まこっち ; 恥ずかしがりやなんで、歌ってきかせるのは苦手なんです

ここでしばしの指揮者談義。現役指揮者のCOSMOSさんと、現役団員、ほか2名。

K ; 「ホグセットさんの指揮で、私たち客席で聴いてて、皆さんが鳴ってくるのがわかったんですけど
   歌っててどうだったんですか?」

ま ; 「いや、あの、一番自由に歌わせてくれたんです。
   普通の指揮者ってやっぱり、宗教曲の作り方のワナにはまっちゃってるというか」

K ; 「ワナですか」
ま ; 「あまり、とげとげしくならない抑揚だとか、あと、ノンビブラートでとかとにかく」
K ; 「淡々と歌うべき・・・」
ま ; 「まあ、やっぱりルネッサンスの曲なんで」
C ; 「こう、すべきっていう・・」
ま ; 「やっぱり萎縮してますね、」
C ; 「だからこうであるはずーっていう正解が先にあると、歌う方は萎縮しちゃうよね」
K ; 「いつもの指揮者さんで歌ってる時とは違う歌ができたっていうことですか、
   あんな短い時間でって思っちゃいますけど、あのステージの上で。」

ま ; 「空間が違ったから、そうだったのかはわかんないんですけど、あの場では確かに、はじめは
   いつもの半分しか声は出せてなかったんですよ。普通の曲を歌う時と比べたら全然声は出ないです」

C ; 「普通の曲で、出ないっていうのはどうして?」
ま ; 「やっぱり、加減しちゃうんです、あの曲、音域広いし。」
C ; 「あんなに短時間でっていうけど、ほんとに名指揮者はだからほんとに一振りで音変わるよ。」
K ; 「へえ・・」
C ; 「私も学生の頃、田中信明さんのワークショップだったんだけど、モデル合唱団がね、
   どんどん落ち込んでね、そこの指揮者がやっても。
   じゃあ替わりにって田中さんが一振りしたら、もうぜんぜん違う音出したの、何にもいわないのよ、振っただけ。
   どこをどうしろとか何にもいわない、じゃあ、ってひと振りでばーんて。そんなもんですよ。」
K ; 「そ、そうですか」
C ; 「それがあたり前。名指揮者はそうです。」
ま ; 「S先生で初めて歌った時も、そういう感じありましたね。」
C ; 「そう。なんか歌わされちゃう・・」
K ; 「指揮者からくるものがあるってことですか?」
ま ; 「コントロールされちゃうっていうか、声まで」
C ; 「そう」
ま ; 「O先生だとそこまではいかないっていうか、O先生は」
C ; 「そういうタイプじゃないんですよね」
ま ; 「O先生は自由に歌わせて、その上で直していくっていう感じなんですよね」
C ; 「ああ、そうなの」
ま ; 「S先生の指揮だと、歌った時点で、この声で歌わせられてるみたいな・・・」
C ; 「へえ、なんでそうなるんだろ、歌わされる側からいうと・・・」
ま ; 「指揮の振り方・・ですかね、最初の第一回目からしてそうだったので。」
K ; 「へえ、でも、それで、この声でってところが変わっちゃうんですか?」
ま ; 「変わっちゃいますね」
C ; 「うん」
K ; 「それって、自分でこの声で歌いたいっていうのとは違う部分?」
ま ; 「相当、意識はしてますけど、だけど、何十人で歌うとうまくいかない、
   それが、ひとつになって、他の人もそうなって・・」

K ; 「ほお」
ま ; 「イメージがそうなっちゃうんですかね」
C ; 「指揮者講習会っていうのがしばらくあったんですよ、今は合唱セミナーになったんだけど。
   あれでね、私が振ったときに、どうしても欲しい音が出ないってことがあって。
   だって、初めての顔も知らない大勢の人で、あがるじゃないですか。
   その時にS先生が「そうじゃなくてこういう風にやってみて」っていってくださって
   それをみて、なんか身体の使い方とか重心の置き方とか、「あ、そうか」ってわかったことがあって、
   私なりにそうやったら本当に音が変わったのね」
K ; 「へえ〜」
C ; 「だから、指揮者の責任がかなり大きいのね、はい・・・・」
K ; 「どっちが気持ちいいですか、歌わされるのと・・・」
ま ; 「どっち・・どういう?」
K ; 「えーと、自分が楽器になってしまって、指揮者の思うとおりに歌っているのと、
   そうじゃなくって、この曲はこういうものーって自分で思って歌うのと。」

ま ; 「学生時代と今とじゃ感覚違うんですよね。学生時代だと、自分が思うような、
   出したい声が出せた上で、ひとにコントロールされるってところだったから。
   だから、S先生みたいに、自由に出さしてくれないっていうのも、それに沿った声を実現できるから、
   実現できるんならってよかったんですけど、今だともうブランクもあったりして思うような声が出せないので、
   すると、その中でひとにコントロールされるのは、きっと・・・」

C ; 「でも一概に、S先生が、コントロールする指揮者ってイコールにしていいのかなって・・・」
ま ; 「ま、S先生は違いますよね、一般の指揮者のことかもしれないんですけど」
C ; 「あ、それならなんとなくわかる。S先生は、コントロールしてるって言えばしてるんだけど、
   されてる方は、それで解放されるから悪いことじゃないわけよ」
K ; 「そうなんですか」
C ; 「そんな感じだよね」
K ; 「うちの指揮者はときどき、こっちがわかんないことをいう指揮者なんですけどー」
C ; (笑)
K ; 「『だから、どう歌いたいのー』ってきかれるんです、『そうやって歌いたいわけー』って
   いわれるんですよね、で、こちらは「えーそんなこと歌う方が思っちゃっていいわけ?」ってなっちゃって
   そこが、違うなあって。そこが、普通のリードして、ぐいぐい引っ張っていく指揮者を「指揮者だ」って
   思ってる人にとっては、あまりにも、歌い手に寄り添いすぎているようにもとられかねない・・
   決してそんなわけでは・・」

C ; 「じゃなくて、その人の「歌いたい」ものー「歌いたい」までいってないのかもしれないけど、
   出したいエネルギーがあるわけよ、それをね、どのルートで出したいの?っていうのを見せてくれたら、
   あとはやるからーって。それを何もみせないで、なんのつもりでそこにいるの?っていうと、
   もう私やることがないわけよ。」
K ; 「こっちはなんかこう、「こう出して」って言われれば、そう出そうというモードで
   練習してるるんですけど、そうじゃないことがときどきあるとー」

C ; 「もうその後の、次の段階では、こう出して欲しいとかこういう声でとかあるんだけど、
   まず最初の、最初に何にも出してくれないとお手上げ状態。。。」
K ; 「ふうん」
ま ; 「声といえば、僕は歌ってて、合唱のー合唱向きの声ではないなって思うんですよね、自分で」
C ; 「ソロ向き?」
ま ; 「いや、そう言う意味じゃないんだけど」
C ; 「どうして?」
ま ; 「けっこう人数の多いところで学生まで歌ってきたから、大学時代とか50人とかのところで歌ってきて、
   しかも、パートリーダーとか責任をもたされちゃうと、どうしても自分の声をでっかくして指導力不足を、
   指導力がないから自分の声でカバーしてやらなくちゃって、声を大きく出すことが一番になっちゃって」

ま ; 「だから、いざ10人とかのアンサンブルになると、飛び出ちゃうんですよね。
   その音量での声の出し方になれちゃって。自分の楽しい歌い方しようとすると、ぽーんと飛び出ちゃう。
   だから10人くらいでやると、かなり、しかも宗教曲なんかやると、かなり、圧迫感というか・・・
   ストレスというか、たまる中で」

C ; 「そうなんだろうなあ、それはちょっとわかんない」
ま ; 「だから、この前のセミナーでは、直前まで、まわりとのこととか気にして歌ってたんですけど、
   指揮者変わったら・・・」

C ; 「のびのびと」
ま ; 「のびのびと歌わせてくれて」
C ; 「のびのびしてないとつまんないよね」
K ; 「そうなると、バランスみたいなものは全然気にならなくなるわけですか、他の人も出る?」
ま ; 「いや、結果的にはまた飛び出したりしてるとは思うんですけど」
C ; 「だけどね、その音量だけを計るメーターがあったとして、音量だけじゃ語れないことが、
   実はほとんどじゃないかと思うんだよね」
K ; 「ふうん」
C ; 「その出てきているエネルギーの流れ方とか、ほんとに解放されてのびのびと歌ったこの音量と、
   がちがちになって、出した音とは違うじゃないですか。聴く耳にだって聞く肌にだって違うでしょう?
   こう硬さが」
K ; 「うんうん」
C ; 「だから、のびのびしてたら気にならない、みんながのびのびしててハモったのだったら
   気にならないんじゃないかな」
ま ; 「だから、学生時代なんかはのびのびと大きく歌っても、破綻しなかったのに、
   それはそれで作れてたんですけどねー今はのびのびと歌ったら歌ったで破綻するんで」

C ; 「だから、きっと、その先でしようしていた感じで、のびのびとたっぷり出してる身体で、音量だけしぼるとか」
ま ; 「むずかしいですねー、それができなくなってきたから、今がスランプなんだなーって」
C ; 「同じ平面でやろうとしたら矛盾するけど、一個レベルを上げれば、矛盾はしないんじゃないのかなー」
K ; 「クリニックになってますねー(笑)」
K ; 「COSMOSさんの指揮で歌ってみたいと思います?」
C ; 「笑」
ま ; 「そう・・ですねー」
K ; 「どうでしょうねー歌ってみたらねー」
C ; 「どうなるんでしょうねー」
K ; 「おもしろいですね。おもしろいかも」
C ; 「あーでも私,男声はわかりません、声をどうすればいいかわからない、
   そういう声が好きとかきらいとかはあるけど」
K ; 「ああ・・」
C ; 「ホグセットさん、すごいですよねー女性の声で見本を歌っちゃうんだから、ね」
ま ; 「女性以上にうまい・・」
K ; 「なんか、びっくりですよねー」
C ; 「サボウ先生(プロムジカの指揮者)の時もすごかった、
   ある少人数の合唱団で、ソプラノひとりで、もう、こっちがはらはらはらはらしてて
   もうちょっと、うーーん、て聴いてて。ものすごくリラックスさせようとしてるの、サボウさんが。
   で、こうやって、ね、こうさわってあげたら、ひゅーって出て、みんな、おお〜〜、魔法ですよね、正に」
K ; 「へえ〜〜、そう・・・・」
C ; 「ノドをどう、とか言ったんじゃないんだよ、こうやってさわっただけ・・」
K ; 「はあ〜〜〜ん、へえーーふうん・・・声って不思議ですね」
C ; 「でも考えたら当たり前だよー体って正直だもの。
   私はね、コンクールとか目指すようなタイプじゃないんだよね、どう考えても。できませんけど、もともとね。
   楽しくのびのびと解放、自分が解放されて歌う人が解放されて、聴いている人も一緒に気持ちよくなって、
   ていうのをやりたい。それがないんだったら、音が合ってるとか違ってるとか、意味がなくなっちゃう。」
K ; 「歌ってて解放するとかしないとか、考えることあります?解放されている・・・」
ま ; 「解放・・・うーん、とりあえず、今は自分で納得いかない、しばらくこの数年は・・」
C ; 「なに、自分で自分が納得いかない?じゃなくて、状況が?」
ま ; 「自分が」
C ; 「それは、声のことで?」
ま ; 「いや特にうーん。、一年ぐらいブランクあったんですよね、大学出てからね。
   それでまた誘われて出て、それからもう、なんかもうやめられなく・・
   やめようと思ったんですけど、大学出たら。」

C ; 「えーー」
ま ; 「大学でて辞めようと思って、でも誘われついでに出たら、自分の衰えにびっくりして」
C ; 「一年でそんなに衰えるもんなの?」
ま ; 「わかんないんですけどねーでイメージしていた声が全く出なくなって、びっくりしてー
   とりあえず、これを元に戻すまでは、やめずにやるかとー思ったら、今まで来てしまった・・」

C ; 「どなたかに習ってないんですか?」
ま ; 「はい?あ、先生にですか?」
C ; 「ん」
ま ; 「いや、習ってないですけど」
C ; 「んんん、習ってみようかとか思わない?」
ま ; 「習ってみてもいいんですけど・・・そこまで、熱心ではない感じで・・・」
C ; 「でも、今の話きいたら、ね、その求めている声がまた戻ってきたら、すごい楽しくなりそうじゃない?」
ま ; 「うーん、戻ってくるのかどうかなーって」
C ; 「戻りますよーホグセットさんだって言ってたじゃない、10年前より今の方がうまく歌えるって」
ま ; 「ん、そうですね」
C ; 「そうですよ、ホグセットさんの半分じゃないですかー笑」
K ; 「まこっちさん、指揮をしたらーいいんじゃないですか?」
ま ; 「はい?」
K ; 「好きなだけ歌って、指揮をしてーー」
C ; 「歌ってみせて」
ま ; 「いや、恥ずかしがりやなんで、歌ってきかせるのは苦手なんです」
C ; 「恥ずかしがりやなんですか?」
ま ; 「見本を見せるのが苦手なんです。いざ、歌うとがんがん歌うんだけど、いざ手本をーとなると・・・
   そこまで完璧じゃないしーって思って」

C ; 「ふうん」
ま ; 「ききわけられないし、四声とかは」
C ; 「でも、作ってみたいとは思うでしょ?曲を自分の思うように」
ま ; 「思うように?うーーん」
C ; 「自分ならこうじゃないのにと思いながら、指揮者の言うとおり歌わなけりゃなんないって場面もあるでしょ?」
ま ; 「ありますねー」
C ; 「あるでしょう?つらいよねーそういうの。わたし、だから、うっかり入れないの」
K ; 「・・そうですね・・・振る方もいやだと思いますよ、COSMOSさんがいたら・・・(笑)」
C ; 「だけど、指揮者でね、いろんなところ入っている人いっぱいるから、
   私もどっか入ろうかなーって、しょっちゅう思うんだけど、ね。」
K ; 「COSMOSさんが入って歌えるような・・・」 C ; 「声が出てるとかじゃないんだよねー」
K ; 「そう、方向性が・・・合唱団が・・ありますかねーー」
C ; 「ん、ずーっと考えてたら、ジョリメールしかないとか思って・・(笑)」
K ; 「ははは、歌いますか?」
C ; 「私がもうひとりいて・・・」
K ; 「そうですねー」


ここで、実名満載の札幌合唱界のうわさ話。パフォーマンス系合唱団はどこだ?

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