映画大好き!


女はみんな生きている(原題「Chaos」)........

  ☆2003


面白い!痛快!すかっとする!ストーリー展開が速くて、話の中心が次々変わっ て行って、くすっと笑う場面もあり、じーーんとするシーンもあり、コピー通り 観終わって元気になる。
男と女のいろいろって万国共通なのね。女が元気になれば世の中うまくいくよう な気がするし。
娼婦ノエミがかっこいい!
最後の音楽、バッハのゴールドベルグのアリアがすごく決まっていて、「やっぱ りバッハってすごい!」と思ってしまった。

2001年 フランス
監督・脚本・台詞 コリーヌ・セロー
キャスト カトリーヌ・フロ ラシダ・ブラクニ ヴァンサン・ランドン
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女はみんな生きている
ブラウンバニー
デブラウィンガーを探して
永遠のマリアカラス
Talk to Her
女はバス停で服を着替えた
北京ヴァイオリン
11'09"01
シカゴ
home
Catch me if you can
Heaven
中国のお針子
ボウリング・フォー・コロンバイン
裸足の1500マイル
天国の口、終わりの楽園。

+ + + + 今まで観た映画リスト
     (映画館で観た作品)+ + + +


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永遠のマリアカラス........


始まって5分、マリアカラスの歌声が聞こえてきたら、いきなりストーリーに関 係なく涙がどんどん出てきた。
そもそも、わたしがコーラスだけじゃなくて本格的な声楽に関心を持つように なったのは、就職した年に同僚の音楽の先生に借りてマリアカラスのレコードを 聴いた時だった。それまでイメージしていた、いわゆる「声楽家のきれいな声」 とは全然違う、決して綺麗とは言えない声。でも、まるで輻射熱みたいに、身体 の中に直接飛び込んでくるような、有無を言わせずメッセージを受け取らされて しまうような、あの声。
この声に惚れたのが幸せだったのか不幸だったのかわからないけど、それ以来、 どんなに綺麗な声でも、ただ綺麗なだけでは全然満足できなくなってしまった。
「もっと本気で歌ってよ〜」と思ってしまう。
スクリーンからカラスの声が聞こえてきた途端、最近ちょっと忘れていた私自身 の、声に対する「素」の気持ちががんがん刺激されてしまった。

夜、一人で自分の過去の演奏のレコードを聞きながら、失ってしまったものを 想って身もだえするシーンは痛かった。年を取って徐々に失っていくものに対し て、ものわかりよく事実を受け入れるやりかたを、わたしは選びたい方なんだけ ど、「本当にそれでいいの?」とつきつけられたような気がした。そんなに簡単 に諦められないでしょ?
そんなに簡単に諦められる程度のものだったの?嫌だ、失いたくない!と恥も外 聞もなく泣き喚いてごらん。それができるぐらい、強くならなきゃ・・。
喉をひくひくさせて泣きながら、ずーっとそんなことを感じていた。

ファニーアルダンが、上手い!・・・っていうか、適役!観ているうちに「あ れ?マリアカラスってどんな顔だっけ?」と思ってしまったほど、なりきってい る。顔立ちは全然違うのに、かもし出す雰囲気が、まるでのりうつっているみた いにそっくり。過去の自分の声に合わせて歌う口元を撮影する、という場面で、 実際にはファニーアルダンがマリアカラスの声に合わせて口を開けているんだ、 と思ったら、なんか変な気持ちになった。
しばらく引退していた後、もう一度世間に姿を現した場面で、帽子をかぶって緊 張しながらもにこやかに周りを見回すシーンで、美空ひばりの同じようなシーン を思い出した。歌の神様から特別な形で愛され捕らえられてしまった人が持つ、 同じような光を感じた。

生前、カラスと懇意だった監督が創作したストーリーだ、というだけに、ほんと うにありそうな納得できる話になっていて、違和感なく最後まで楽しめた。 あのカルメンの映画、ほんとうにあったのなら絶対ビデオを手に入れたい!と 思ってしまったほど、すばらしかった。
家に帰ったらさっそくカラスのレコードを聴こう、と思って映画館を出た。

2002年 イタリア・フランス・スペイン・イギリス・ルーマニア
監督 フランコ・ゼフィレッリ
キャスト ファニー・アルダン ジェレミー・アイアンズ ジューン・ブローラ イト
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ブラウンバニー........


ヴィンセント・ギャロがすごい!そのひとこと。彼はバイクレーサーとしてもプ ロだそうで、レースの場面もスタント無しで自分が演じている。そして次のレー ス場に向けてアメリカ横断のために車を走らせる。でも、ほんとうは何に向かっ て走っているんだろう・・・彼の横顔の向こうに流れる、光溢れる美しい風景見 ながら観客はすっかり彼の隣の席に座っているような気持ちになる。
ロードムービーの王道、っていう感じ。こんなに好きなように、自分の作りたい 映画を作れるって、多分稀有なことなんだろうな。想像を超えているけれど。

R指定の「最後の10分」で解明される謎も、やっぱりそうか、と思うのに胸に ぐっと来る。「映画を観た」という手応え150パーセント。

2003年 アメリカ
監督・脚本・編集・製作 ヴィンセント・ギャロ(バッファロー’66)
キャスト ヴィンセント・ギャロ クロエ・セヴィニー(ボーイズ・ドント・ク ライ)
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Talk to Her........


おすぎが「100年分の涙を流しました」と言っていたけど、うん、 確かにしーーんと深いところから透明な涙が出た気がする。
ストーリー展開も作り方もある意味技巧的なんだけど、そこに伝えたいもの に対する確信があるから、ちっともいやらしくならない。

この涙の理由は、誰かが誰かのことを真剣に好きだと思う、という、それ自体の 持つ真実・・かな?
常識から考えれば明らかに「異常」な行為だし、いわゆるストーカーと なんら変わらないのに、その「愛」がとても真実で美しく、普遍的で永遠のもの の ように描けている。ハビエル・カマラのあやういけど純粋な眼が、このストー リーを 可能にしたような気もする。 スペインはキリスト教国だし、多分この話の底の底に、キリストの姿があるんだ ろうな、と思った。

大事な場面に出てくるモダンバレエが強烈に印象的。

2002年 スペイン
監督 ペドロ・アルモドバル(オールアバウトマイマザー)
キャスト レオノール・ワトリング ハビエル・カマラ ジュラルディ・チャッ プリン
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女はバス停で服を着替えた........


昔の映画を思わせるようななつかしさと、なんでもない描写の中のなまなましさと、 テーマと表現方法が少しだけずれているような絶え間ない刺激を同時に感じながら観た。
前もってなんの情報も無く観たのだが、観終わって、ストーリーやテーマではなく、 いくつかの場面が印象に残った。
官能的なシーンもあるにはあるのだが、官能ゆえ、ではなく、中味をもう一皮剥き出しにして、 観る人の衣を無効にするなにかがあった。「これでどうだ」と言っている監督のまなざしが見えるようだ。

最後のタイトルロールで、この映画が北海道鹿追町映画制作委員会によって作られたものだと知った。
全てのロケが鹿追町で敢行された、ということも。そして監督がロマン・ポルノの名手だ、ということも、 後で知った。
清純派女優の戸田菜穂の、いくつかの表情が、何日か経ったあとに突然脳裏に浮かんだりした。
今まで観た映画と比べてなにか異質なものがあり、そのある種の「違和感」だけがずっと残りそうな気がした。

2002年  日本
監督 小沼 勝
出演 戸田 菜穂  遠藤 憲一  中村 麻美  モロ師岡
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北京ヴァイオリン........


泣いた。映画が終わって館内が明るくなるのが恥ずかしいぐらい泣いたのは、ほんとうに 久しぶり。
誰かのことを愛しいと思ったり、誰かに会いたいと思ったり、ほんとうにごめんなさい、 と思ったり・・・
そういう気持ちがこんなに素直に伝わってくるのは、いったい何故なんだろう。
俳優たちの演技、監督の演出の手腕、バックに流れる音楽の力・・・もちろんどれも大 切に違いないけれど、もっともっと直接的な、人の肌のようなあたたかさが、この映画 の最初から最後まで流れていた。

この映画を見て素直に泣けた自分が嬉しかった。
考えてみると、わたしたちは、気持ちをそのまま表現することを、知らないうちにコント ロールしてしまっているようだ。
悲しい時は我慢しないで泣こうよ、とか、嬉しいことは素直にことばで伝えようよ、とか、 いろいろなことが言われているけれど、そんなこと言われなくたって、赤ちゃんは悲しければ泣くし、 嬉しければほほえむ。人は大人になる過程でいつの間にか、気持ちをそのまま表現する力を失くして いくらしい。
それどころか、感情をコントロールできるようになることが大人になることだと、みんな思い込んでいる。
でも、ほんとうにそうかなぁ。

大人になって、気持ちをそのまま表現しなくなるのは、素直に表現して拒絶されたら痛いから、 相手がいやな思いをしたら辛いから、自分の正直な姿を晒すと弱みを握られて損をするから・・・とか、 なんかそんなことじゃないだろうか。それって、こわがって防衛してる、ってこと?
そんな姑息な防衛をしなくてもいいような「だいじょうぶ」なものを自分の中で育てていけば、 大人になっても、もっともっと自然に自由に気持ちを表すことができるんじゃないかな。
そんなことを思いながら映画を観ていたら、映画の中の人たちが、 みんなとっても強くてだいじょうぶな人たちのように見えてきた。
そう言えば、一番無防備であるはずの赤ちゃんの微笑みは、どんなものよりも力がある。 誰もが持って生まれたはずのこの力を、みんな、もっと信じればいいのかもしれない。

心をゆさぶるようなヴァイオリンの名曲の数々に乗せて、「そんなに鎧を着なくてもだいじょうぶ、 もっと無防備になっても、だいじょうぶだよ。人間って、もっともっと強くて、 もっともっとすばらしいものだよ」と語り続けてくれた映画だった。

2002年 中国
英語タイトル  TOGETHER
監督 チェン・カイコー
出演 タン・ユン  リウ・ペイチー  ワン・チーウェン   チェン・ホン
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Heaven........


ほんとうに久しぶりに、純粋な恋愛映画を観た、という気がする。ストーリー
自体は決して好きな流れではないのに、テンポのよい運びと、俳優たちの落
ちついた演技、心に沁みるような音楽。画面も色もとても綺麗。観終わった
後の数日間、まるで恋をし始めた時のような、甘いせつなさがずっと胸にた
ゆたっていた。
説明や分析ではなく、ただ音楽のように映画を楽しみ、それを身体の奥深く
に沈めることができた。これぞ至福の時。映画の醍醐味のひとつは、まぎれ
もなくこれだ。
逃避行中のふたりに彼の父親が会いに来る場面。父親は表情としぐさだけ
で、いかに息子をいとおしく思っているかを表している。地味で実体のある演
技とはこんなにも味わい深いものだったのか・・・。主演のケイト・ブランシェ
ットとジョヴァンニ・リビージも、これ以上は望めない、というほどの美しい、し
か も押さえた演技。夕日をバックに、大きな木の下で初めて交わるシーン、
最 後の予想外のシーン、そして明かされる、冒頭のシーンの秘密・・・多分
わた しは、何度も思い出すだろうと思う。若かった頃のぎこちなくも純粋な恋
の思 い出のように。

2002年 アメリカ=ドイツ=イギリス=フランス
監督 トム・テクノヴァ (ラン・ローラ・ラン)
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ボウリング・フォー・コロンバイン........


「こんなアメリカに誰がした?」というサブタイトルのこの映画、見終った感想
は「そうだったのか!!」
湾岸戦争のあたりから、アメリカの傲慢さが鼻について「いったいなんなの?
たかが200年ちょっとしか歴史がないくせに、なんでそんなに偉そうなのよ
ー」 と感覚的な嫌悪感は増すのだけれど、世界史に対するきちんとした視点
を 持たないわたしは、アメリカという国の浅さとあぶなっかしさを、うまく言葉
に することが出来ないでいた。
この映画を見終わって「そうだったのか!!」と心底納得した。映画の中の
短い アニメのアメリカ史は秀逸。ひとは後ろめたい事があると、過剰に自分の
正しさを強調し、相手に攻められるより先に攻めの体制をつくることで自分を
守ろうとする。「人間関係が未熟で、人生経験もまだほとんどないのに、大
人 と対等にやりあえると思い込んでいる若造」みたいなあぶなっかしさが、銃
に 固執するアメリカの姿だったのだ、と実によくわかった。いや、若造ならか
わ いいもんだけれど、このアメリカ、という国は力だけは世界一強いらしい。
困ったもんだ。
でも同時に、アメリカ社会のまっただなかにいて、この異常さに気づき、こんな
映画を作ってしまうのもアメリカ人、イラク戦争の最中にこんな映画にアカデミ
ー賞を与えてしまうのもアメリカ。
なんかほんとにすごい国だなー、アメリカって。
重大なテーマで辛い場面もたくさんあるのに、快哉を叫びたくなるような明る
さ に終始した、なんともスケールの大きい映画だった。

2002年カナダ
監督・主演・脚本  マイケル・ムーア
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天国の口、終わりの楽園........


メキシコ映画は初めて観たかもしれない。観終わって「ほんとーーに、ハリウ
ッド映画だけが映画じゃない!」と改めて思った。
ほとんど何の予備知識もなく観に行ったのだが、始まっていきなりボカシ
(*_*)・・・・・そう言えばR指定だったっけ??いきいきとしたカメラワークと、
若い人たちの自然な演技。若くて魅力的な人妻と、若い男の子二人の、いわ
ゆるロードムービーなんだけど、観ているうちに、一緒になって「天国の口」を
探す旅に加わっているような、わくわくした感じになってきた。冗談だけど冗
談じゃなくて実は本気・・・みたいな、若い頃独特のテンションが、うらやまし
かった。
二度と戻らない青春の日々のせつなさ、二度と戻らないからこそ愛すべき一
瞬一瞬、いのちに限りがあると知って、自分に正直に生き始める彼女・・。
癌宣告を受ける直前に観た、今年最初の映画がこれだったことは、うーーー
ん、やっぱり何か意味があるような気もする。

2001年 メキシコ
監督 アルフォンソ・キュアロン
主演 ガエル・ガルシア・ベルナル  マリベル・ベルドゥー  ディエゴ・ルナ
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