Urban Architecture Planning Partnership
         
わたしたちの仕事について




……一般的な話ですが……
建築家・設計事務所という職能について……
 ひとくちに建築家や設計事務所といっても、そのスタイルは千差万別、それぞれにいろいろな仕事のスタイルがあります。優れたデザインをウリにする建築家、敷地やクライアントの個別の事情に合わせて優れた最適解を見つけ出すことに優れた建築家、または、できるだけクライアントの要望を漏らさず聞き取り、的確に形にする建築家……、
 それぞれ自分の適性や能力にあった設計方法をとりつつも、「建築家」や「設計事務所」といったという職業には絶対必要不可欠な仕事のポイントが幾つかあります。


 その中のひとつに「工事見積徴収業務」「工事見積書のチェック」「施工業者の選定」といった業務があります。これらの業務は、「工務店から、設計図に基づいた適切な見積書を作成してもらい」、「その内容が適正なものかどうかチェック」し、「今回の工事に適しており且つ工事金額も適正な施工業者を選定する」といった一連の作業です。

 わたしたちは、工事見積を最低3社にはお願いすることにしています。もし、クライアントにそうしたツテが無ければ、わたしたちがその「最低3社」を選定し、見積を徴収します。そうしたことによって、施工業者間にも適正な競争原理が働き、適正な建築コストが得られるものだと思っております。
 
もし、工事見積を一社だけからしか取ることが出来ず、建築家がそのチェックさえもきちんとできない状況にあるとしたら、どのようなことが起こるでしょうか?

 個別に論評することは避けますが、
 数あるある「住宅プロデュース会社」のなかでも幾つかは、(施工業者が一社に限定されているために)工事費が「三割り増しや四割り増し、或いは……の金額で、平気で出てくるんだよなぁ……」という話を、参加している建築家から耳にします。
 別に、工事金額が高いから駄目だと言っているわけではありません。工事費が高かろうが、低かろうが、包み隠さず全てを説明してお客様が納得すればそれで十分なのです。

 良い
「住宅プロデュース会社」も、たくさんあります。
 一口に言えば、
『良い住宅プロデュース会社』とは、お客さんからいただいているお金をキチンと開示しているところであり、『良くない住宅プロデュース会社』とは、お客様に隠して、影でお金を徴収しているところです。
 考えてみれば、派手にCMをして営業マンをいっぱい動員し、おまけに「低価格を実現しました」なんてことはあり得ないでしょう。

 もちろん、お客さんにすべてを説明した上でそういったサービスを提供し、結果としてお客さんが満足しているのであれば、何の問題もありません。
 問題はそこだけだと思うのです。


 わたしたち建築家の仕事が近年多くの方の支持を受け始めた理由のひとつは、「これまでは不透明だと言われてきた住宅のコストについて、クライアントに包み隠さず説明し、クライアントに選択してもらう」ことだと思っています。

 わたしたちの仕事の中で一番大切な部分は、決してデザインなんかではないのです。
 もちろん「質の高いものを作ること」や「良いデザインを作り出すこと」も重要な仕事です。しかし、それは個々人の能力の差や好みに左右されます。
 わたしたち建築家が、「一番大切にしなければならない精神」は、「すべてクライアントに説明し、納得してもらい、フェアに実現する」その精神ではないでしょうか。

 日本建築家協会の宮城地域会でも、仲間うちで「『住宅プロデュース会社』各社の実態を把握する必要があるのではないか?」との話も持ち上がってきています。

 その際の評価軸のひとつの柱は、やはり「建築コストの透明性」になると思います。
 そうでもしなければ、結局、「良心的に運営している住宅プロデュース会社」が駆逐され、「たくさんお金を集めてたくさん宣伝する会社」だけが生き残るという状況になってしまいます。そうなると廻り回って、一般のお客さんのためにもならないですし、わたしたち建築家にとっても良い状況にはならないでしょう。