<2−1、ステア特性の定義>
「アンダーステア」というのは、前述の定常円旋回を前輪実舵角一定で車速を変えて行ったとき旋回半径が車速の増大に応じて大きくなる特性のことです。逆に車速が高くなるほど旋回半径が小さくなるものを「オーバーステア」と言い、変わらないものを「ニュートラルステア」といいます(図2.1参照)。
また、これらは、定常円旋回を半径を一定に保って車速を変えて行ったときに、車速が高いほどハンドル(前輪実舵角)を切り増さなければならない特性のものを「アンダーステア」、逆に車速が高くなるほどハンドルを切り戻さなければならないものを「オーバーステア」、変わらないものを「ニュートラルステア」ともいえます。定義の違いは見方の違いだけであり、本質的には同じ事を言っています(図2.2参照)。
通常の市販車は本来例外なくアンダーステアにしつけられており、一般的に論議されるステア特性はアンダーステアが強いか、弱い(よりニュートラルに近い)か、あるいは車速に対する変化が急か緩やかかという範囲のものです。但し以上は定常的なステア特性の話で、このほかに例えばFR車等で駆動力を強くかけたときに後輪がパワースライドしてオーバーステアになるパワーオーバーステアと呼ばれる現象などがあるほか、旋回加速度を上げていって最終的に限界を超えるときに後輪が先にグリップを失ってスピン挙動となるものを、ファイナルオーバーステア(あるいは基本がアンダーステアであることを前提にリバースステア)ということがあります。