さて、ベルリンは晴れていました。空港からはバスでツォー駅まで行き、そこから電車でオスト駅まで行って夜行列車に乗らなければなりません。最初は自力でバスチケット売場を探したけど見つからず、インフォメーションで教えてもらいました。次に券売機は見つけたけど、今度はチケット買い方が分からない。他の人の買い方を見て真似することにしました。日本とは逆に、ボタンを押してから表示された金額のお金を入れればいいんですね。「たぶん市内均一料金区間だろう」とアタリを付けてチケットを購入し、さてバスを探そうというところで、今度はどのバスがツォー駅へ行くのか分からず右往左往。ようやくバスを見つけ、乗り込みました。バスの中には日付・時間のスタンプを押す機械があって、自分のチケットに押印してから座るというシステムのようです。ここでも前の人の真似をしました。20分ほど走ると、ベルリン・ツォー駅に到着しました
今回の旅行は鉄道移動が主になるので、あらかじめユーロパスを買っておきました。ヨーロッパのツーリスト用鉄道パスにはいろいろな種類があるのですが、私が買ったのは「任意の5日間、ドイツ・フランス・スイス・イタリア・スペインの国鉄に乗り放題」というものです。このパスを使うためには、あらかじめヴァリデート(使用開始日を記入してもらう)をしなければならないので、駅のインフォメーションへ行きました。
インフォメーションには、用途別にいろいろなカウンターがあり、大勢の人たちが並んでいました。どこでヴァリデートすればいいのかよく分からなかったけど、とりあえず「international何とか」と書いてある所に並んでみました。この窓口は国際列車の予約・発券窓口です。ヨーロッパの人達って、自分で時刻表を調べたりせずに、いきなり駅の窓口に来て「O日のOO時にOOへ行きたい。どの列車に乗ればいいのか?」という切符の買い方をするんですね。当然、駅員と「ああでもない、こうでもない…」と相談することになるので、全然列が進まないんです。いい加減待ちくたびれた頃、急に私の前に並んでいた女性が「こんなに長く待たされると、嫌になっちゃうわよね」と話し掛けてきました。突然だったのでとっさにドイツ語か英語かも分からず聞き返してしまいました。まさか、いきなり世間話を振られるとは思わなかった。(^^;)
そうこうするうちに、ようやく私の番になりました。「パスのヴァリデートがしたい」と言ったら「今夜の夜行列車に乗るのか?」と聞かれたので「そうだ」と答えたら、明日からの日付を書いてくれました。私の英語がうまく通じなかったのかと思って「明日からじゃなくて、今夜乗りたいんだけど?」と聞き返してみたら、夜行列車に乗る場合は翌日の分だけで乗れるんだと説明してくれました。私はてっきり零時をまたぐ列車の場合は2日分必要なのかと思っていたので、1日分得をしました。
ツォー駅からオスト駅までは、Sバーンに乗りました。これは日本のE電(死語)のようなものです。地元民に混じってこういう列車に乗るのは楽しいものですが、やっぱり変な人も乗っています。突然、隣の車両から手に血まみれの薄汚れた包帯を巻いたスキンヘッドの若者が移動してきて、大声で何か演説を始めたのにはびっくり。その後、新聞(機関紙?)のようなものを売っていたみたいでしたが、極右勢力(ネオナチ)か何かだったのかな?
オスト駅というのは、旧東ベルリンの中央駅です。いくら旧東側といえ、ここだって長距離列車の発着駅なのだからそれなりの設備があるだろうと期待していたのに、何もありませんでした。駅から一歩外に出ると駅前は暗く、ビルの明かりは消え、道の反対側に小さな売店と公衆電話、クレジットカードのキャッシュコーナーがあるだけ。ポツン、ポツンと立っている街灯の周りには、若者の集団がたむろしています。ここで当面必要な現金を下ろすつもりでいたのですが、こんなところで金を下ろしているところを見られたら、いつ襲われても不思議じゃないような雰囲気。さすがに怖かったので必要最小限の現金を下ろし、慌てて駅構内に戻りました。でも、駅の中もガランとしていて、ちょっと怖そうなスキンヘッドの兄ちゃんがいたりしましたが。
(写真:Berlin Ostbahnhof 左下の兄ちゃん、怖い…)
今夜の宿は、シティナイトラインというホテル列車です。日本の代理店の手違いでコンフォートを頼むはずだったのがデラックスになってしまったんだけど、結果的にはそれで正解でした。デラックスの部屋は広々していて、ベッドとは別にテーブル&椅子があり、天窓からは星空が見え、トイレやシャワーまでついています。乗車すると車掌さんがウェルカムドリンクを持ってきてくれました。赤・白ワイン、シャンパンのどれがいいと聞かれたので白ワインを頼んだのですが、さすがドイツワイン。とてもおいしかった。
(写真:CityNightLine 1等室内)
もの珍しさから、早速シャワーを使ってみました。さすがにシャワールームは狭くて、立ってるだけで精一杯でしたが、さっぱりして気持ちよかった。列車の中でシャワーが使えるなんて、とても贅沢な気分です。ベッドはもちろんヨーロッパ人向けのサイズになっており、十分な長さで快適な寝心地でした。列車の揺れも思ったよりも全然少なくて、さすがホテル列車を名乗るだけのことはあるなぁと感心しました。
このベッドで朝までぐっすり・・・のはずだったんですが、一日中移動の連続で時差ボケを解消する暇もなかったので、3時頃(日本時間午前10時)には目が覚めてしまいました。その後は窓の外を眺めたり、またベッドでうとうとしたりしているうちに、夜が明けました。
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