武藏伝説

ずいぶんお手柄をなされい

細川家中に、畑十太夫という臆病で有名な男がいた。
十太夫は、阿部一族郎党の立て籠もりの事件で討手を仰せ付けられた。
その十太夫が、袴の紐がゆるんでいたので締めなおそうとしていると、
武藏が「冥加至極の事じゃ。ずいぶんお手柄をなされい」と言って背中をぽんと打った。
十太夫は色を失って、手が震えて紐を締めることができなかったそうである。


武藏の茶目っ気。