第63回ピースボート25周年記念プロジェクト
「ヒバクシャ世界一周証言の航海」を終えて
― おりづるプロジェクト ―
(渡辺 淳子)
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≪左・写真≫ 森田会長と私は船内でいつもこの様な格好で歩いていました。
船内での全ての買い物は予めクレジットカードを登録した船内オリジナルカードで行っていました。
キャビンの鍵、カード、食事券、筆記用具、それに私達ブラジルカラーを用いたラベル(私達のオリジナルです)に名前を書き、折鶴の小さいの入れて首からさげて、頭にはバンダナ(友達に教わり作りました)をかぶっていました。
森田会長はバンダナがとてもお気に入りでいつもかぶって居られました
船内のレストランのテーブル上に、
「本日時差発生、本日(・・日)24時になりましたら、お手元の時計を1時間お戻し下さい」
と言うカードが置いてあり私達は一斉に時間になると時計を合わせます。
それを忘れるとあくる日は自分だけ時間がくるってしまい朝食に間に合わなくなり、食事は二班に分かれていて自分の時間を過ぎるとレストランのドアが閉まってしまいます。
森田会長がスペイン・ニューヨークに旅立たれてより2週間が経とうとしていたおり班長会議の招集があり、急遽、班長代理として出席しました。
(103名のおりづるメンバーのスムーズな運営の為10班に組み分けして、班長、副班長を決めて、航海中はピースボートスタッフとの連絡や決め事を行って来ました。)
会議の内容は、ヴェネズエラ代表団4人を我々自身が班ごとに選んで夜の全体会議で最終的に決定すると言うものでした。
ちなみに先のニューヨーク代表団4人はPBで人選しましたが、巷では喧々囂々と いろいろと有りました。
兎も角ベネズエラでの日程は決まって居る為、人選は急いでおりその夜のうち、私もそのうちの一人に決まり、注意事項、日程などの打ち合わせをアタフタと済ませ、その夜の内に荷造りを済ませる様にと言う事でした。
夜が明け、美容室の前に陣取り頼みこんでカット、カラーをお願いしどうにか身支度も整い、夕方にはキャビンは引っかき回したまま、ギリシャ・ピレウス港にて下船しました。
ヴェネズエラは危ないから誘拐されないように気をつけてね! と言う人も居ました。
ギリシャではやはり船の遅れの為にトルコより代表団をおくって居ましたが、ギリシャでのストの為に帰船する事が出来ず着る物、薬、小遣いなど不足し届けると言うハブニングもありました。
とうとう予定より遥か過ぎてトルコ・イズミル港を仮免許で出航したクリッパー・パシッフィック号はギリシャ・ピレウス港に着岸しギリシャ代表団はようやく乗船し、我が家(船室)に帰る事が出来ました。
我々ヴェネズエラ代表団(通訳兼付き添い一人)と5人は下船と言うことになり、その何日か後にニューヨーク代表団が帰船しました。
と言う事で私と森田会長はすれ違いで結局約一ヶ月間逢えなくなりました。
ホテルに一泊し、あくる日はパルテノン神殿の見学に行きました。
≪右・写真≫ 下から眺めたパルテノン神殿の威容です
※ 以下、PB,船内新聞より引用
―― パルテノン神殿は、ペルシャ戦争勝利を感謝してアテネの守護神アテナに捧げられた白亜の神殿ですが、かつては外も内も色鮮やかに塗られていました。
パルテノン神殿は眼の錯覚による効果を上手く取り入れていて、例えば建物の安定感を出す為に柱は全て内側に傾斜、床も真ん中をすこし高くする感じで弧を描き、四角の柱は光の加減で細く見えるのを防ぐ為に他の柱より少し太めに造られています。又 一本の柱は其々10〜11個の円筒がだるま落としの様に積み重ねられており、継ぎ目が解らないほどぴったり重ねられ、さらに柱がやせ細って見えない様真ん中にふくらみ(エンタシス)を持たせています。このエンタシスはシルクロードを通って東へと伝わり、法隆寺など飛鳥・奈良時代の寺院の柱にも使われています。
ギリシャ神話に出てくる神々はキリスト教やイスラム教と言う一神教の神々とは大きく異なり、人間らしく描かれた神々が繰り広げるドラマチックな要素がギリシャ神話の大きな魅力であり、物語で終わらず歴史や文化に与えた影響も大きく、遺跡の多くは神話の神々に捧げられそれらは住民にも継がれ、ゼウスの「旅人に親切を施せ」と言う教えにあると言う。
≪左・写真=内藤達郎さん提供≫ パルテノン神殿
ギリシャ神話の神々は
クロレス・・・妻レアとの間にゼウスを始め多数の子をもうけるが、息子に王権を奪われると言う予言を恐れて飲み込んでしまう。
レア・・・産んだ子を飲み込んでしまうクロノスを見て、ゼウスを身ごもった時 クレタ島でひっそりと出産し育てた。そして成長したゼウスは予言どうり父を倒す事になる。
ゼウス・・・神々の住む世界オリンポスの頂点に立つ全知全能の神。父クロノスを10年かけて倒し兄弟達を救った。
ヘラ・・・ゼウスの姉であり後に妻となる、嫉妬深い。
ハデス・・・冥府の支配者、ゼウスの兄。
アフロデイテイ(美の女神ビーナス)・・・ゼウスの娘と言う説もある。
ポセイドン・・・ゼウスの兄で生みを司る神。
アテナ・・・知恵と芸術の女神、女神メーテスとゼウスのの子。
オウロメテス・・・神々だけの物であった火や文字をいたずらで人間に与えた為にゼウスから罰を受けた知性の神。――
※ 以上
と言うように日本の古事記と違った面白さが何とも言えない!
神殿までは急な坂になっている為、高度恐怖症の私は余りうしろを見ないで上り、アクワポリスの丘に立ち遥かアテネの町を見下ろしながら、空想を膨らませていました。
≪右・写真≫ 何とも言えない音色を奏でて居られた老人
ただ残念なのは工事をしていて近代的な機械が古い神殿に対して不釣合いでしたが、足元には岩場の間に小さな黄色い花が可憐に咲いていたのは心惹かれました。
神殿の丘を下りオリーブの木に実がなっているのを見ながらて歩いていると変わった音色が聞こえて来、現地の老人が楽器を奏でているのをしばらく聞いて、写真をとっても良いとの許しをえて一枚撮らせて頂きました。日本以外では無断で写真を撮ると警察沙汰になる事がしばしばあります。
パルテノン神殿まではタクシーで行きましたが、帰りは地図を見ながらプラカ地区を歩き石畳の通りで伝統料理を食べ、ブラジルでの食材と良く似ていて美味しく頂きました。
トルコでも石で細工した(眼玉のお守り)がありましたがギリシャでも沢山あり面白いなーと感じました。
ヴェネズエラ代表団4人(男性二人、女性二人)は、其々の二人部屋での生活がその夜から始まりました。
明日の朝3時にはホテルを出発し一路ヴェネズエラに向けて出発です!
(執筆日 2009年5月31日)