「あづみ野やまびこ自転車」って、どうよ?

2003年2月6、7日

〜塩尻市内ルート編〜

「あづみ野やまびこ自転車道」とは

まつもとタウン情報 2002年11月15日号より引用
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 あづみ野やまびこ自転車道とは、穂高町の穂高川にかかる穂高橋を起点に、烏川、拾ヶ堰に沿って堀金村―豊科町を通り、奈良井川沿いに松本市を抜けて塩尻市の本山宿を終点とする、総延長40.6kmの自転車道です。全線開通すれば安曇野を自転車で楽しむための大動脈となるはずなんですが、起点から松本市境までの区間はほぼ完成しているものの、松本市内ルートは約4割、塩尻市内ルートにいたっては2割以下しかできぬまま、県の財政難により工事が休止されています。
 果たして、現状で利用価値があるのか、全線開通する見込みはあるのか、予定ルートをこの目で確かめてみることにしました。今回は、終点の本山宿からルートをさかのぼって起点の穂高橋まで、2日間に分けて走りました。


本山宿

 まずは旧北国街道、中山道を通って、自転車道の終点になる予定の本山宿へ向かいます。実は今年になってから、雪が積もっていたり風邪をひいたりで、まともに自転車に乗るのは今日が初めて。なまった体が重い重い。1時間近く走って、ようやく本山宿に到着です。
 本山宿は、中山道六十九次の宿場町です。妻籠宿や奈良井宿ほどではありませんが、ところどころにこのような当時の面影が残っています。
(写真:本山宿の旧旅篭)

 昔、“そば”というものはお湯で練ってダンゴのようにして食べていました。現在のように「そば切り」という形で食べるようになったのは江戸時代のことなんだそうです。「そば切り発祥の地」を名乗る所は全国に何ヶ所かあるそうですが、ここ本山宿もそのひとつ。今となってはどこが最初だったのかは分かりませんが、この地で古くからそば切りが食されていたのは間違いないようです。現在は「本山そばの里」というところで、地元のおばちゃんが打ったそばを食べることができます。もちろん食べてきました。細切りのそばと、酉好みのちょっと濃い味のツユで、美味しかった。ここの「そばおやき」もオススメです。そばダンゴにネギみそをのせただけなんですが、そばの風味がしっかりと味わえます。
(写真:「ウチが元祖!」)


あづみ野やまびこ自転車道予定地?

 計画では本山宿から自転車道が始まるはずなんですが、ここから奈良井川沿いへ降りることはできません。地図上には一応道らしきものが載ってるんですが、雪に閉ざされていて全く通れませんでした。
 やむを得ず1段高い所を通っている道をしばらく走ると、何とか川のほうへ降りられそうな道がありました。地図で見ると、そのまま奈良井川の対岸を走ることができそうです。そこで川へ降りてみることにしました。30mの標高差を300mで下る、半分以上凍ったままの急坂を「もし、この先の道が行き止まりだったら、またここを登るのか。嫌だなぁ」と思いながら降りると、やっと奈良井川の姿を見ることができました。
(写真:自転車道の気配のカケラもない・・・)

 しばらく進むと、なにやら“かぐわしい”臭いが漂ってきます。道の脇には牛舎が立ち並んでいました。そして突然、道が途切れてしまったのです。「あぁ、あの地図は間違いだったのか! 昭○社のバカァ!!」と思いつつ、Uターンしようとして振り向くと、そこには牙をむき出しにして唸っている犬が5頭! どうやらこの牛舎の番犬のようです。そして私は、明らかに侵入者。この犬の群れを突破しなければ、戻ることもできません。「グルルル・・・」と、敵意むき出しで威嚇してくる犬の群れに「やぁ、すまんすまん。すぐに帰るから」と笑顔を向けつつ、決して視線を外さないようにしてジリジリと近付いていくと、犬たちも警戒の姿勢のまま、何とか道を開けてくれました。そこを突破すると、後ろから追跡してくる気配。27段変速の威力で振り切りました(笑)。そして、先ほどの凍った急坂を何とか登り、元の道に戻ったのでした。

 洗馬駅前から、再び奈良井川沿いへと下りました。途中の道が工事中で、ドロドロのグッチャグチャ。泥除けなど付いていないマウンテンバイクでは、盛大に泥が跳ね上がり、体中泥だらけになってしまいました。
 この辺りは谷が狭くなっており、崖の中腹に作られた道路が1本通っているだけです。ここに自転車道を通すのは、至難の業でしょう。
(写真:奈良井川、洗馬付近)


場所はあるんだけど・・・

 やがて周囲が開けてくると、川幅も広くなり、周囲には田畑が広がるようになります。ここからしばらくの間、川沿いの道は自転車専用道でこそないものの、少し離れて併走する立派な農道があり、車はそちらを通るため、こちらの道はほとんど車が通らず、快適に走ることができます。ただしこの日はまだ雪が積もっていたので、あまり快適とは言えませんでしたが。
(写真:ようやく自転車道っぽくなってきた)

 ところが、この道もやがて水溜りだらけの未舗装路になってしまいます。雪解けでドロドロになった道は非常に走りづらく、やむを得ず併走する農道の方へ退避することにしました。元となる道自体は通っているのだから、その気になればすぐにでも自転車道として整備できそうに思うのですが・・・
(写真:これでは走れない)


塩尻市内唯一の完成区間

 郷原橋の下流側1.8km区間が、あづみ野やまびこ自転車道の塩尻市内唯一の完成区間です。写真のように、舗装された自転車道と、なぜか未舗装のままの車道が併走しています。奈良井川河川敷のこの一帯は「リバーサイドパーク竪石」として整備されており、私も何度かここでバーベキューをやったことがあります。
(写真:自転車専用道)

 自転車道自体はまだ雪に埋もれていたので、回り道をして完成区間の反対側へ行ってみました。ここは松本市と塩尻市の境界。このように、松本市側はプッツリと途切れてしまっています。
(写真:自転車道、途絶点)

 ここから先、奈良井川の西岸は写真のような堤防道路となっています。車1台分の幅しかない一方通行の細い道で、交通量が多い上にどの車も制限速度の2倍くらいの速さでとばしていくので、とても自転車で走れるような道ではありません。次に自転車道が再開する神戸橋まで、このような状態が続いています。
(写真:自動車専用?道)

 塩尻市内ルートを走ってみて、本山宿までの自転車道開通はかなり難しそうだという印象を持ちました。実際、塩尻市では自転車道を本山宿まで伸ばすことはあきらめ、現在の開通区間と平出遺跡を自転車レーンで結ぶことを検討しているようです。
 現在、開通している区間だけでは何の利用価値もありません。早急に神戸橋までの区間と接続した上で、平出遺跡などの明確な目的地と結ばれることを望みます。



塩尻市内ルート 松本市内ルート 安曇地区ルート


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Last Update:2003.2.11