連載小説
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シャドウ流掃除術
くそー、終わりそうにない。
部屋の掃除は終えて果てしない廊下をフランと2人で掃いているのだが、心の中で半ば悪態を吐いていた。
フランも掃除が面白くないことに気がついたのか、かなり不機嫌な様子で手を動かしているのであった。
「もうやだ!やめる〜!」
「好きにしてくれ、俺だってやりたくない。」
「何でそこまで頑張るの?」
「まあ、生活がかかってるからな・・・」
「世の中ってそんなに厳しいの?」
「生きるためには誰もが必死だ、労働の対価として生を得るんだ。」
「私は働いてないけど・・・」
「まあ、子供はまだ働かなくて良いんだ。勉強だな。」
「勉強?」
「・・・学ぶことだ。」
フランは我慢の限界に達したのか、不機嫌にムーンに対して声を出して掃除を投げ出した。
まあ、誰だってこんな広い廊下の掃除なんてしたくはないだろう。
フランは黙々と黒い箒を持って掃除をしているムーンに対して疑問を持っているのか、少女らしく純粋にムーンに質問するのであった。
ムーンは世間知らずな少女だと思いながらも相手に対して諭すように言葉を言ったが、フランは自分の身の上を考えての言葉を言う。
ムーンは言葉を言いながらも昔の自分の事を思い出して、もっと遊んでおけば良かったと心の中で思うのであったが、フランは勉強という言葉を聞いたことがないようだ。
一体、フランはどういう生い立ちなのか、本当に気になる。
フランの面倒を見ろとか後々、命令されたときにはどうすれば良いのやら、と既に面倒ごとが自分に降りかかるのを半ば覚悟していた。
「さっさと終わらせる方法は無いの?」
「・・・あるにはあるが、上手く出来るか分からないぞ?」
「何でも良いから!」
「万物を包む闇よ。我が眼前に我が望む物を集めよ!」
フランは遊ぶことをもう考えて居るようで、ムーンに早く終わらせるように要求した。
ムーンは多少、渋りながらも少女に対して言葉を言ったが少女は速さだけを求めているようである。
仕方ないという風に息をついた後にブツブツと静かに呪文を唱えるのであった。
この呪文は精神を統一させなければ変な物を呼び寄せてしまうかも知れないからだ。
チリやゴミを集める、目を閉じながらそう念じるのであった。
「これゴミなの?」
「・・・違うようだな。まあ、チリは集めておいてくれ。」
「うん、分かった−!」
やはり、結果は思った通りで目の前にはチリ以外にも違う物が引き寄せられていた。
古い本が数冊と、トランプ、何か得体の知れない詰め物が幾らか・・
ムーンはフランの言葉で目を開けて自らの足下を見るのであったが、自分が見ても明らかにゴミとは違う物が引き寄せられているようで、頭を掻きながら、集めた物をどうするかを考えるのであった。
とりあえず、持っておくかと腰を屈めて抱えるような感じで回収し、チリは箒に集めるようにフランに言った。
フランは大分、早くなった掃除にご満悦でこんもりと山のように存在しているチリを鼻歌を歌いながら塵取りの中に入れるのであった。

その頃、図書館では・・・
「あら?此処に置いて置いた本は何処に行ったのかしら?」
「うーん・・・」
紫の少女はチルノが入ってきた時から殆ど動くことなく本を読み続けているようであった。
ふと、視線をあげてカウンターの上の本の群れを見れば、自分が置いていた本が無くなっているようだ。
そして氷精は相変わらず、何も書かれていない本を読み続けているようであった。
12/01/09 00:36更新 / シャドウ
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■作者メッセージ
久々の更新・・・
っていうか、正月までここに来るのを忘れてたorz

望む物を引っ張って来れる魔法ってすごくね?
それと二次ネタを知っている人にはとんでもない物を引き寄せたのがわかるハズ・・・

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まろやか投稿小説 Ver1.50