<2−番外、本当にオーバーステアな車>
余談ですが、以前にデータ上ほとんどニュートラルステア特性を有すると言っていい車に乗ったことがあります。その車はトラックで、オリジナルの仕様と異なっていたため、空荷でも非常にアンダーステアの弱い特性だった上に荷台に最大積載量の1.5倍ほど過積載した車でした(余談の余談ですが中近東や中国では日常的にこのような使われ方をするということです)。実際乗ってみると、時速80km/hぐらいでコーナーに侵入するときに最初にハンドルをちょっと切って車が旋回し始めたらすぐにハンドルを戻すような操作をすると、ハンドルをほとんど戻している(完全にニュートラルステアなら車速ゼロでその半径の旋回円に合わせたときの舵角)のにスーッと旋回するという感じで、非常に気持の悪い、人間の感性に合わない車でした。これはFR車でパワースライドをかけるなどしてカウンターを当てて曲がるのにちょっと似ていますが、後輪はスライドなどしておらず、普通にそーっと旋回するにもこんな感じなのです。このことからも想像していただけるように、通常市販車で定常のステア特性が本当にニュートラルあるいはオーバーステアである車はまず存在しないと言っていいと思います。