今年、彼女がライダーとして復活した。

兼ねてから二人でいつかはまた旅をしようと考えていた。
そしてようやくその思いが実現したのである。

早春の会津露天風呂で仲間からすすめられていた群馬県・法師温泉を
記念すべきその舞台に選んだ。

千二百年余りの歴史の源泉を持つこの長寿館はその旅の宿として
本当に相応しい場所である。

四方を山々に囲まれ鳥の鳴き声と木々の葉が擦れ合う音を
効きながらゆっくりと浸かる温泉はまた格別。

「彼のオートバイ・彼女の島」でコウとミーヨが再会したこの古の温泉に二人で
浸かるのもまた一興ではないか..。

そんな二人のようにまたここから「旅」を始めよう。



もう蝉が鳴いている







五月二十八日                          二日目へ 
さぁ出発だ!

彼女も気合いが入っている。後ろを走るのだがそれでもルートと景色を目に焼き付けたいとしっかり地図をタンクに載せている。

復活後の初めてのロングツーリングに少し興奮気味だが、思いっきりたのしみたい。
途中高速道路のパーキングでの一休み。

まだまだ余裕の表情である。

愛馬も快調!
東北道・西那須野塩原ICを降り、R400ぞいの
「アグリパル塩原」に立ち寄る。

どこかの親子連れが勝手に子供をバイクに跨がせて遊んでいた..(^^ゞ
小腹が空いた僕たちにはちょっと旨そうなお饅頭だった。

とりあえず、先を楽しみに出発した。
箒端は塩原ダムにかかるもみじ谷大橋に立ち寄る。が、しかし渡るには有料だった。

まぁ記念に渡ってみたが流石に大きな吊り橋だ。
日本一というだけのことはある。

橋上で川を渡ってくる風のなんと気持ちの良いことよ..!

しばしくつろいでしまう。
ここから先、日塩もみじラインを走る予定。

大吊り橋の向こう側にある子宝のお社..。

むう@がお願いしているのは..いやいや、子だからに恵まれたお礼でしょう..(^^ゞ
吊り橋はスケールが大きくてスゴイのだが、やはり吊り橋といえば眼下に広がる深い大渓谷というイメージからはほど遠いかな..。

有料なのもちょっと!?だった。
ここからR400から別れ、日塩もみじラインに。

ここからのワインディングは景色も楽しみ。
途中の富士見台。

晴れていて運が良ければ富士山まで見えるというが、本日は薄雲がかかっていて残念。

富士見台での休憩。

薄日が指していて風が爽やか。

このまま昼寝をしたい気分である。
少し遅い昼食..やっぱり蕎麦でしょう..
v(^^)

もみじラインの途中で見付けたお蕎麦やさん。

店構えからして、美味しそう!
もちろん、生そばに天ぷらを添えてもらった。

これがまた旨い!!

旅先で食す蕎麦のなんと美味な事か!
R121〜今市を抜け、日光宇都宮道路を飛ばして、ようやく「いろは坂」入り口へ。

今日は車も少なくて走りやすそう。

昔、雨の中の大渋滞のいろは坂で、二人で苦労したことを思い出しながら笑った。

僕の愛馬はあのときと変わっていない。
いろは坂を走破し、中禅寺湖へたどり着く。
今日の中禅寺湖はお天気が芳しくない。

標高が高いので少し寒いくらいである。

ここも人は少ない。
Uターンが苦手な彼女は、健気に愛馬を労るように優しく方向転換..(^^ゞ。
午後のティータイムはここ「ゑびすや」さんで。

民芸品を手作りしている工房の二階が喫茶室。

なかなか落ち着いた雰囲気の中で、チーズケーキと美味しいコーヒーを楽しむ。

心地よく疲れた体に染み渡る..!
二階から見る、相棒達。

旅先でのこんな景色もなかなか良いもんです。

ここから金精峠越えに向けて出発。
中禅寺湖の先に広がる戦場ヶ原。

標高1395mに広がる広大な湿原である。

ここはいつ来ても雲が立ちこめているんだな。
むう@..走る!!

金精道路を颯爽と駆け抜ける姿は長いブランクを感じさせない..安心!
金精トンネル東側のワインディング。

スッキリ晴れていれば男体山の雄大な景色が望めるのだが..本日は叶わず。
ほっと一息付ける丸山高原の茶屋にて休息。

ここからはロマンチック街道を走り抜け、一気に法師温泉を目指す。
沼田市内を抜け、R17三国街道をひた走り、猿ヶ京温泉を過ぎると、法師温泉に通ずる細い山道に入る。

こんな山道の先に本当に温泉なんか有るのだろうか、道を間違えたか..と思い始める頃、長寿館への看板が目に飛び込んできた。

なんだかほっとする(^^ゞ

さぁ、すぐこの先だ!。
深い山道の先に突然目に飛び込む「長寿館」の佇まいに息を呑む!

むう@もあっけにとられていた。
昔懐かしい木造のお宿..その柔らかな表情にふっと全身の力が抜けていくような気がした。

障子の枠に切り取られた外の景色を眺めていると時間が止まったような錯覚を覚える。

心が洗われるようだ。
疲れた体をほぐしてくれた「法師の湯」。

高い天井に現しになった小屋組が深い味わいを醸し出している。

ここは混浴なのだが、女性専用の時間帯もあるようだ。

それでも入ってくる女人はいない..やはりミーヨはいなかった!
湯船の底は玉砂利が敷き詰められていてそこから湯が沸き出しているようだ。

ぬるめのお湯で本当に気持ちがいい♪

あぁ〜極楽・ゴクラク!
昔、JR(国鉄)の旅行のモデルになったのがここ、法師温泉・長寿館。

このポスターも懐かしい..泣かせますね。

見覚えがある方は、それなりの年代でしょう!?
で、湯の次のお楽しみが夕食です。

山の幸ふんだんのお品書きは感動もの!

この後もあとからあとから運ばれてくる(^^ゞ

なんという幸せ♪
彼女は...飲みます!

しかもエビス..!!

こうして、また湯に浸かり、旅を語り合い、そしてまた湯に浸かりながら夜は更けて行くのですが、今夜ほど時間が経つのが本当に惜しかった夜はなかった。


二日目へ   
法師温泉二人旅
平成十六年五月二十八

二十九日