこれでいいのかな?)が、農業を志す天花に「稲を作る」ということは、「田んぼを作る」ことだ。「田んぼを作る」ということは、「川や山を守る」ことで、「川や山を守る」ということは、「日本の自然を守る」ことだと言っていた。当たり前のことだが、TVを見ていて、つい頷いてしまった。これこそ日本の農政の根本であろうと思った。

◎外に出かけていないので、先日自治会を通して配布された印西市エコカレンダーをひらいてみた。
◆今回配布の「ECOカレンダー」は、昨年各世帯に市から配布された「印西市環境基本計画」(全世帯には、概要版が配布されている)の推進についての行動指針である。2ヶ月ごとに、テーマを設け、市民が守るスローガンがでている。ちなみに、4・5月は、里山等の自然。6・7月は、水。8・9月は、省エネについて。10・11月は、大気や騒音。12・1月は、ゴミ問題。2・3月は、環境学習と教育である。

◆上記のテーマの外に、毎回欄外に環境家計簿の欄を設けてある。電気、ガス、水道の使用状況を記入することにより、各家庭のエネルギーと二酸化炭素排出量が分かるのである。


◆できるだけ、写真や図を入れて何かの資料になるように工夫したつもりだが、ごちゃごちゃしている感もある。なお、裏表紙には、大気汚染監視システム(そらまめ君)や環境省などのホームページアドレスを入れてあるので何かの際に利用すると良いと思う。
※余談だが、2・3月の上段右の写真の中央に写っているのが、小生である。(帽子、半そで、チョッキ姿)

◎家のそばのスーパーに行く途中、大塚前公園の土手に小さな薄紫色の野草があった。デジカメで撮影しようとしたが小さすぎ、無理であった。やむを得ず、一輪だけ抜いてきた。図鑑で調べると、マツバウンランであった。

ゴマノハグサ科ウンラン属マツバウンラン…北アメリカ原産の帰化植物、漢字では「松葉海蘭」と書く。西日本を中心に勢力を広げつつある。最近では関東地方にも見かけるようになってきた。草丈は、50cmほどになる。葉が細く松葉のようなのでこの名がある。


前に戻る   次に進む