連載小説
[TOP][目次]
2、「フェンリル大尉」
時が動き出す

建物、「基地」とも呼べる施設から黒い4本足の機体のシルエットがあらわになる、いわゆる4脚型というものだろう

その機体はドスドスと重厚な足音を立てるとまっすぐとある男の方へカメラアイを向ける。どこかの部屋にいるのか、ちょうどカメラアイと同じ目線に男も立っている。

「おや?これはこれはわざわざ大佐みずから見送りになられるとは・・」
機体に乗っていたのも男であった。
静かだがアインとは異なる殺意とも思えるその声はカメラアイの先に居る大佐に話しかける。

「目的はわかっているな?フェンリル大尉。あくまでアインの援護だ。余計な事はするな・・・」

「余計な事?はて、私が何時もやっている事では不服ですか?」

大尉はクスッっと聞こえないくらいの笑みをこぼす

「前々回の任務でお前は味方を4人殺しアインをも殺そうとした・・それをわすれたわけじゃないだろう」
大尉はまたもクスッっと笑う今度は聞こえるように

「おやおや、ああしなければどの道細菌による錯乱作用と混乱作用で味方中隊20人全滅でしたよ?・・・」
 
大佐は眉間に皺を寄せると
「あのウイルス兵器には抗体があった。すぐにでも抗体を打てば皆助かった、軍医も兼ね備えてる忘れたわけではないだろう」

「クスッ・・そうでしたね。私は貴方に完璧に負けた・・それ以来貴方に尽くしてきました。失念していました、もうしわけありません」

大尉はそういい機体の歩みを施設の外へと向ける

「でも覚えて置いてくださいポーカーフェイス大佐。何れまた貴方とは戦う事になるかもしれませんよ」

そう言い機体のブースターを吹かすと見えない所まで飛んでいった。


・・・・・・

アナザーは襲撃された施設に訪れた。
そこには前にあった表札は無く社員らしき人もおのずと居ない。いるとしたら引越し業者かなにかの集団だった。

「あのーここ移転か何かするんですか?」
おそるおそるアナザーは近くの人に聞いてみる

【ああ、なんでも前みたいな事件が起こらない為にもっと安全な所へ行くんだとか】

安全・・という言葉に引っかかりを感じる。そもそも薬品を扱う会社は何処へ行っても危険と隣り合わせだ。
意味がない、仮にあったとしてもそれの対応策くらいあるはずだ。

「よし・・・」

作業員らしき人物の乗っていた車の荷台にこっそり侵入したアナザー。
それに気付かずに車を出す作業員

「これが当たりならまた例のACとも会える!」


そうして物語は交差していくのだった。

・・・

夜空の中アインは機体の置いてある所のそばで待っている。
大佐の言っていた【フェンリル大尉・装備品】を
「・・・」
風がなびく・・・アインはこの風が好きだ。精神統一というべきだろうか心が落ち着く。

それをかき消すように遠くからブースター音が聞こえてくる。大尉だ

その黒い4脚の機体はアインの目の前で停止すると辺りにはもの凄い風圧がかかる。砂埃が飛びアインも目を細める。

「遅かったわね・・フェンリル大尉。予定より1時間もずれるなんて、貴方らしくないわ・・」

物静かに発するアインだが少々呆れているとも言える口調

「これは失礼、なにせ貴方のお兄さん・・失礼。大佐がに耳にタコができるほど注意しろと警告をうけましてね・・クスッ」


「・・・・で、私の装備・・もって来てくれたかしら?」

流すように大尉に問う
「これは失礼。任務中でしたね。持ってきましたよ近接戦闘用ダガーとその変え刃・・・あとは狙撃用レーザーライフルに貴方のお得意のリボルバー装備あとは・・」

大尉が装備を調べる最中にアインが先にその装備をとりだす。
「そうそう貴方の専用拳銃【コルトパイソン4インチ】ACに乗るのにいるんですか?」

大尉はアインに質問をする
「お守りなの・・」

そうつぶやく
「そうですか・・でも驚きました。わざわざそのような【ワンピース】姿で出迎えてくれるとは・・とても良くお似合いですよ」

大尉はまたクスッっと笑う
「・・・何が言いたいの?」

アインはキリ!っと大尉を睨みつける
「いえいえ、貴重な貴方の下着姿が拝見できましたので・・これからは気をつけたほうがいいですよ・・・・クスッ」

そういうとアインは両手でワンピースのスカートを抑える

「へえ・・流石は元殺人狂ね・・そういう所も変態な訳ね・・」

「クスッ・・ほめ言葉として受け取りましょう。」

そういうとアインはACに装備を施すと装備を整え、機体に乗り込む。

「目標はムラクモミレニアムの例の【アレ】の奪取。時間が無いわ、妨害行為を受けたら任意で排撃許可も受けている・・・。でもなるべく被害は最小に抑える事。いいわね?」


「・・・クスッ了解しました。アイン【中佐】」




黒い4脚のACと青い2脚のACはともにブースターを吹かし、ムラクモミレニアムの施設へと向かう・・・。
11/06/30 16:46更新 / PF大佐
前へ 次へ

TOP | 目次

まろやか投稿小説 Ver1.50