行殺(はぁと)新選組 りふれっしゅ『恐怖! 機動ビグ・サノ』
第3話『勝利と敗北の軌跡』


(第2話までのあらすじ)
 土佐陸援隊のM4戦車軍団100輌が京に攻めて来た。新選組は、近藤勇子の虎徹戦車(6号戦車B型キングタイガー)による正面攻撃とカモミール・芹沢の88mmカモちゃん砲による側面砲撃で応戦するも、数にまさる陸援隊は攻撃をかい潜り、京の間近まで迫った。新選組の切り札は巨大な落とし穴(対戦車壕)。第1話で巨大化した原田沙乃が短時間で掘り上げたものだ。この3段構えの作戦により新選組は陸援隊戦車軍団の殲滅に成功したのだった。


 高瀬川の舟入りから、ズルリと這い上がる黒い影があった。黒衣が闇夜に紛れて見分けがつかない。影は素早く水から上がると建物の裏戸を叩いた。二言三言ふたことみことやり取りがあり、戸が中から開かれ、影は素早く建物の中へと消えた。

 京。河原町三条下ル一筋目入ル、酢屋。裏手に運河である高瀬川の舟入に面したこの店は材木商である。実は、この酢屋嘉兵衛方の2階に坂本龍馬の海兵隊の本部が置かれている。

「おまん、無事じゃったんか」
 坂本の目の前には、ずぶ濡れのシスターが平伏している。陸援隊隊長の中岡しずかだ。敵の戦死者をとむらう為に聖職者の格好をしているのだが、今回は味方の戦死者を弔う羽目になってしまった。
 坂本は彼女に、海援隊がアメリカから買い付けて来た中古のM4戦車100輌を預けて、千年王城制圧作戦を任せたのだが、陸援隊装甲狙撃旅団は、今朝、京に入ることなくあっさりと全滅した。
「申し訳ありません。あれだけの数の戦車を預かりながら、この始末・・・」
 中岡は行動不能となった戦車からからくも脱出、宇治川に身を投げ、宇治川から鴨川、高瀬川と水路伝いに泳ぎ、人が来ると潜りながら酢屋の裏手の舟入までたどり着いたのである。幸いにして黒い修道服ハビットが保護色の役割を果たし、見つかる事なく坂本の元まで戻れた。サディストで知られた坂本の事だ。きつい折檻を受ける事になるだろうが、情報だけは伝えなければならない。
「まあ無事で何よりぜよ」
「こうして、生き恥をさらしてまで戻って来たのは、戦闘の詳細を報告せんが為」
 中岡の肩が屈辱に細かく震えている。
「新選組には近藤のティーゲルUがあるから、M4では、ちっくとが悪いき。やきに数で押せると踏んだんやが、無理いかんかったか」
「重戦車の他に、側面からの重砲の砲撃で半数を失いました」
「芹沢の88mm砲か。下手な藩も顔負けする程の重装備やき、新選組やつらは。しかし100輌の戦車をほふるたあ、さすがは近藤勇子、俺の惚れた女じゃき」
 坂本はポンと膝を打つと呵々大笑かかたいしょうした。100輌からの戦車を失い、作戦は大失敗に終わったのに、この余裕。さすが坂本龍馬、大物である。
「それだけではありません。新選組には巨人がおります」
「・・・何じゃと?」 予想外の言葉に、思わず坂本は聞き返してしまった。
「身の丈、4けん半(=約8m)ほどの巨人です」
 真顔で、真摯しんしな瞳を坂本に向ける中岡。
「京に入る直前で対戦車壕にやられ、巨人に全滅させられました。動きが早く、砲で追えず、巨大なシャベルで戦車を転がされました」
「・・・・」 中岡の言葉に、坂本は無言で考え込む。自分に対してウソをつくような女ではない。そんな風には育ててない。仮にウソだとしても、もう少しマシなウソをつくだろう。かと言って、巨人などがいるはずもないから、中岡が戦場病シェルショックにでもやられたか。
「まあ、今日は風呂にでも入ってゆっくりせんか。話は明日あいたな」
「お兄ちゃん!」 信じてもらえなかったという裏切られたような疎外感が中岡を襲う。だが、龍馬の言葉は絶対だ。
「・・・はい」 中岡は、とぼとぼと龍馬の前から辞去した。




 新選組が陸援隊を撃退した翌日から、局では大規模な組織再編があった。
 落とし穴に落ちたり、沙乃から引っ繰り返された無傷のM4と、戦場で擱座したM4から使える部品を寄せ集めて再生させたM4戦車を使って会津藩が京都守護職戦車隊なるものを発足させたのである。会津藩には戦車に詳しい人間が居なかった為、近藤さんは京都守護職戦車隊の指導教官として出向。同じく戦車兵のそーじ(※沖田鈴音)とへー(藤堂たいら)も虎徹戦車と共に京都守護職戦車隊の方に出向している。
 戦車隊の本部には長岡京の廃工場を買い取って当てられた。京都の南西、桂川を挟んで鳥羽伏見の西に位置する長岡京辺りは工業地帯で、巨大な工場の建物が幾つも並んでいるのである。で、そういう工場の一つを会津藩がそのまま買い取って戦車隊の基地に当てたのだ(※通称、長岡京基地)。東の伏見奉行所には幕府の歩兵部隊が駐屯しており、西の長岡京には新鋭の戦車隊基地が出来た為、京都の南の護りは更に強固なものになったのである。
 大麻神様の呪い(?)のせいで巨大化した沙乃も、戦車隊基地で寝起きする事になった。建物が大きいので、ここならば身長8mの沙乃でも楽に生活できるのである。ちなみに原田沙乃率いる10番隊も組長である沙乃と一緒に長岡京基地に転勤だ。俺と斎藤も10番隊に編入されて長岡京基地勤務だ。どうやら俺たちが沙乃係に任命されたようだ。

 新選組には局長が2人居る為、今回のような場合は特に便利だ。近藤さんが長岡京基地に出向している為、新選組本隊の方はカモちゃんさんが局長を務めさせられて・・・・・いる。普段は近藤さんに局長業務を任せっぱなしで遊びまわっていたのだが、局長が一人になった為、仕事をせざるを得なくなったのだ。鬼の副長 土方歳江がムチを持ってカモちゃんさんがサボらないように見張ってるし、仕事しないとカモちゃんさんが松平けーこちゃん様から怒られるので、これまでにないぐらいカモちゃんさんが仕事をしている。
 本人曰く、
『アタシも戦車整備兵だから長岡京へ行く〜』
『もう一生分の仕事をしてるから遊びに行く〜』
 との事なのだが、無論両方とも瞬時に土方さんに却下されたようだ。まあ、実務に関しては山南副長も向こうにいるので大丈夫だろう。

「沙乃ちゃん、島田くん、お仕事よ」
 近藤さんが工場の2階部分の事務所から出て来る。
 工場自体は内部の様々な工作機械ラインが取り払われて、格納庫ハンガーに改装されている。沙乃は大きいので戦車と一緒にハンガーで寝泊まりしているのだ。ちなみに工場の事務所などの元々人間用に作られた部屋は会津藩の侍が優先的に使うので、俺たち新選組10番隊は、ハンガーの内部に戸板で仕切りパーテーションを作って部屋にしている。新選組の方が身分が低いので仕方ないし、組長の沙乃がハンガー暮らしなので部下の俺たちもそれにならうしかないのだ。

「はーい。ゆーこさん今日は何?」

 立ち上がった沙乃の頭はちょうど建物の壁に沿ってつけられた整備通路キャットウォークの高さなので、目の前に近藤さんがいる事になる。

「えーとね、祇園でお茶屋さんの再建工事をやってるから、それのお手伝いよ☆」
「うーむ、それは新選組本来の仕事ではないような気がするのですが・・・」
 近藤さんから書類を手渡される。人間サイズの書類は字が細かすぎて沙乃には読めないからだ。
 長岡京基地の改装の際にも、沙乃の人並み外れた大きさは大変役に立った。重機なみのパワーがあり、クレーンよりも器用で、キャタピラより動きが素早い。トラックとクレーンとショベルカーを兼ね備えた様な(というか道具を持ち替えれば何でも出来る)沙乃は、土木・建築現場において数十倍のマンパワーを発揮するのだ。
 そんなわけで、長岡京基地改築工事が一段落ついたら、伏見や京・大坂の工事現場の手伝いに出ている。沙乃が工事を手伝うと工期が一気に短縮される為、施主からも現場からも沙乃の評判は高く、1日のレンタル料は20両(約50万円)と高額なのだが、順番待ちが出来るほどの人気である。
「祇園のお茶屋さんって、去年火事のあった辺り?」
「うん。そうよ」
「あー、新選組が避難の誘導に当たった時の大火事ですね」
「うん。あの辺り、建築ラッシュだから、今が稼ぎ時よ」
「いや、だから、これは新選組の任務ではないよーな気がするのですが・・・」
「仕方ないじゃない。沙乃たちは、雄琴温泉の旅館を弁償しなくちゃならないんだからね」(※第1話を参照の事)
「複数形にするなよ。旅館を壊したのは沙乃で、その件に俺たちは無関係だ」
「なによ、あの1両は島田のじゃない! それに山南さんたちをけしかけたのは島田じゃない!」
「むう、そう言われるとそうなのだが・・・」
 沙乃は自身の願いで大きくなったのだが、これには山南さんたちの愚かな願い事も多分に影響しているようだ。けしかけたと言われるのは心外だが、俺の話で山南さんたちが燃えたのも事実なので言下に否定出来ないのがつらい所だ。



 出発準備の整った俺たちはハンガー前に整列する。
「じゃあ、10番隊、出発するわよ! ゆーこさん行って来ます」
「行ってらっしゃい」

 沙乃を先頭に俺たち10番隊がガラゴロと何台もの大八車を引いて続く。大八車に載ってるのは、沙乃専用シャベル・沙乃専用ハンマー・沙乃専用ノコギリ・沙乃専用キリといった巨大な大工道具だ。全部会津藩の特注である(沙乃以外にこんな大きい道具を扱える奴などいない)。
「うーむ、沙乃道具の運搬用にM4を1台貸してくれてもいいと思うんだが」
「軽油代が高いから仕方がないよ」 と俺の隣で一緒に大八車を引きながら斎藤。
「俺たちの昼食代よりもM4の燃料代の方が高いのか・・・何か、むなしくなるなあ」
「M4を使っても僕たちのお昼代はかかるよ」
「すると俺たちが大八で運んだ方が燃料代がかからない分、安上がりなのか」
「そうなるね」

「何をぶつぶつ言ってるのよ、島田」 沙乃が振り返った。

「お、沙乃。今日はしまパンなのな」
 振り返った瞬間にスカートが広がった。前を行く沙乃はミニスカートなので、足元にいる俺たちからはパンツ丸見えなのであるが、見えたからといって別に嬉しいわけではない。

「島田っ! 上を見たら踏み潰すからね!」 おお、沙乃が怒っている。

「へーい」
「島田も、いいかげん原田さんをからかうのを止めたら?」 斎藤が呆れたようにそう言う。
「巨大化したのが、近藤さんとかそーじやへーなら少しは楽しめたと思わないか?」
「・・・・ぶはっ」 どうやら想像したようだ。斎藤は鼻血を吹いた。
「斎藤、話だけで鼻血を吹くんじゃない!」

「2人とも、馬鹿な事を言ってると踏むわよ」

「踏むな!」





 京都、祇園。
 坂本と中岡は散歩に出ていた。雑踏が奇異の目で2人を、特に中岡を見ているのは、中岡の首に首輪が巻いてあり、そこから伸びる鎖が前を行く坂本の手に握られているからだ。

「やーね、変態よ、変態」
「ご主人様と奴隷か」
「金で買われたんかのお」
「きっと、服の下は、ひそひそ」
「夜はきっと、ひそひそ」

「ふみー」 恥ずかしさに顔から火を吹きそうだ。必死の面持ちで、町行く人の視線に耐える中岡しずか。わざと人通りの多い通りを選んで歩いてるのは坂本の趣味だ。これはM4戦車100輌を失った中岡に対する罰なのである。
「お、お兄ちゃん」
「まだまだやき。犬は服を着とらんよなあ?」
「そ、そんな〜」 首輪だけではなく、第2段階では素っ裸で散歩させられるようだ。中岡はそっち方面の調教は受けてないので、坂本の言葉に青ざめた。


 ずしーん、ずしーん、ずしーん。
「な、なんじゃ!?」 地響きと共に通りが揺れた。石畳がきしむ。
「お兄ちゃん、あれ!」
 中岡が指さす先、1本先の角から巨人が現われた。
 おかっぱにした髪。ほぼ真ん丸な顔。沙乃である。
「あれは・・・原田か!? ちょっとん内にデカくなったの〜」
 試衛館時代の近藤勇子と付き合っていた坂本は、現在新選組で要職に就いている試衛館の人間を見知っている。しかし反応が呑気のんきだ。巨人と化した沙乃を見ても驚いてパニックになったりしない辺りが、坂本の器の大きさを示しているとも言える。
「お兄ちゃん!」
 中岡が注意をうながす。巨大な原田沙乃の足元に浅葱あさぎの段だらを羽織った新選組の隊士たちがいる。
「ちっ、連中やつらか。やばいな」
「こちらへ」 坂本は黒幕。中岡は実戦部隊。現場での判断は中岡の方が早い。中岡は坂本の鎖を握ってる方の手を持って、物陰に引っ張った。

 新選組は、こんな町中に仇敵の坂本龍馬が居るとは思ってもいなかったのであろう、何事もなく通り過ぎた(※現在10番隊は土木作業部隊と化してるので勘が鈍ってたのかもしれない)。




 建築現場での俺たちの主な仕事はやじ馬整理である。巨大化した沙乃は、存在そのものが珍しく、すぐやじ馬が集まってしまうのだ。やじ馬が工事の邪魔をしても困るし、万が一沙乃に踏み潰されたりしたら事なのでやじ馬整理をするのである。新選組が人斬り集団であることは有名なので、浅葱色の防衛線を抜けてまで沙乃に接近しようとする者はいない。
 本職の大工さん達が、角材にかんなをかけたり、ほぞを切ったりして柱に仕上げると、沙乃がそれを組み立てるのである。通常ならば足場を組んで、3人がかりで持ち上げなければならないような柱も沙乃はあっさり一人で扱い、しかも大工3人で作業するよりも素早く柱を組んでいくのだ。沙乃にしてみれば家の模型を組み立ててるようなものだ。ただし、くぎを打ったり、壁を塗ったり、かわらいたりという細かな作業は苦手なので、そこは本職の出番だ。




「げにまっこと大きか女子おなごぜよ」
 やじ馬と一緒に沙乃の作業を見物しながら坂本は感嘆の声を上げる。
「あれが相手なら、戦車なんか相手にならんじゃろ・・・」
「歯が立ちませんでした」
 中岡の首の鎖は目立たないように外されている。
「じゃろうなあ。
 勇子の奴、いつの間に原田を巨人にしやがったんだ? 不条理な」
「あれにやられた我々のM4は会津藩に奪われました」
「ちっ。戦車をくれてやったようなもんか」
「洛南に京都守護職戦車隊なるものが作られたので、南から攻め上がるのがますます困難になりました」
「参ったな。こちらもあれに対抗できる巨人を見つけんと勝負にならん」
「どうやってですか?」
「知らん。そのうち何とかなるきに」
 雑踏にまぎれた2人は、足早にその場を立ち去った。

(第4話に続く)


(おまけのSS・アイデアはジャックスカ氏)
【島田】 タイトルの『恐怖! 機動ビグ沙乃』だけど、巨大化した沙乃のどこが機動なんだろう? 機械じかけじゃないのに。
【原田】 『敏にける』の略よ。
【藤堂】 じゃあ、『恐怖!』は?
【島田】 沙乃は十分恐いじゃん。
【原田】 馬鹿なこと言ってると、踏むわよ!
【島田】 ほら、恐い。


(あとがき乱れ書き)
 ビグ沙乃と戦車が戦ったらどうなるのか? ゴジラなどの怪獣映画では、自衛隊の戦車の砲撃や戦闘機のミサイル攻撃が全く効きませんが、本当にそうだろうか? ゴジラに比べるとビグ沙乃はかなり小さい。
 人間は鉄砲で死にますが、日本の警察が使ってる38口径の拳銃弾は直径9mm。これを沙乃サイズに拡大すると、50.4mm。つまりビグ沙乃は人間サイズの鉄砲で撃たれてもビクともしないが、50mm砲で撃たれると死ぬ可能性があります。
 M4シャーマン戦車の主砲は75mm砲ですから、当たったら死ぬなあ。しかも戦車の砲撃を避けれるかと言うと、はっきり言って無理だ。人間が鉄砲の銃弾を避けれないのと同様、ビグ沙乃も戦車の砲弾を避けきれないと思われる。しかも当たったら死ぬし、遠距離から100輌のM4に狙い撃ちされたら、的が大きいだけにビグ沙乃に勝ち目はありません。
 そういうわけで、第2話は、あんな風になったのです。75mm砲弾を100%弾く(ゼロ距離射撃でもキングタイガーの装甲を撃ち抜けないのだそうな)キングタイガーを壁にして、側面から88mm砲の散弾砲撃を行い(戦車は上からの攻撃に弱いから)、残りを落とし穴に落として、最後の数輌だけビグ沙乃が直に片付ける。しかも沙乃は機敏に動けるので近距離だと戦車が狙いをつけようと砲塔を旋回させ、仰角をつける前に、戦車そのものを攻撃できる。

 つまり、ビグ沙乃は、遠距離で戦車と戦ってはならないのだ。格闘戦では無敵の武闘家や剣士が鉄砲に負けるのと同じです。モビルスーツが戦艦に対して圧倒的に強いのと同じですね。戦艦の主砲のメガ粒子砲は、ビーム砲なので、狙われたらMSでは回避不能ですが、接近されれば照準が追いつかず、MSの方が強い。ただし戦艦の主砲と同程度の破壊力のあるビームライフルを持ったMS(ガンダム以降のMS)は例外で、この場合、遠距離から戦艦を銃撃できます。サイズが違うので、命中率の点から、遠距離でも戦艦の方が不利になります。

 ただし、ビグ沙乃は人間がそのまま巨大化したわけではないと思われる。空想科学読本的な思考法になりますが、人間がそのまま巨大化したとすると、重力がある為、潰れます。また、細胞そのものが巨大化したと考えるのも不自然です。では、見かけだけ大きくなって、その分、身体を構成する細胞の数が物凄く増えたのかというと、それも不自然で、骨などの物理構造そのものが変わらないと巨人になれません。そもそも巨人が存在しないので考察するのも変なのですが、大麻神様の神通力なのですよ。
 服なども同じで、そのまんま大きくなっただけじゃ、その形を維持出来ない可能性が高い。糸や繊維そのものが大きくなったとすると、人間サイズの時と摩擦力が変わるので、服の形を維持出来ないんじゃなかろうか?
 そういうわけで、整合性をつけると、結果として8mサイズの沙乃が存在するというのは外せないので、『沙乃の身体も服も、地球上に存在しないような強度を持つ何らかの物質に変換された』という大魔神様の神通力である。そういう訳で重量は沙乃の体重の33kgをを5.6倍した184.8kg・・・いくら何でも軽すぎるような気がする。ビグ沙乃と同サイズの98式イングラム(パトレイバー:FRPを多用して軽量化してる)ですら6tの重量があるのに・・・。まあ、いいや。構造や内部物質の構成が分からないのだから重量に関しては作品中で描かないように気をつけよう。
 ・・・はっ。待てよ、じゃあ、ビグ沙乃は戦車砲弾を弾けるんじゃないのか? あの巨体を生物で維持するためには、構成物質の強度そのものをかなり上げなければならないから、と、いうかそういう物質で構成された巨大化だとすると、服そのものが戦車砲弾ぐらい弾きそうな気がする・・・そのぐらいの強度がないと形を保てない。しまったぁ! 深く考えずに戦車砲弾を弾くシーンを書けばよかったぁ!

 鳥羽伏見から桂川を挟んで西側の長岡京は、実は工業地帯で、巨大な工場の建物が幾つも並んでます。特に大きいのが三菱電機京都製作所で、その他にも松下電器の工場とかJTの工場とか三菱製紙の工場とかたくさんあります。沙乃を巨大化させた時点で、パトイレイバーの特車2課のように、古い工場を基地として使う予定でしたが、京都の南にうってつけの工業地帯がありました(いや、テレビとかDVDを生産してる三菱の京都製作所があるのは知ってたのですが、具体的にどこにあるのかは知らなかったので住所から地図で探したら長岡京で、その辺りは工業地帯だったとゆー)。

>『勝利と敗北の軌跡』 新機動戦記ガンダムWの第27話のサブタイトルです。



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