武蔵伝説
兵法上達の秘訣


あるとき、武藏はある者から「兵法上達の秘訣は如何」と訊ねられた。
武藏は、その者に畳の縁を指して、「この縁を渡ってみられよ」と言った。
その通りにすると、「ならば一間の高さのところで、この畳の縁くらいの幅のものを渡れるか」と聞いてきた。
すると、今度は「それは難しい」と答えたので、「では、幅を三尺にすれば一間の高さでも渡れるか」と聞いた。
「それならできる」と答えたところ、「では、三尺の幅を姫路城の天守閣からあの増位山へ架けたらどうだ。
渡れるか」と聞いてきた。「とてもできません」と答えた。
武藏は、「畳の縁なら渡るのもたやすいことであろう。しかし、一間の高さとなれば三尺の幅に安心を求める。
山の高さとなれば三尺でも心もとなくなる。それは修行が足らぬからである。
本心が堅く備わっていれば、何も危うきことはない。
精気を練って畳の縁を渡れば百丈の高さであろうと幅三尺長さ一里の橋であっても踏みはずすことはない。
これが兵法上達の秘訣である。」と言った。

何を言っているのか、さっぱり分からん。
どういう質問をすれば、このような返答になるのか。
質問者は、武藏の答えに納得したのだろうか。

