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シナリオ

  『ベトナム戦争物語』

 なぜ今ベトナム戦争を⁉
書籍紹介
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日本の戦後。なかで空白の歴史として残されたベトナム戦争とその時代の真実にせまり、温故知新、日本のイマにスポットライトを浴びせます。
著者紹介

内山 繁明

 いつか半世紀近い歳月が流れていった。思えば遠くまで歩いたものだった。気がつけば、バトンを渡す時が迫ってきたようだ。デ、あるならば、ここまで断続的に上梓(自費出版、SNS投稿等)してきた『ジョージ・オーウェルの世界』をここでリメイク、区切りをつけて店じまいにかかろうかと思います。
青年老いやすく事なりがたし。
前書き

 空白の歴史を書いてみようと思った。
 日々のうつろいに埋もれていった、記憶のかなたの事件・事実に意味を持たせ、ひとつの文脈の中におさめて、いつか裸の足をひたひたとひたす潮(うしお)の様に、歴史を立ち上がらせたいと思った。
そう、アナザ・ストーリーを書いてみようと思った。
 どうやら、朝鮮情勢は呉越同舟(ごえつどうしゅう)、駆け引きの中をしばらくは歩むようだ。
(呉越同舟:仲の悪い者同士が何かの事情で一緒にいること)
 それは1973年から1975年にかけての、あの時代の再来の様に私にはみえる。だから今一度、温故知新(おんこちしん)、ベトナム戦争とその時代を読み直そうと思った。
(温故知新:昔のことをよく調べ、新しい出来事に対応すべき知識・方法を得ること)
 なぜなら、1975年サイゴン陥落(かんらく)の教訓こそが、今日の朝鮮情勢の導火線(どうかせん)でもあるからだ。
 同年、北朝鮮の金日成(きんにっせい)は中国の毛沢東(もうたくとう)へ打診(だしん)している。
「イマなら、韓国の武力併呑(ぶりょくへいどん)は可能です。」
(武力併呑:他国を武力で自国の支配下へ入れてしまうこと)
一連のやりとりの末、金日成は最終目的韓国の武力併呑の為、自力で対米核抑止力の獲得を決意、そして口火(くちび)は点火された。
 公(おおやけ)の海、南シナ海へ中国が居座(いすわ)って久(ひさ)しい。依然として、北朝鮮が非核化へ応じようとせず時間のみが流れて久しい。
もはや戦前とさえ人は言う。
「80年代ジョージ・オーウェルの世界を作り直してはどうかネ」ふり返ると、我が家の長老(ちょうろう)が私を見ている。その何事をも見通さずにはおかないブルーの瞳(ひとみ)が、ガラス玉の様に光っている。

再び時代の中で

私:「80年代ジョージ・オーウェルの世界」上梓は1983年のことだった。
結論を急ごう。
習近平が公の海、南シナ海へ居座って久しい。
金正恩が北の非核化の歩みを止めて久しい。
時間の経過、世代交代にともなう革命的敵対関係の風化とともに旧東側、すなわちアジアにおける共産国の雪どけは始まるという「80年代ジョージ・オーウェルの世界」での私の読みは誤っていたのだろうか。


長老:そうとは思わない。革命的権力とその時代に対する分析はおおむね正しかったと思うよ。
 ただ先代、先々代がつくった血の負債の重さを負い続けなければならない彼等(習近平、金正恩)の立場と動機の深刻さに思いが及ばなかったのさ。無理もないが。
金日成から金正日、そして金正恩。毛沢東から始まって、途中4人組逮捕や天安門事件もあるにはあったが……。
その程度の世代交代では風化し得ない革命的敵対関係とそこから生れる階級対立の緊張が彼等の足元には依然として横たわっているのだよ。
実際、天安門では文革には及ばぬものの再び血の負債を積み重ねたし、金正恩は今でも政敵に対して恐怖の血の粛清(高射砲で粉砕・火炎放射器で焼却)を統治のより所にしている。
 したがって、当分彼等の(例えば、習政権による「ジョージ・オーウェルの世界」構築と国内矛盾を外へ向ける対外膨張政策。金正恩のアメリカを締め出した上での韓国併呑をねらう政策は、変わらないとみるべきだね!
 いまにしてみれば、冷戦の時代、なぜ東側(ソ連―現ロシアー、中国、北朝鮮、北ベトナム……)を封じ込めなければならなかったか。又、失敗したとはいえ、ハノイの征服戦争を押しとどめる為のアメリカのベトナム戦争、その意義と意味についても、よく理解できると思うよ。お前さんの作品を読めば。


私:しかし、それが後知恵ではいかんとも。いまが問題。いま何をなすべきか。
教えてはくれまいか?長老!


長老:まず日米同盟の深(進)化から強化。それも、単にこれまでの政府間とりきめの深(進)化・強化だけでなく、両国民レベルでの価値観と戦略のすり合わせをもっときめ細かく。
 そして日・米それぞれの《心理的鎖国》をどうにかしないと。
もっとも、2004年~2017年のお前さんの布石はそれが目的ではないのかな?


私:【2016年宛てアメリカ発信】
 『私のシナリオにのせて、お二人の物語をアメリカへ発信しませんか。
イマ、アメリカはかってないほど分裂していると言われます。それは、ベトナム戦争をめぐっての対立から始まったと私は考えます。
そうであるから、お二人のメッセージがこの分裂に終止符を打つと私は考えます。
私は1948年2月10日生まれ。ご夫妻と同じベトナム戦争の世代に属します。だからこそ、このシナリオがお二人の物語、そしてメッセ―ジにふさわしいものである、と自信を持っております。
しかし、マケイン上院議員をイメージして作られたこのシナリオが、どうして我々のシナリオになるのだと、あなたは思われるでしょう。
その答えは、出だしとラストの差し替えにあります。
メインキャラクターをマケイン上院議員からあなたへ差し替え、最後にあなたが招待したゲストとともに、アメリカへのメッセージを語るのです。如何でしょうか。』


長老:なるほど、まずアメリカのリビングへ。そして2017年旧正月(テト)、そのシナリオの日本語版を日本で投稿、と。


私:【キーワドは温故知新、これが今年のキーワド】


長老:つまりそれは、ベトナム後遺症に苦しむアメリカ(すなわち冷戦を戦い抜いたアメリカ)の復活と日本の覚醒を同時に狙った啐啄(そったく)同時戦略!では?
(啐啄同時;鳥が卵の殻を破って生まれようとするとき、からは内と外から同時につついてはじめて割れる。すなわち、機会を得て物事の内と外で相応じるということ)


私:少なくとも、【9条お札】をかかげて平和、平和の呪文を唱えるだけではこの先とてものこと。


長老:同感だ!それじゃ、戦略が出たから、ここで〈戦後日本の戦略〉についてオレの見立てを話そうじゃないか。


私:戦後日本の戦略? そんなものがどこに?


長老:そう、知恵者がいたんだネ~。
 例えば、お前さんが「80年代ジョージ・オーウェルの世界」で取り上げた日本社会党の《ニュー社会党宣言》。そしてその後「社会党はとけてしまったのです」(〇〇〇〇)まで。
 不思議に思わないかネ。当時《昔陸軍、いま総評》とまで言われた戦後最強の戦闘的労働団体と、東側は平和勢力で西側は戦争勢力という錦の御旗(だれも反対できない立派な口実―実態うそー)を頑迷にかかげていた社会党がもろともとけてしまった、なんて。


私:言われてみれば確かに、……なぜ?


長老:つまりだな~、それは日本の敗戦にまでさかのぼって見てゆかねばならない事なのだが。  1945年8月15日ポツダム宣言を受け入れて無条件降伏をした日本に対し、戦勝国ソ連、中国、特に後になって蒋介石にとって代わった毛沢東中国の日本に対する赤化(革命)工作があったわけヨ、とオレはニヤンデル、ウン!
デもって、無条件降伏で何の対抗手段も持ち得なかった新生日本がとったのが擬餌二股擬(ぎじふたまたもどき)戦略。
(擬餌;釣りの餌にする虫などの色、形に似せてつくったもの
 二股;一方に決めずに両方の対応を用意すること
 擬き;…の様に見えるように作ること「本心は別ですよ~」、がミソ。)
つまり、ソ連、中共による政治工作の受け手を自ら作って、そこで一手に工作を引き付けたってわけヨ。


私:ナ~ル程、つまり自ら右と左に分かれてみせて、一方の側に貢(みつ)がせて、レッド・ラインで「ハイ、それまで」
かのお国の対日工作担当者をして現地責任者へ、この場合は駐日大使館あたりかな!?『お前たちはここで何をやっていたのか』と言わしめたってワケだ。ジイ様達やるものだね~。


長老:だいいち、いくらお前さんの一撃(80年代ジョージ・オーウェルの世界)があったと言たって、ア~きれいさっぱり跡形もなくとけてしまうなんて、それ以外説明がつくだろうか。


私:すると余談ながら、一昨年のモリ・カケ騒動なんかも。……
何かニオウ様な気がするナ~。


長老:オレもよくはわからんが、少なくとも金正恩が秘かに狙っていた―と思われる―日本の被爆体験に火をつけて、早々に日本を日・米・韓のスクラムから脱落させようという戦略は、実を結ばなかったと読んで読めないわけじゃない。
何しろソバ屋じゃあるまいし、ア~朝から晩までモリだのカケだのと大騒ぎしていれば。


私:読みすぎのようにも思うけど、確かにそんなタイミングだったねー。(東京被爆で二百万とか)
しかし当事者達は知っていたんだろうか。


長老:知らんだろ。第一、これはあくまで我等一族特有の第六感というやつで、確かなところは藪(やぶ)の中。


私:しかし仮にそうだとしたら、腹たったろうね~、巻き込まれた人たちは。


長老:それだけ事態は緊急かつ深刻だったというわけさ。溺(おぼ)れる者は藁(わら)をもつかむ。お前さんのケースと同じだよ。だから、そこは大人の対応ってやつで……、とオレはかんがえるけどね~。


私:つまり未曾有(みぞう)の国難を前にして、挙国一致。
(未曾有:同じようなことが一度もなかったこと)
(挙国一致:国をあげて一体化すること)
与野党、官民、左も右も一体になって盛り上げなくちゃ、っていう事ね。


長老:マ、一部これに乗じてという「不逞(ふてい)の輩(やから)」もいなかったでは無いと思うが、後々の収まり具合を考えて、今後ともそうゆう事にしておけば。


私:収まり具合!?なるほど、トロロープごっこだね。


長老:ソ!旧くは1962年10月のキューバ・ミサイル危機でケネディが、近くは2018年9月プーチンが北方領土問題で使った、デアロウ、手だぜ。


私:しかし挙国一致と言っても、戦後革新の神話で育てられ、(アメリカに対する、すなわちハノイ支援の)ベトナム反戦運動を担った全共闘世代、その後継世代(シールズとかいうらしい)も健在のようだけど。三里塚あたりから沖縄へ移住までしているという話だぜ。


長老:親の心子知らず、てやつだ。


私:なにしろ、未消化だろうが何だろうが、覚えた知識の数(蔵書〇〇冊、ナ~ンテネ)で人間を評価するあの教育制度では。
 上っ面ばかりで知恵も洞察力も育たない。結局、欠陥OSの上に各種アプリを乗せたパソコンのような革命予備軍やらそのシンパをせっせと作っていたようなものではなかろうか。
口は達者で一応論理も倫理も精緻に組み立てられた模範解答を次から次へと吐き出すもんな~。オレなんかタジタジだぜ。


長老:ソ! だから俺に言わせれば、いわゆる全共闘世代は時代の犠牲者。そして、平成へ入ってからの日本の長期衰退の原因は、そこらにもあるのだろうナ~。


私:やはりそこらをどうするかが、次の時代の課題だろうね~。


長老:だから言うのさ。ここで日本の戦後革新の神話。併せて戦後教育とは何だったのかと問うべきだと。


私:しかし遅すぎませんか、今となっては。


長老:だが、興味深い新聞記事も目にしたナ~。なんでも『20代から40代までの若い世代に何かが起きている』そうだ。
彼等は『将来に不安を抱えるからこそ同時に変わらなければ生きていけない』と考えている。それは9条憲法へのこだわりのなさに通じているそうだ。


私:ホ~、戦後も70有余年、さすがに新しい酒がかもし出されてきたってか ?
しかし、新しい革袋が……
平成の時代に政権交代もあるにはあったが、戦後日本の延長上、愛をもって接すれば相手もそれなりに……、そんな感じで荒海に乗り出したものの、尖閣で差し込まれ、ハニーで……と。散々だったのはつい先日のことの様な気がするが。


長老:だから温故知新。先人の知恵を掘り起こすのさ。例えば、9条憲法。
前文を眼光背紙(がんこうはいし)に徹してよく読むことだ。
(眼光背紙;書物の字句の背後にある深い意味をも読み取ること)


私:前文を眼光背紙に徹してよく読む、と言うと。


長老:つまりだな、前文には【9条憲法は諸国民が公平・正義であるかぎり受け入れます】とある。それは結局、「そうでなければ、そのかぎりではありません」、と言っているわけだ。ちがうかね。
しかも、この部分は時の絶対権力、マッカーサー司令部の干渉をハネつけて日本人起草者が最後の最後にいれた、と伝えられる。調べてみるといい。


私:知恵者だネ~、見識と勇気があるワ。


長老:マ、それくらいでなけりゃ世界は渡っていけないよ、と言うことだ。
 第一、もうお迎えもこようって世代が、自分の価値観でこれからの世代を縛ってよいものかどうか。
大事なことは、死活的利害に直面したら小異を捨てて大同につき、手のひら返しで生き残らなければならない、という事だよ。
 たとえばトランプのアメリカがそうだろう。中国にグローバル化を逆手に取られ、アメリカの基本理念と死活的利害が損なわれ始めた、とみてとったアメリカがトランプを選んだのであって、その逆ではない。その為のトランプキャラ。わかるかな !?
品位がどうの、カッコがどうの、お体裁などクソ食らえという事だ。
あのアメリカにして。そこを見なくては。
実際、アメリカは分裂などしていない。そう見せかけて対中政策の転換に関しては、それこそ挙国一致している、とオレは見る。


私:確かにトランプ政権の見方もそうだが、どうも日本人は肝心な時に肝心なものが見えなくなって思考停止、惰性で考え行動する悪い癖がある。


長老:しかしどうやら、若い人達、すなわち、〝これからの人達〟を中心に日本は旧いハッピをぬぎ棄て始めたようだナ。
戦後も70有余年、ようやく日本も正気がもどり始めたと見える。
だから言うのさ。老兵、すなわち〝終わった人達〟はただ消えゆくのみ。


私:しかし、まだ言いたいようだぜ、彼等。


長老:そもそも、〝お花畑のヒマワリさん〟がそのスタートだから。それに厚化粧してまで演壇に上がらざるを得ない事情もあるんだろう。気の毒に。
 しかし、それならそれで話してもらうのさ。
この期に及んで『あなた方は誤解している。マルクス主義は素晴らしいものなんです(〇〇〇〇)』だの、『習近平さんを信じて(〇〇〇〇〇)』なんて言うんなら。
民族解放後のボート・ピープル、オート・ジェノサイド。されど我等が日々。
アレハ何だったのか。


私:だよね~、我々の命と生活(くらし)を脅(おびや)かしているのは誰なんだい、と。
   ―しばし沈黙、落ちていく夕日にフト思い出したようにー


長老:サ~サ~、ホレお前さんだって、会社でいえば花束もった女子社員や部員たちが玄関で列をつくり始めたぜ。
結局のところ、お前さんにすれば万事持ち出しで、時代の尻ぬぐいを続けた半世紀だったのだろうが、ここまでやればもういいだろう。
ご苦労さん。ここから先は、次の世代の課題だって。
最後に『リメイク版80年代ジョージ・オーウェルの世界』を上梓して、(例えばKDP)。
 その後は、少しゆっくり人生を楽しんでから、こっちへくるといい。家族そろって日向ぼっこでもしょうじゃないか。


目 次
前書き
再び時代のなかで
第一章 80年代時代の中で
  • 第一節 空白の歴史を
  • 第二節 奇妙な沈黙に
  • 第三節 事件がその意味を
  • 第四節 時代の閉塞を
第二章 ベトナムの戦野で
  • 第一節 森恒夫、毛沢東、ホー・チ・ミン
  • 第二節 端的に言おう
  • 第三節 南ベトナムの死へのけいれんは
  • 第四節 99パーセントの人々に
第三章 日本のベトナムで
  • 第一節 日本の階級闘争は
  • 第二節 話を少し前へもどそう
  • 第三節 私の闘いをAからZまで
  • 第四節 70年代ジョージ・オーウェルの世界
  • (60年代動物農場からの報告 )
    • 戦争論
    • 遊撃戦争論
    • 革命権力論
第四章 再び80年代時代の内で
  • 第一節 結論を急ごう
  • 第二節 苦悩に満ちた転換が
  • 第三節「もはや戦前」と人は言う。
後書き
シナリオ 『ベトナム戦争物語』
表紙画像
ネット・モニターでベトナム戦争特集に目をとめるベトナム・ベテラン(その家族、友人、知人)

なぜ今ベトナム戦争を⁉