12月20日(火) “「当地の被爆者の間に混乱を起こしています」〜厚労省に再び要請、質問メール送る”

 次の要請書を厚生労働省の担当者の方に送付いたしました。返事があるかどうか2〜3日待ってみます。

 再び要請、質問いたします。

 〇〇室長よりの回答を受け、在外被爆者の立場より重ねて、質問、善処方をお願いします。

一、 今日、12月16日現在、ブラジル在住の被爆者個人に「日本国外にお住まいの被爆者の皆様へ」との分厚い書類が着いています、貴方もご承知の様に当地の被爆者は老齢者が大部分で連日協会に問い合わせが続いています。(別添1)の国又は地域別の医療機関リストを見て指定病院が決まって満足だ・・、漸く願いが叶ったと言ってきます。これで良いのでしょうか・・・・。
※注1

二、 手当等の種類と支給要件を見て、健康管理手当を受けている方が、自分は「特別手当」に当たると思いこみ、その申し込みをするとの人もでて来ました。
※注2

三、 既に手当を受けている被爆者に今回の「分厚い41枚82ページの特別便」で届いた書類が与えた被爆者の受け取り方をご理解下さい。
 当地の領事館の担当者、医療機関の病院など、検診費用の件等について訪ねても「未だ模索中です」との回答です。
 大々的に11月30日より日本国外からの手当・葬祭料の申請手続きを領事館で受けつけると発表していて実際領事館に行けば書類が無いとか、病院に行けばまだ模索中と言って受けつけてくれない。
 発表する前に領事館に担当の係官が説明に来られるのが本当だと理解します。
 今回の在外被爆者に対しての援護対策に協会役員一同、早急な対処を厚生労働省より出されることを願っています。

四、 今回の国外からの手当・葬祭料の申請手当については残念ながら当地の被爆者の間に混乱を起こしています。
 今日 サンパウロ奥地の被爆者より電話があり、終期のガンで苦しんで二、三日の命と医者に言われたが、手帳が有りながら何の援助をうけられず死んでしまうのかと涙ながらに訴えられ、我々としては返す言葉もありませんでした。
 もう期待もしないし あきらめます と ご主人が代弁されました。
 彼女は肉親ほとんどを原爆で失いました。残念でたまりません。

五、 在外被爆者保険医療助成事業について、
 2004年度(10月、11月、12月)分の支払いを未だ受けていない人(私、渡辺)を含めてたくさんの人がおられます。受給対象確認通知書は受け取っています。2005年度分の書類はもうすでに受け取って1月末までには出さなければならぬ時期に来ていますのに!
 今年最初に支払われたのは4月です、それから(厚労省・担当者の)〇〇さんに再度お尋ねし、森田さん御夫妻、盆子原さんが7月訪日した際にも早く支払われる様要請されましてようやく10月には支払いが始まりましたが未だ今年も終わるというのに多くの人が支払われておりません。
 為替の関係からしても1年後以上の支払いとは納得がいきません。
 それに、手数料が46ドルも取られます。手当と同じ様に日本円で送金して下さい。
 次に 支払いの期日を金額と共に郵便で通知して下さい。と言うのはこちらの銀行に送金があっても本人には知らせてくれませんので、来たのを知らないでいると60日たつとそちらに送りかえされます。支払い期日が解っていればその日ぐらいに銀行に問い合わせができますが・・・、国民年金、厚生年金の場合は事前に期日と支払い金額が当人宛に連絡されます。あしからず

六、 在外被爆者保険医療助成事業について、前に(厚労省・担当者の)〇〇様が質問されていたものに対しての回答です。

 今回我々の協会が行ったアンケートの結果がでましたのでお知らせ致します。
 協会員140名中、本日まで93名の回答を得ました。
・ 保険に入っている人49名、保険に入っていない人46名
・ 次の質問は、指定病院が決まった時に貴方はそちらに変わりますか、今まで通りの保険を続けますか。  
 続ける29名、指定病院に変える20名。
・ 今年初めに日本から送られた在外被爆者保健医療助成事業について、・・・・
 書類を受け取り送付した70名、受け取っていない17名。(不明6名)
・ 今月被爆60年原爆被爆者実態調査(国外用)の書類を・・・・・
 受け取り送付した78名、受け取らない11名(不明4名)

 問題は保険に入っていない被爆者です。一番先に援助の対象になるべきこの方たちのことが、なぜ、いつも取り残されるのでしょうか?
 (当地の)日伯友好病院、サンタクルス病院とも好意的に援助体制を考えてくださっていますが、協会としては被爆者を代表し、当然の権利としてこの助成を国がすみやかに実行されることを訴えます。
 また被爆者本人が事務手続きなど出来ない方が多く、この点を考慮して、送金など本人の承諾をえて、直接病院に支払って頂くこと。そうしないと厚生労働省が保健医療に固執するかぎり、この方たちの援助は実現されないと確信します。
 この問題は 現在 協会の一番心を痛めている課題です。
 厚生労働省が言う、人道上の誠の援助。ブラジルにおいては 指定病院での診察、治療、これなしでの解決は考えられません。何処にいても被爆者は被爆者、もう残りの時間はありません。電話で泣きながら「 もう いいです 」と言った人を二度とくりかえさないためにも・・・

在ブラジル原爆被爆者協会  会長    森田  隆 
事務局長 森田 綾子
理事    盆子原国彦
理事    斉藤やす子
理事    渡辺 淳子

(森田 隆、森田 綾子、盆子原 国彦、斉藤やす子、渡辺 淳子)

※注1:同書類の「医療機関リスト」に掲載されている医療機関は、諸手当を申請する際に必要な「診断書」を発行する病院、診療所です。
 しかし、当地ブラジル在住の被爆者には、これを「被爆者援護法に基づき、被爆者が医療費無料で診療を受けられる“指定病院”」と誤解されている方が多く、当地の被爆者の間に混乱を招いています。

※注2:「健康管理手当」は、「循環器機能障害、運動器機能障害、脳血管障害、造血機能障害、肝臓機能障害等11障害のうちいずれかを伴う疾病にかかっている方」が対象で、支給額は月額33,900円。
 一方「特別手当」は、「原子爆弾の放射能が原因で疾病やけがの状態にあるという厚生労働大臣の認定を受けた方で、現在はその疾病やけがが治った方」が対象で、支給額は月額50,900円。
 (厚生労働省の資料「日本国外にお住まいの被爆者の皆様へ」より)

(注釈=ホームページ管理者)

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