9月17日(金曜日)
翌日、問題の天気はというと…曇りでした。まあ、雨がやんだのだから一応てるてる坊主の効果はあったのかな?
ヨーロッパのホテルは、基本的に1泊朝食付です。この朝食というのはどこへ行ってもだいたい同じバイキング形式で、パン、シリアル、飲み物(牛乳、コーヒー、オレンジジュースetc.)、各種ハム、チーズ、ゆで卵、デザート(フルーツパンチ、ヨーグルトetc.)といったところです。私以外の3人にとっては既におなじみの朝食だったのでしょうが、私は初体験。勝手が分からなくてオロオロしていました。
この日の予定は、ここフュッセンから車で10分ほどのホーエンシュヴァンガウという村へ行き、そこでノイシュヴァンシュタイン城を見物、夕方フュッセンに戻ってくるというものでした。ノイシュヴァンシュタイン城というのは、ルートヴィッヒ2世という、中世英雄騎士物語オタクの王様が「自分もオペラに出てくるような豪華絢爛な城に住みたい」という理由で、国の財政を傾けて作った城です。さすがに国1つが傾くだけのことはあって本当に豪華絢爛。その美しさからディズニーランドのシンデレラ城のモデルにもなりました。
まず、タクシーでホーエンシュヴァンガウ村まで行きました。ここにはルートヴィッヒ2世が生まれたホーエンシュヴァンガウ城があります。普通、ヨーロッパの城と言ったらこの程度の規模なんです。これと比べると、後で示すノイシュヴァンシュタイン城がいかに桁外れの規模なのかが分かります。
(写真:ホーエンシュヴァンガウ城)
ここからは、徒歩か観光用馬車で山の上のノイシュヴァンシュタイン城まで登ります。とは言っても徒歩20分くらい。快適な散歩コースです。しばらく登ると、木々の向こうに城が見えてきます。ところが規模が大きすぎて、近くまで行ってしまうと全体像が掴めません。とりあえず内部の見学をすることにしました。
ノイシュヴァンシュタイン城はドイツ観光の目玉のひとつ。当然日本人も大挙して押し寄せます。そのため、日本語の観光ガイド付で内部を見学することができます。城の中庭に入ると、ドイツ語、英語、フランス語、イタリア語、日本語に別れて並ぶようになっており、ドイツ語は15分に1回、英語は30分に1回、その他の言語はある程度人が集まるとその都度、各国語のガイド付で城内見学ができるというシステムになっています。ガイドブックには日本語コースは運が悪いと人が集まるまで2時間近く待たされると書いてありましたが、この時は運良く日本人団体観光客と一緒になったので、すぐに中に入ることができました。
城内は、ただただ豪華絢爛の一言に尽きます。城内撮影禁止だったので絵はがきの写真しかありませんが、これは玉座の間。一面金色で、天井のドームには聖書の様々な物語が描かれ、床は色タイルによるモザイクで地球上に存在する全ての生物が描かれているそうです。このような素晴らしい玉座の間ですが、ルートヴィッヒ2世はこの城ができてすぐに、キOガイということでその権利を剥奪されて幽閉されてしまったため、結局この部屋は一度も使われなかったそうです。何てもったいない。
(写真:ノイシュヴァンシュタイン城、玉座の間)
Original Kienberger-Foto社製絵はがきより
こちらは食堂です。この城の中で驚かされるのは、柱の1本1本、壁の1枚1枚全てに精緻な彫刻や絵画が施されており、しかも全ての柱の彫刻が違うデザインになっている等、とことん凝っているんです。燭台やシャンデリアは言うに及ばず、椅子の足やドアの取っ手に至るまで、ありとあらゆるところに凝りまくった彫刻が施してあるのには驚かされます。「湯水のごとく金を使う」というのは、こういうことを言うんですね。
(写真:ノイシュヴァンシュタイン城、食堂)
Original Kienberger-Foto社製絵はがきより
あまりのけた違いの豪華さにただただ圧倒されつつ、城内見学を終えて外へ出ました。ノイシュヴァンシュタイン城の全体像を見るには、近くの山に登らなければなりません。この山にはロープウェイがあるのですが、徒歩2時間程度ということだったので、思い切って歩いて登ってみることにしました。思えばこれが間違いの元だった…
登山道を登ること約20分、「ノイシュヴァンシュタイン城の全体像を見ることができるはずの場所」に到着しました。ところが雲が低く垂れ込め、眼下にあるはずの城は完全に霧の中。真っ白な中にわずかにその姿が垣間見えるのみ。「やっぱり酉の雨男パワーのせいだ!」と言われつつ、しばらく霧が晴れるのを待ってみましたが、一向に晴れる気配がありません。仕方なくあきらめて先へ進もうと私が歩き出した瞬間、急に霧が薄くなって、城の全体像を拝むことができました。それにしても、何で私が去ろうとした瞬間を狙って晴れるかなぁ?(^^;)
(写真:ノイシュヴァンシュタイン城全体像)
写真も撮ったし、ここで戻ろうか、それとも山頂を目指そうか…としばし悩んだ末、せっかくここまで来たのだから上まで登ってみようということになりました。最初こそ元気だったものの、予想以上の急斜面。元々登山をする予定ではなかったので飲み水も持っておらず、すぐに喉が乾いてバテバテ。しかも途中で道を間違えて引き返したり、昨日の雨で登山道がドロドロになっていたりと、踏んだり蹴ったり。ようやく山頂に着いたときには、全員ヘトヘトになってしまいました。所要時間2時間はダテじゃなかった。
ロープウェイの山頂駅にレストランがあったので、ここで昼食。カラカラの喉にビールが美味い!(^_^)。ドイツにいると、真っ昼間からビールを飲みまくるのが当たり前になってしまいます。日本では考えられませんが、やはりあちらでは水代わりなんです。なんといってもコーラよりビールのほうが安いんですから。レストランのテラスには、餌をねだってカラスが集まっていました。ここのカラスは日本のものよりも一回り小さくて、くちばしが黄色でした。そして一番変だったのは「ピーピー」鳴くんです。思わずウェイトレスのお姉ちゃんに「あれ、カラス?」と聞いてしまいました。確かにカラスだそうです。カラスはドイツ語で(?)ピーピー鳴くなんて、初めて知りました。
帰りはロープウェイで一気に下界まで降りることができます。途中、ロープウェイの窓から、絵はがきでおなじみのアングルでノイシュヴァンシュタイン城の写真を撮ることができるということなので、一番前の窓に陣取って挑戦してみました。
(写真:ノイシュヴァンシュタイン城、理想)
Original Kienberger-Foto社製絵はがきより
森の中に立つ白亜のノイシュヴァンシュタイン城、バックには美しい湖と雪を抱いた山々という構図になるはずだったのですが…やはり、現実は厳しかった。思わず己の雨男さ加減(?)を呪いたくなります。(;_;)
(写真:ノイシュヴァンシュタイン城、現実)
「その2」へ続く。
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